CT(変流器)とは?
大電流を計測機器用の小電流に変成する計器用変流器
【超解説】とても簡単に言うと何か?
数百〜数千アンペアの大電流を、計器で安全に測れる5Aに変換する測定用の変流器です。
1. 基本概要
CT(Current Transformer)は「変流器」と呼ばれます。
太い電線に流れている非常に大きな電流(大電流)や高圧電流を、計器(電流計や電力計)
や保護継電器(リレー)が処理できる安全で小さな電流(一般的に5A)
に正確に変換する装置です。
もしCTを通さずに1000Aの電流を直接メーターに繋ぐと、
メーターは一瞬で破裂・焼損してしまいます。CTは電気設備を安全に監視・制御するために
不可欠な「スケールダウン専用の変圧器(電流版)」です。
2. 構造や原理
CTの内部は、ドーナツ状の「鉄心(コア)」に細い銅線が何周も巻かれた構造になって います。
ドーナツの穴の中に大電流が流れる太い電線(一次導体)を通すと、
その電流が周囲に作り出す「磁界」を鉄心がキャッチします。
すると電磁誘導の法則によって、巻かれている細い銅線(二次コイル)
に元の電流に比例した「小さな電流」が発生します。
この小さな電流を5Aなどに絞り出してメーターへ送っています。
3. 素材・形状・規格
外観と形状
- 貫通型: ドーナツの穴に既存の電線(ケーブル)を通すだけの、最も一般的なタイプです。
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巻線型(端子型): 機器の中に一次側のコイルが内蔵されており、
太い電線を切って端子台に直接ボルト留めするタイプです。 -
分割型(パッチンCT): ドーナツ部分がパカッと割れるようになっており、
稼働中の既設ケーブルを切らずに後付けできる便利な形状です。
主な規格と仕様
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変流比(CT比)
: 「100/5A」や「400/5A」 という比率が必ず記載されています。 -
極性(KとL): 電気を通す向きが厳密に決まっており、電源側を大文字の「K」、
負荷側を大文字の「L」と呼び、出力側を小文字の「k・l」と呼びます。
4. 主に使用されている場所
電気がどれくらい使われているかを監視するため、回路の要所に設置されます。
5. メリット・デメリット
メリット
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計器やリレーの標準化と低コスト化: どんな大電流の現場でも、
電気室のメーターや保護リレーはすべて「5Aで動く共通規格品」を使えるため、
製造コストや予備品の管理コストが劇的に下がります。 -
作業者の安全確保: 高電圧・大電流のメイン回路から電気的に切り離され、
計測回路は安全な低電流として扱うことができます。
デメリット
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極性の間違いによる誤動作: 電線を通す方向(K→L)や、
出力側(k・l) のプラスマイナス接続を間違えると、
メーターが逆回転したり保護継電器が全く機能し なくなります。 -
二次側開放による致死リスク: 通常のトランスとは真逆の性質を持ち、
絶対にやってはいけない「タブー」が存在します(後述)。
6. コスト・価格の目安
概算コスト目安(単体)
約 5,000円 〜 100,000円程度(定格による)
-
低圧用の小さな貫通型であれば数千円で手に入りますが、高圧盤の主幹用や、
屋外用のものは高額になります。 - CT単体よりも、それを組み込む盤の製作費がメインになります。
耐用年数の目安:エポキシモールド品などで 約15年〜20年 とされています。ただし、
二次側開放などで一度でも焼損・絶縁劣化させると、即座に寿命(交換)となります。
7. 更新周期と注意点・絶対にやってはいけない悪い使用方法
更新周期(推奨交換時期)
エポキシモールド品などで 約15年〜20年 とされています。ただし、
後述する二次側開放などで一度でも焼損・絶縁劣化させると、即座に寿命(全交換) となります。
施工の注意点(確実な接地)
万が一CT内部で高圧側から低圧側へショートした際の感電を防ぐため、
二次回路の片方(一般的にl端子側)は必ず接地極(D種接地など)へ繋がなければなりません。
絶対にやってはいけない悪い使用方法
大元の電気を通電したまま、
CTの出力線(二次側)
やメーターへ行く配線のネジを外して「回路を切断(開放)」することは、
電気工事における**最も危険な禁忌事項(タブー)**です。
悪い使用方法をするとどうなるか(末路)
CTの二次側を開放すると、行く当てを失った電流エネルギーが全て鉄心の磁化(励磁)
に使われてしまい、鉄心が磁気飽和を起こします。その結果、
外された端子間になんと数千ボルトから数万ボルトの異常な高電圧が突如として発生します。
端子からは目に見えるほどの巨大なアーク(火花)が吹き出し、
CT自体が一瞬で発熱して焼損・重大な損傷するだけでなく、
周囲で作業している人間の体を高圧電流が貫き、極めて危険な感電事故を引き起こします。
通電中にメーター交換などを行う際は、必ずCTT(CTテスト端子)
で先に二次側を「ショート(短絡)」させてから作業する絶対ルールがあり
ます(VTのルールとは真逆です)。
8. 関連機器・材料の紹介
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VT(計器用変圧器):
CTの相棒です。CTが「電流」を小さくするのに対し、
VTは「電圧」 を小さく(100Vなどに)する装置です。
▶ 詳細記事はこちら -
ZCT(零相変流器):
こちらは電気の「量」ではなく、
行き帰りの「バランス」 を見て漏電を検知する専用のセンサーです。
▶ 詳細記事はこちら -
各種継電器(過電流継電器など):
CTが絞り出した5Aの電流を受け取り、
「流れすぎだ!」と判断してブレーカーを落とすリレー装置です。
9. 多角的なQ&A(20連発)
普通の変圧器(トランス)と同じですか?
