D種接地(D種接地工事)とは?
300V以下の低圧機器に使用する一般的な接地
【超解説】とても簡単に言うと何か?
家庭の洗濯機や電子レンジなど、300V以下の機器に繋ぐ「緑のアース線」の工事です。
1. 基本概要
300V以下の低圧機器を対象とした感電防止
D種接地工事(でぃーしゅせっちこうじ)とは、電気設備技術基準において
「300V以下の低圧の機械器具の鉄台・金属製外箱」などに
施すことが義務付けられている接地(アース)のことです。
家庭用の100Vや、業務用の単相200V・三相200VなどはすべてこのD種接地の対象になります。
日々の安全を守る必須設備
特に水を使う場所(キッチン、洗面所)や湿気の多い場所では、
電気が漏れやすいためこのアースがないと非常に危険です。
漏電した機器に人が触れた際、電流が心臓を通るのではなく
アース線を通って大地へ優先的に逃げるルートを確保します。
2. 構造や原理
電気の通り道(人体より大地を優先)
水に濡れた人間の体の抵抗値は約2,000Ωと言われています。
それに対してD種接地は「100Ω以下」の通り道を作ります。
電気は「抵抗が少ない(通りやすい)方へ流れる」性質があるため、
漏電に気づかず機器に触ってしまっても、電気の大部分は
アース線を通って地面に向かい、人へのショックが激減します。
3. 素材・形状・規格
抵抗値の原則と「緩和条件」
原則として**「100Ω以下」**という抵抗値が求められます。
C種(10Ω以下)に比べれば緩いですが、それでも確かな施工が必要です。
【例外(条件付き緩和)】C種同様に、0.5秒以内に確実に電気を遮断するELCB(漏電遮断器)が
その大元の回路に設置されている場合に限り、条件が**「500Ω以下」**まで
大幅に緩和されるルールがあります。
4. 主に使用されている場所
家庭の水回り家電
洗濯機、冷蔵庫、電子レンジ、ウォシュレットや、
屋外のエコキュート・エアコン室外機などに必ず付いています。
壁のコンセントの下部にある「アースターミナル(蓋を開けて
線を差し込む部分)」は、地中のD種接地極に繋がっています。
オフィスのOA機器
パソコンの電源コード(3ピンプラグの丸いピン)、コピー機や
サーバーラックなども、ノイズ防止と感電防止(D種接地)のために
オフィスの床下のコンセントからアースを取っています。
5. メリット・デメリット
メリット(施工が簡単で安全)
C種のように10Ωという極めて厳しい数値を要求されないため、
一般的な土壌であれば比較的短いアース棒を地面に打ち込むだけで
100Ω以下を達成でき、各家庭に安価で安全を提供できます。
デメリット(繋がりっぱなしの誤認)
家庭では一度アース線を繋ぐと二度と点検されないことが多く、
引っ越しや掃除の際に線が抜けたり切れたりしていても気づかず、
いざ漏電した時に全く保護機能が働かないトラブルが見られます。
6. コスト・価格の目安
おおよその相場(一般住宅のコンセント増設時等)
- D種接地極の打ち込み(新設): 1万〜2万円前後
- コンセントまでのアース配線・ターミナル設置: 数千円〜1万円
合計目安: 1万5千〜3万円程度
※新築住宅の場合は、あらかじめ分電盤から家中全ての
必要な箇所へアース配線が行われているため個別に費用はかかりません。
7. 更新周期と注意点・絶対にやってはいけない悪い使用方法
更新周期(家庭での目視点検)
アース線自体に寿命はありませんが、接続部のネジの緩みや
線の断線がないかを大掃除のタイミング等で目視確認してください。
絶対にやってはいけない悪い使用方法
昔は鉄の水道管をアース代わりに使うことがありましたが、現在は
法令で禁止されています。特にガス管に繋ぐと、漏電した際の火花で
ガス爆発を起こすため絶対にやってはいけません。
悪い使用方法をするとどうなるか(末路)
アース線を繋ぐのが面倒だからと放置した結果、洗濯機が漏電。
濡れた床に立って本体に触れた家族が強いショックを受け、
最悪の場合は心室細動を起こして亡くなるという痛ましい事故が起きます。
8. 関連機器・材料の紹介
D種接地と一緒に家庭やオフィスで活躍する機器、比較される接地です。
-
ELCB(漏電遮断器):
家庭の分電盤に必ず付いている親玉のブレーカーです。
これがあるおかげで、D種接地の基準が500Ωまで緩和されます。
▶ 詳細記事はこちら -
C種接地:
D種と同じく低圧用ですが、300Vを「超える」強い動力設備に使われ、
10Ω以下という非常に厳しい基準が適用されます。
▶ 詳細記事はこちら -
MCCB(配線用遮断器):
電気の使いすぎを防止しますが、漏電には反応しません。
▶ 詳細記事はこちら
9. 多角的なQ&A(20連発)
テレビにもアース線が必要ですか?
