ドリルビス(鉄骨用・ピアスビス等)とは?
下穴不要の貫通力。分厚い鉄骨の鎧をブチ抜く最強ビス
【超解説】とても簡単に言うと何か?
先端をよく見ると、なんと「ドリルの刃」の形になっている特殊なネジです。
通常のタッピングビスでは絶対に歯が立たない、
厚さ数ミリ〜十数ミリの「分厚い鉄骨」に対して、下穴を開ける作業なしで、そのまま
ギュイーンと一発で貫通して固定できます。
1. 基本概要
そもそも何か
「ドリルで穴を開ける」「タップでメネジを切る」「締結する」
という3つの工程を、1本のビスを打ち込む1回のアクションで
完了させてしまうセルフドリルねじ(自ら穴を開けるねじ)です。
「テクス(TEKS)」「ピアス」などの商品名でも呼ばれます。
なぜ必要なのか
鉄骨造の建物の外壁や屋根(金属サイディングや折板)を
張る際、鉄骨の骨組み(C型鋼など)に数千本〜数万本の
ビスを打ちます。これら全てにいちいちドリルで下穴を開けていたら工期が何倍にもなります。
これを一発で終わらせるドリルビスは、鉄骨建築の革命です。
2. 構造や原理
内部構造(特徴的な構造)
先端の「ドリル刃先」、中間の「メネジを切るタッピング部」、
上部の「対象物を締め付ける頭部」の3機能が1本に一体化しています。
非常に硬く焼き入れ処理(浸炭焼入れ)されています。
作動原理
インパクトドライバーや専用のテクスドライバーで
高速回転(約2000〜2500回転/分)させながら押し付けると、
先端の刃が鉄骨を削って「下穴」を開けます。穴が貫通した瞬間に、続くタッピング部が
鉄骨に食い込んでメネジを作り、そのまま頭が密着して固定されます。
3. 素材・形状・規格
外観形状と素材
頭の形状は、六角ソケットで回す「六角頭(ヘックス)」、
鍋頭、皿頭のほか、屋根用などで水漏れを防ぐ
「ゴムパッキン付き(座金付き)」などがあります。
素材は鉄(三価ユニクロ等)か、耐食性に優れたステンレス(SUS410等)です。
種類や関連規格
非常に重要なのが「適応板厚(ドリル刃の長さ)」です。
刃先の長さによって、貫通できる鉄骨の厚みが1.5mm〜2.3mm用(薄物用)から、
6.0mm〜12mm用(厚物用・極太)まで厳密に分かれています。
4. 主に使用されている場所
使用される施設
工場や倉庫などの鉄骨造(S造)建築物。金属屋根(折板屋根)の取り付け、
外壁材(サイディングや角波鉄板)のC型鋼への固定、太陽光パネルの架台の組み立てなど。
具体的な設置位置
外側のパネルや屋根板の上から、裏にある鉄骨(胴縁や母屋)に向かって、
パネルと鉄骨を同時に貫通させるように打ち込みます。
5. メリット・デメリット
メリット(長所)
作業の省力化・スピードアップにおいて右に出るものはありません。
高所作業の足場の上で、ドリルとドライバーを持ち替える
危険な手間が省け、片手でスピーディに施工できます。
デメリット(短所・弱点)
ドリル機能を持たせるために「非常に硬く」作られているため、
逆に「粘り(しなやかさ)」がなく、斜めからの強い衝撃を受けるとポキンと折れやすい(脆い)
という特性があります。また、刃先が長いため、裏側に配線などがある場合は
巻き込んで破壊してしまう危険があります。
6. コスト・価格の目安
導入にかかる費用
高度な加工がされているため、普通のタッピングビスの数倍〜十倍以上の価格がします。
おおよその相場
- 鉄製ドリルビス(六角頭) 100本: 1,000〜2,000円
- ステンレス製(防錆) 100本: 3,000〜5,000円
- パッキン付き屋根用: さらに高価
7. 更新周期と注意点・絶対にやってはいけない悪い使用方法
更新周期
基本は建物と同じ寿命ですが、外装に使うため
サビとの戦いになります。海沿いなどでサビが進行すると、
ビスの頭がもげて外壁が剥がれ落ちるため、
環境に応じたコーティング(ラスパート処理など)品を選びます。
絶対にやってはいけない悪い使用方法
鉄骨の厚さ(例えば6mm)に対して、ドリル刃の長さが短いビス(適応板厚2.3mm)を打つこと。
木材に対してドリルビスを使うこと。
悪い使用方法をするとどうなるか
鉄骨の厚さに対してドリル刃が短いと、穴が貫通する前に「ネジ山」
部分が鉄骨に食い込んでしまい、進もうとするネジの力と、穴を開けよう
とするドリル刃がケンカして、一瞬で刃が折れるか、ネジ山が焼き切れて
使い物にならなくなります(必ず適応板厚を守る)。また、ドリルビスを
木材に打つと、ドリル刃が木の繊維をズタズタに削り取ってしまうため、
引っ掛かりが無くなり全く固定されずスッポ抜けます。
8. 関連機器・材料の紹介
- インパクトドライバー:
厚い鉄骨にドリルビスを打ち込むには、18Vや36Vのハイパワーなインパクトが必要です。
▶ 詳細記事はこちら
9. 多角的なQ&A(20連発)
ドリルビスって何が便利なの?
