チラー(冷凍機)とは?
ビル空調の主要機器 冷水を作り出す大型冷却装置

【超解説】とても簡単に言うと何か?

ビルの冷房に使う「冷たい水」を大量に作る機械です。家庭のエアコンが
室内機で部屋を冷やすのに対し、チラーは機械室の中で7℃程度の冷水を
大量に作り、配管で各フロアのFCU(ファンコイルユニット)や空調機
に送って建物全体を冷房します。大型ビルの空調システムの心臓部にあたる重要な機器です。

1. 基本概要

チラー(Chiller)は冷凍サイクルを利用して冷水(通常7℃送り
・12℃戻り)を製造する熱源機器です。冷媒の蒸発→圧縮→凝縮→膨張
のサイクルで熱を移動させ、蒸発器で水から熱を奪って冷水を作ります。
凝縮器で放出した熱は冷却塔を経由して大気に捨てます。

冷房システム全体の流れ

チラー(冷水製造)→ 冷水配管 → FCU/空調機(室内冷房)
→ 冷水還り配管 → チラー(循環)。排熱は冷却水配管 →冷却塔 → 大気放出。

2. 構造や原理・種類と特徴

① ターボ冷凍機(遠心式)

  • 原理: 遠心圧縮機で冷媒を圧縮する電動式冷凍機。
  • 容量: 200〜2,000RT(大容量)
  • COP: 5.5〜7.0(効率が高い)
  • 特徴: 大規模ビル向け。部分負荷での効率も良好。インバーター制御で省エネ運転。

② スクリュー冷凍機

  • 原理: スクリュー圧縮機で冷媒を圧縮。
  • 容量: 30〜500RT(中容量)
  • COP: 4.5〜6.0
  • 特徴: 中規模ビル向け。構造が頑丈で信頼性が高い。振動が少ない。

③ スクロール冷凍機

  • 原理: スクロール圧縮機で冷媒を圧縮。
  • 容量: 5〜100RT(小〜中容量)
  • COP: 3.5〜5.0
  • 特徴: 小規模ビル向け。コンパクトで静音。モジュール化で台数制御が容易。

④ 吸収式冷凍機(吸収式冷温水機)

  • 原理: 電気ではなくガスや蒸気の熱で冷水を製造。臭化リチウム(LiBr)溶液を利用。
  • 容量: 50〜2,000RT
  • COP: 1.0〜1.5(二重効用)
  • 特徴: ピーク電力の削減に有効。ガスが安価な場合にランニングコスト低減。冷暖房切替が容易。

3. 素材・主に使用されている場所

  • 大規模オフィスビル(ターボ冷凍機)
  • ホテル・商業施設(吸収式またはターボ)
  • 病院(信頼性重視でスクリュー式)
  • 工場のプロセス冷却
  • データセンター(高効率ターボ冷凍機)
  • 地域冷暖房プラント

4. コスト・価格の目安

おおよその相場

  • ターボ冷凍機(500RT): 約3,000〜5,000万円
  • スクリュー冷凍機(100RT): 約500〜1,000万円
  • 吸収式冷温水機(300RT): 約2,000〜4,000万円
  • 年間保守費用: 機器費の3〜5%/年
  • 冷媒充填費用(HFC系): 約5,000〜15,000円/kg

5. 冷媒と環境規制

  • R-134a: 従来の主流HFC冷媒。GWP=1,430で将来的に規制対象。
  • R-1233zd / R-1234ze: 低GWP冷媒(GWP=1〜7)。次世代のターボ冷凍機で採用拡大中。
  • R-32: GWP=675。スクロール・スクリュー式で採用。
  • 臭化リチウム(LiBr): 吸収式冷凍機の吸収液。冷媒は水。環境負荷が低い。

フロン排出抑制法により、一定量以上のフロン類を使用する機器は定期点
検(簡易点検:3ヶ月ごと、定期点検:1〜3年ごと)が義務づけられています。

6. 更新周期と注意点

更新周期

一般的に20〜25年が更新目安です。コンプレッサーの効率低下、
冷媒漏洩の増加、制御系の老朽化が更新判断のポイントになります。

【NG事例】冷媒漏洩を放置する

フロン排出抑制法違反であるとともに、冷媒不足で圧縮機が過負荷運転となり故障の原因になります。漏洩が発見されたら速やかに修理・充填してください。
【NG事例】冷却水の温度管理を怠る

冷却塔の不調で冷却水温度が上昇すると、チラーの凝縮圧力が上昇して効率が低下し、最悪の場合は高圧カット(安全装置の作動)で停止します。

9. 多角的なQ&A(20連発)

一般人目線

チラーって何?

水を冷却して循環させる装置です。ビルの冷房、工場の機械冷却、食品の冷蔵などに使われています。

エアコンとの違いは?

エアコンは空気を直接冷やします。チラーは水を冷やし、その冷水で空調や機械冷却を行います。大規模施設向けです。

家庭にもある?

一般家庭にはありません。ビル・工場・病院・ホテルなどの大規模施設に設置されています。

なぜ水を冷やすの?

水は空気より熱を効率よく運べるため、大規模な冷却には冷水を使う方がエネルギー効率が良いです。

電気代はどのくらい?

施設全体の電力消費の30〜50%を空調が占め、そのうちチラーが最大の消費源です。

職人(空調工・設備工)目線

空冷式と水冷式の違いは?

空冷式は室外機(コンデンサー)で空気と熱交換。水冷式は冷却塔(クーリングタワー)の水で熱交換します。

冷媒の種類は?

R-410A、R-32が主流です。R-22は2020年にオゾン層破壊物質として全廃されました。使用機器は更新が必要です。

冷水の出口温度は?

一般空調用は7℃が標準です。プロセス冷却では用途に応じて-5〜15℃の範囲で設定します。

ターボ冷凍機とスクリュー冷凍機の違いは?

ターボ式は大容量(500RT以上)で高効率。スクリュー式は中容量(50〜500RT)で部分負荷効率が良いです。

インバーターの効果は?

部分負荷時の消費電力を大幅に削減できます。年間エネルギー消費量を30〜50%削減可能です。

施工管理者目線

チラーの選定基準は?

冷却能力・効率(COP)・冷媒種類・騒音値・設置スペース・メンテナンス性を総合的に評価してください。

基礎工事の注意は?

チラーの重量(数t〜数十t)に耐える基礎の設計が必要です。防振装置の設置も忘れずに。

試運転の確認事項は?

冷水出口温度・冷却水出入口温度・運転電流・振動値・異音の有無を確認します。

環境規制は?

フロン排出抑制法でチラーの定期点検(簡易点検:3ヶ月毎、定期点検:1〜3年毎)が義務付けられています。

品質記録は?

機種・冷却能力・COP・冷媒量・試運転データを記録してください。

設備管理者目線

定期メンテナンスは?

簡易点検(3ヶ月毎・目視)、定期点検(1〜3年毎・専門業者)、冷媒漏れ検知、コンデンサーの清掃が必要です。

COP(成績係数)の監視は?

COPの低下はコンデンサーの汚れや冷媒不足のサインです。定期的に運転データを記録して傾向管理してください。

冷媒の回収義務は?

フロン排出抑制法で、廃棄時の冷媒回収が義務付けられています。無断放出は罰則の対象です。

更新時期は?

15〜20年が更新目安です。R-22冷媒機は法規制で早急な更新が必要です。

省エネ対策は?

インバーター制御への更新、フリークーリング(外気冷却)の活用、冷水温度の最適化で省エネを図れます。