テレビや扇風機などは製品内部で「二重絶縁構造」になっているため、
法的にアース線は不要であり、コンセントにもターミナルがありません。
アース線を繋がないと冷蔵庫は動かないのですか?
アース線は「安全のための万が一の保険」なので、繋がなくても
機械は動きます。しかし、漏電した際に命の危険があります。
アース線の緑色の皮を剥かずにネジで止めました。
皮(被覆)が付いたままだと電気が通らず全く意味がありません。
必ず先端の皮を1.5cmほど剥いて、中の銅線を金属ネジに挟んでください。
アース線が短くて壁のコンセントまで届きません。
市販のアース線(ホームセンター等にあります)を買ってきて、
先端の銅線同士をしっかりとねじり合わせて延長しても問題ありません。
ビリッと来たのでアース線に触ってみてもいいですか?
絶対にダメです。家電が漏電している最中にアース線の導体に触れると
そこから感電します。大元のブレーカーを落としてから作業してください。
一つのアースターミナルに冷蔵庫とレンジの両方を繋いでも良いか?
全く問題ありません。D種接地極として大地に繋がっている経路は
同じなので、複数台の家電をまとめて1つの端子に繋げます。
単相200VのルームエアコンでもD種ですか?
はい。「300V以下」なのでC種ではなくD種接地になります。
例外なく専用回路としてアース端子付きコンセントの敷設が必要です。
アースを打つ場所がないので、鉄骨に繋いでいいですか?
鉄骨が実測で2Ω以下の構造体接地になっているなど確実に大地と
低い抵抗で繋がっている証明ができない限り、勝手に繋ぐのは禁止です。
接地線の太さに決まりはありますか?
引張強さなどに規定があり、一般家庭の場合は直径1.6mm以上
(またはより線なら1.25sq以上)の軟銅線を使用するのがルールです。
アーステスターの「簡易測定(2端子法)」をしてもいいですか?
D種で、かつ分電盤のN(中性線)接地など既知の良い接地極が
ある場合は、コンセント側など端末での簡易測定が実務で広く認められています。
竣工検査でD種接地の測定値が「150Ω」でした。どうすべきか?
一般的に分電盤の主幹にはELCBが付いているため「500Ω緩和」が
適用され、150Ωであっても検査合格・適法として書類に記載できます。
病院の手術室には特別なD種接地が必要ですか?
はい、通常のD種接地ではなく、全ての金属部を等電位にする「医用接地」
(10Ω以下という厳しい規定)という極めて特殊な設計・施工が要求されます。
アース線(緑色)と中性線を共有しても良いですか?
ダメです。日本において低圧の機器接地(D種)と中性線は必ず
切り離して配線しなければなりません(TN-C等の海外方式は不可)。
アース線の接続端子(圧着端子)は裸端子で良いですか?
良いですが、他の活線部分と短絡事故を起こさないように結線部には
カバー(緑色の絶縁キャップ)を被せるのが施工管理上の基本マナーです。
EPS(電気シャフト)内の接地端子盤にはどう表記しますか?
「ED(D種)」「EA(A種)」など識別タグを確実につけ、
A種やC種の強い接地極と絶対に混同・誤結線させないように指示します。
テナントが勝手にアース極以外の場所に緑の線を繋ぎました。
危険です。ラックの足やアルミサッシ等に結んで「繋いだつもり」に
なる人がいますが、大地と繋がっていないため早急に専用コンセントへ直させてください。
定期点検で「D種の抵抗値が上がっている」と指摘されました。
地中のアース棒が腐食して消滅しかかっているサインです。
500Ωを超えそうであれば、早急に土の地面に追加のアース棒を打つ改修が必要です。
厨房の機器が漏電しELCBが落ちました。D種の意味はありますか?
D種がしっかり繋がっていた「おかげで」電気が大地に逃げ、それをELCBが
検知して瞬時に電気を止められため、厨房スタッフが感電事故を免れたのです。
分電盤のELCBを外して普通のブレーカーにしたいのですが。
ELCBによる「500Ω緩和」を受けているD種接地の場合、ELCBを外すと
100Ωをオーバーして法令違反になり即座に感電事故のリスクが高まるため不可です。
ウォータークーラーを増設します。コンセントにアースがありません。
水周りでの使用は法的にD種接地工事が「義務」です。
延長コードで無理やり使うことはせず、分電盤からアース線を引く工事を手配してください。