先端にドリル刃がついており、下穴を開けずにそのまま薄鉄板にねじ込めます。作業工程が1つ減るため非常に効率的です。
どんな材料に使える?
薄鉄板(0.4〜6mm程度)、アルミ板、Cチャンネル鋼などの金属板に使用します。木材には木ネジを使ってください。
テクスビスとは同じもの?
はい。「TEKビス」「ピアスビス」とも呼ばれます。メーカーによる商品名の違いです。
外壁のサイディング固定に使われている?
はい。金属サイディングや角波板の下地鉄骨への固定にドリルビスが広く使われています。
価格は?
100本入りで500〜1,500円程度です。ステンレス製は鉄製の2〜3倍の価格です。
適切な回転数は?
高速回転(2,000〜3,000rpm)でないとドリル部が板を貫通できません。インパクトドライバーより高速ドリルドライバーが適しています。
板厚に対するドリル部の長さは?
ドリル部(先端の刃の長さ)が板厚の合計より長いものを選んでください。短いとネジ山の食い込みが不足します。
シーリングワッシャー付きの用途は?
屋根材や外壁材の固定には、雨水浸入を防ぐゴムパッキン付き(シーリングワッシャー付き)を使用してください。
座面のフライスカッターの役割は?
ビスの頭の下に刃が付いたタイプで、締込み時にバリを除去して座面を密着させます。防水性が向上します。
折れやすい原因と対策は?
斜め打ち、低回転、過大な押圧が折れの原因です。垂直に当て、適切な回転数で一定の押圧をかけてください。
外装工事でのドリルビスの管理は?
使用本数・間隔・締付けトルクを施工基準に従って管理し、抜き取り検査で締付け状態を確認します。
防水性能への影響は?
ビス穴からの漏水を防ぐため、シーリングワッシャー付きを使用し、締めすぎによるワッシャーの潰れに注意してください。
異種金属接触腐食の対策は?
鉄製ビスとアルミ材の組合せは電食の原因です。ステンレスビスまたは絶縁ワッシャーの併用で対策してください。
風荷重に対する設計は?
屋根材・外壁材の固定ビスは風荷重計算に基づいて本数と配置を決定します。端部は中央部より密にするのが基本です。
施工記録は?
ビスの品番・材質・本数・施工間隔・締付け状態の写真を記録してください。
屋根のドリルビスの定期点検は?
年1回の目視点検で、ビスの浮き・錆・パッキンの劣化・脱落がないか確認してください。漏水の原因になります。
ビスの増し締めは有効?
緩んだビスの増し締めは一時的な対策です。パッキンが劣化している場合は新品に交換してください。
錆びたビスの放置リスクは?
錆汁が外壁を汚すだけでなく、ビスの断面積が減少して保持力が低下します。早期にステンレスビスに交換してください。
台風後の点検は?
強風後はビスの脱落・外装材のガタつき・パッキンのめくれがないかを確認してください。
保管は?
湿気による錆を防ぐため密封容器で保管。ステンレス製と鉄製は別々に保管して混在を防いでください。