原理は似ていますが目的が違います。トランスは皆が使う電気を作りますが、
CTはメーターの針を動かすため専用に作ります。
ビルの中にいくつあるの?
キュービクルの中や、各フロアの分電盤ごとにあります。
電気をチェックする必要がある場所には必ず設置されます。
CT比「100/5」とは何ですか?
メインの電線に100アンペアの電気が流れたら、
メーターには5アンペアの電気を送るよ、という意味です。
故障するとどうなりますか?
電流計がゼロになったり、電気を使いすぎてもブレーカーが落ちず、
火災の原因になることがあります。
一般の方が触っても大丈夫ですか?
絶対にダメです。動作中に配線を外すと数千ボルトの一撃を食らい、
黒焦げになるか重大な事故に至ります。
二次側開放が危険な理由は?
二次側を開放すると、一次側の電流がすべて励磁に使われ、
鉄心が磁気飽和し、二次側に異常な高電圧が発生するからです。
過電流継電器(OCR)との関係は?
CTからの電流(最大5A)をOCRが監視し、
設定値(例:3Aなど)を超えたら遮断器(VCB)にトリップ信号を出します。
CTの負担(VA)とは何ですか?
CTがメーター等に正確な電流を流せるパワーの限界です。電線が長すぎたり、
メーターを繋ぎすぎると正確に測れません。
ZCTとの決定的な違いは?
CTは1本の電線(各相)の電流の「量」を測りますが、ZCTは3本まとめて通し、
往復の「差(漏れ)」を測ります。
計器用と保護用のCTは分けますか?
はい、高圧施設では、メーター専用の回路と、
命綱であるリレー専用の回路で、CTのコアを分けるのが基本です。
貫通型と巻線型の違いは?
貫通型はドーナツの穴に既存の電線を通すだけですが、
巻線型(端子型)は電線を一度切ってCTの端子に繋ぎ直します。
既存施設に後乗せ(増設)できますか?
「分割型CT(パッチンCT)」という、二つに割れるタイプなら、
電線を切らずに後から挟み込んで設置することができます。
CT比の選定ミスにどう気づきますか?
盤図面と単線結線図をつき合わせ、主幹ブレーカーの定格と
CT比(例: 200Aの回路なのにCTが50/5等)の矛盾をチェックします。
二次側のアース工事の指示は?
必ず「CTの二次側の片方(大体L相のl端子)」を接地端子へ落とすよう、
盤図と配線図を確認し職人に指示します。
極性(K・L)の指示はどうしますか?
電源側から負荷側へ、
大文字のKからLへ電線を通すよう向きの矢印シールなどを確認し、逆付を防止します。
CTの二次側結線で絶対やってはいけない事は?
ネジの締め忘れです。振動や熱でネジが緩んで外れると「二次側開放」となり、
重大な損傷や火災、死亡事故になります。
通電中のメーター交換はどうやりますか?
必ず「CTT(CTテスト端子)」などで二次側回路を先に
ショート(短絡)させてから、メーターの結線を外します。
KとLの向きを間違えました。
電流の波形が逆になるため、電力計(Wメーター)の針がマイナスに振り切れたり、
方向継電器が誤作動します。
太いCVケーブルが貫通型に通りません。
無理に押し込むとCTが割れます。曲げ半径を確保したり、
ワンサイズ穴の大きいCTに変更する協議が必要です。
配線チェックのコツは?
kとlの線を一本ずつ引っ張って、端子の緩みがないか確認し、最後にアース(接地極)
に落ちているかテスターで導通を見ます。