コンクリートポンプ車とは?
生コンを天空へ送り届ける!巨大ビルの骨格を造る圧送重機
【超解説】とても簡単に言うと何か?
ビルを作るときに、地面からビルの最上階まで、ドロドロの「生コンクリート」を
巨大なホースで一気に押し上げる特殊なトラックです。
キリンのような長い折りたたみ式の腕(ブーム)を伸ばし、
職人たちが待つ型枠の中へ、正確にコンクリートを流し込みます。
1. 基本概要
そもそも何か
生コン工場からミキサー車で運ばれてきたコンクリートをホッパー(受け口)で受け、
強力な油圧ポンプの力で配管を通して目的の場所まで「圧送」する建設機械です。
なぜ必要なのか
数十メートル上の階や、ミキサー車が入れない奥まった裏庭に数十トンもの
コンクリートをバケツリレーで運ぶのは不可能です。ポンプ車があるからこそ、
巨大なコンクリート建築が短期間で造れるのです。
2. 構造や原理
内部構造(特徴的な構造)
車体の後部にコンクリートを受ける「ホッパー」と、コンクリートを吸い込んで押し出す
「ポンピングチューブ」や「油圧シリンダー」があります。車体上部には、何段にも
折りたたまれた配管付きの「ブーム」が搭載されています。
作動原理
【スクイーズ式】回転するローラーが太いゴムチューブ
をしごいて押し出す方式(歯磨き粉を押し出す原理)。
【ピストン式】強力な油圧ピストンでコンクリートを
直接シリンダーから押し出す方式で、超高層ビルに使用されます。
3. 素材・形状・規格
外観形状と素材
トラックの荷台部分に巨大なポンプ装置とブームが乗った特装車です。
作業時には車体がひっくり返らないよう、両サイドに「アウトリガー(脚)」を
大きく張り出して車体を持ち上げます。
種類や関連規格
自前の折りたたみ腕を持つ「ブーム車」と、地上に鉄のパイプを何百メートルも繋いで
高層階へ送る「配管車」があります。ブームの長さは短いもので10m台から、
長いものでは30mを超えます。
4. 主に使用されている場所
使用される施設
住宅の基礎工事、中高層マンション、大規模商業施設、橋脚・ダムの建設、
トンネル工事など、コンクリートを打設するあらゆる現場。
具体的な設置位置
現場前の道路や敷地内に停車し、後ろにミキサー車がバックでつけられる
スペースを確保してセットされます。
5. メリット・デメリット
メリット(長所)
人力では到底不可能なスピードと量で、効率的かつ連続的にコンクリートを
型枠の中に流し込むことができます。ブーム車なら、障害物を乗り越えて
ピンポイントに落とせます。
デメリット(短所・弱点)
車体が巨大でアウトリガーを張るため、狭い道路では通行止めにする必要があります。
また、作業終了後は配管の中に残った生コンを完全に洗い流さないと、
中で固まって機械が再起不能になります。
6. コスト・価格の目安
導入にかかる費用
特殊車両のため、購入すれば数千万円〜1億円規模の投資になります。
通常は専門の「コンクリート圧送業者」に作業一式を依頼します。
おおよその相場
- 圧送工事の依頼(半日〜1日): 5万〜15万円程度
- 小型ブーム車(中古購入価格): 500万〜1,500万円
- 大型ピストン式ポンプ車(新車): 3,000万〜6,000万円以上
7. 更新周期と注意点・絶対にやってはいけない悪い使用方法
更新周期
配管やゴムチューブは生コンの砂利で猛烈に削られるため、定期的な交換が必要です。
車両自体の寿命はメンテナンス次第ですが10〜15年程度です。
絶対にやってはいけない悪い使用方法
アウトリガーを最大まで張り出さずに
ブームを横に伸ばすこと。
配管が詰まった状態(閉塞)で
無理に油圧ポンプの圧力を上げ続けること。
悪い使用方法をするとどうなるか
アウトリガーが不十分だと、ブームに詰まった重いコンクリートの荷重でトラックごと横転し、
大事故になります。また、無理に圧を上げると配管が破裂し、
高圧のコンクリートの塊が銃弾のように飛散します。
8. 関連機器・材料の紹介
- コンクリート:
ポンプ車で運ばれる、現代建築の肉となる素材。
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9. 多角的なQ&A(20連発)
あの長いアームは何をしているの?
生コンクリートを高圧で圧送し、長いブーム(配管アーム)の先端から打設箇所に流し込んでいます。
何階まで届くの?
ブーム式で30〜50m程度、配管式では100m以上の超高層まで圧送可能です。
1台いくらくらいする?
新車で3,000万〜1億円程度です。建設会社は通常レンタルで使用します。1日のレンタル料は10〜30万円程度です。
すごく大きいですが道路を走れる?
大型特殊車両として公道走行可能ですが、総重量が20tを超える場合は特殊車両通行許可が必要です。
コンクリートが固まったらどうなる?
ポンプ内で固まると大変です。使用後は必ず水とスポンジボールで配管内を洗浄し、残留コンクリートを除去します。
圧送速度の調整は?
ポンプの吐出量を打設速度に合わせます。速すぎると型枠に過大な側圧がかかり、遅すぎるとコールドジョイントの原因になります。
配管の閉塞(つまり)の対処は?
配管をハンマーで叩いて振動を与えるか、逆転運転で押し戻します。それでも解消しない場合は配管を分解して除去します。
ブームの操作で注意すべきことは?
ブーム先端の急な振りは先端ホースが暴れて打設者を直撃する危険があります。ゆっくり確実に操作してください。
冬季の圧送は?
コンクリートの温度低下と配管内での凝結を防ぐため、保温配管カバーの使用と圧送前の水通しが重要です。
先端ホースの保持は?
先端ホースを持つ作業者は必ず2名以上で保持し、コンクリートの脈動による反動で振り回されないようにしてください。
圧送計画に含める項目は?
圧送距離・揚程・配管径・配管ルート・ポンプ車の設置位置・生コン車の待機場所・洗浄水の処理方法を計画書に記載します。
アウトリガーの設置場所は?
地盤の支持力を確認し、必要に応じて敷鉄板を敷いてください。地下埋設物(配管・ケーブル)の位置も確認が必要です。
生コン車との連携は?
打設量から必要な生コン車の台数とピッチ(間隔)を計算し、待ち時間なく連続打設できるよう手配します。
洗浄水の処理は?
アルカリ性の洗浄廃水をそのまま排水することは法令違反です。pH中和処理または産廃処理を計画に含めてください。
安全対策は?
圧送配管の固定、先端ホースの暴れ防止、配管接続部の点検、作業範囲の立入禁止措置を実施してください。
ポンプの定期整備は?
シリンダー・ピストン・バルブの摩耗確認、油圧系統の点検を500時間ごとに行います。
配管の摩耗管理は?
配管の肉厚を超音波厚み計で測定し、最小肉厚を下回ったら即交換です。エルボー(曲がり部)の摩耗が最も早いです。
ブームの亀裂点検は?
溶接部の疲労亀裂を年1回の非破壊検査(磁粉探傷)で確認してください。亀裂の放置はブーム折損事故につながります。
車両の車検は?
大型特殊自動車として年1回の車検が必要です。ブームの安全装置の作動確認も車検項目に含まれます。
冬季保管の注意は?
水回路の残水を完全に排出し、凍結によるポンプ破損を防止してください。不凍液の使用も有効です。