重量シャッター・軽量シャッターとは?
防犯・防火・防風の役割を果たす重量・軽量シャッター
【超解説】とても簡単に言うと何か?
建物の出入り口や窓を「鉄などの金属の板」で上から下へガラガラと塞ぐ扉のことです。大きく2種類に分かれます。
軽量シャッター:戸建ての車庫(ガレージ)や小さな店舗などで使われる、人の力(手動)でもヒョイと持ち上げられる薄くて軽いシャッターです。
重量シャッター:大きな工場や倉庫、ビルの搬入口などに付けられる、非常に分厚くて重いシャッターです。手では絶対に開けられないため、強力なモーター(電動)で開閉し、台風などの猛烈な強風にも耐えます。
1. 軽量シャッター(身近な防犯バリア)
街中で最もよく見かける、手で開け閉めするガラガラ音が鳴る標準的なシャッターです。
- スラット板厚: 巻き取られるパネルの部分を「スラット」と呼びます。軽量シャッターは板厚が0.5mm〜0.8mm程度と薄く、軽さを重視しています。
- スプリング機構: 手で簡単に持ち上がるのは、シャッターケースの中に「スプリング(バネ)」が仕込まれており、その巻き戻る力が人間の持ち上げる力をアシストしているためです。
- 用途: 住宅のガレージ、店舗の閉店時の防犯、一般住宅の窓用シャッター(雨戸代わり)など、開口幅が数メートル程度の場所に使われます。
2. 重量シャッター(暴風を弾き返す鉄壁)
大型トラックが出入りするような巨大な開口部を塞ぐための、極めて頑丈な電動シャッターです。
- スラット板厚: 板厚は1.6mm以上(太いものでは3.2mm等)あり、軽量シャッターの数倍の分厚さと重量があります。ハンマーで叩いても凹まないほどの強度です。
- 耐風圧性能: 面積が大きくなると、台風のときにシャッターが受ける「風の圧力」は数十トンにも及びます。スラットが風でたわんでレールから抜け落ちないよう、深く設計された「ガイドレール」と強靭なスラットで暴風に耐え抜きます。
- 開閉機構: 猛烈に重いため手動では動かせず、チェーンとギアを介した大型電動モーターで開閉します。万一の停電時は、手動チェーンをカラカラと引っ張って少しずつ開けます。
3. 建築設計における絶対的配慮と「安全装置」
重量シャッターの設計において最も気をつけなければならないのが**「巻き込み」「挟まれ」の死亡・重傷事故**です。
モーターのトルク(引き上げる力・下げる力)が巨大なため、人が下降中のシャッターの下敷きになれば骨折や圧死の危険があります。そのため、一番下の地面に触れる部分(座板:ざいた)に「障害物検知センサー(座板スイッチ)」を内蔵し、何かにぶつかると瞬時に一時停止・反転上昇する安全装置の設置が法律(建築基準法・JED規格)で強く求められています。
4. 多角的なQ&A(20連発)
手動シャッターが最近すごく重いのですが、なぜですか?
シャッターボックス内にある「巻き上げ用スプリング(バネ)」が経年劣化で伸びてしまっているか、サビで作動不良を起こしているためです。人間の力だけで数十キロの鉄板を上げている状態なので、バネの調整・交換が必要です。
電動シャッターが閉まる途中で「ピー」と鳴って止まってしまいます。
座板(一番下の部分)にある「障害物検知センサー」が反応しています。レールに小石が挟まっていたり、冬場でセンサー内の空気が収縮して誤作動している可能性があります。
「ガラガラ」という音がうるさいのですが、静かなシャッターはありますか?
はい、スラット(板)の接続部分やガイドレールに「消音材(モヘアや樹脂)」が組み込まれた「静音シャッター(アルミ製シャッターなど)」があります。住宅街の車庫などでおすすめです。
台風の時、シャッターが風でガタガタ揺れるのは普通ですか?
ある程度は遊びがないと動かないため正常ですが、強風で中央が大きくたわみ、「レールから抜けそう」な場合は非常に危険です。耐風圧強度が足りていないか、老朽化しています。
軽量と重量シャッター、見た目で違いはわかりますか?
スラット(横板)の1枚の幅が軽量は細く、重量は太くガッチリしています。また、重量シャッターはガイドレールも非常に深く作られています。
重量シャッターの取り付け工事で一番危険な作業は何ですか?
「シャフト(巻き取り軸)」の持ち上げ作業です。モーターとスラットが巻き付いた巨大な鉄の塊(時に数トン)を、高所のブラケットにクレーンやチェーンブロックで吊り上げてピンポイントで芯出し・固定する瞬間は極度の緊張を伴います。
ガイドレールの施工で少しでもミスをするとどうなりますか?
左右のレールが完璧な平行(垂直・水平)になっていないと、スラットが降りていく途中で斜めに偏って(巻きズレ)、途中で「ギャーッ」という金属音とともに噛み込んで動かなくなります。
「中柱(なかばしら)」とは何ですか?
開口部があまりにも広い場合、1枚のシャッターでは風圧で折れてしまうため、真ん中に取り外し式や跳ね上げ式の「柱(ガイドレール)」を立てて、2枚のシャッターで分割して塞ぐための部材です。
スプリングシャッター(手動)のバネの巻き付け(カマシ)は危険ですか?
はい。専用の工具で強力なバネをギリギリと何巻きも巻き上げて反発力を持たせるため、工具から手が滑るとバネが猛烈な勢いで逆回転し、手を骨折するような労災事故が起きやすい作業です。
座板スイッチ(障害物検知)の送信機はどこに電池が入っていますか?
一番下にある「座板」の端っこなどに小さな電池ボックス(送信機)が付いています。座板が障害物に触れると内部の管の空気が押され、スイッチが入って無線で上部の受信機へ「止まれ!」と信号を送ります。
建築図面で監督がシャッターについて最初に確認すべきことは?
「シャッターケースの納まり寸法(天井裏のスペース)」です。重量シャッターは巻き取った時の直径が50cm〜80cm以上になるため、天井内にそれを隠すスペースがあるか、梁や空調ダクトと干渉しないかを真っ先にチェックします。
工場などの「耐風圧性能」はどのように決定しますか?
建設地の風速基準データや、建物の高さ、周囲の地形状況から設計風圧力を計算し、それに応じた板厚(1.6mm等)とスラット形状、ガイドレールの深さ(呑み込み寸法)をメーカーに指示して製作させます。
シャッターの「一次電源(電気工事)」のタイミングはどう調整しますか?
シャッターが開閉できないと建物の「戸締まり(施錠)」ができず、中の資材が盗まれるリスクがあります。そのため、足場が解体される頃には仮設電源でも良いのでシャッターモーターに電気を送れるように電気屋と工程を死守します。
「水切り(みずきり)」とシャッターレール周りの防水処理の注意点は?
レールの裏側から雨水が侵入して室内がビショビショになるのを防ぐため、外壁とレールの隙間には確実にコーキング(シーリング)を打ち、上部のケースにも水が回らないよう水切り板金を確実に施工させます。
シャッターをフォークリフトで突き破った場合の部分補修は可能?
はい。スラットは横に繋がっている構造のため、ベコベコに曲がった数枚の下部スラットだけを引き抜き、新しいスラットを横からスライドさせて差し込む「部分交換」が可能です。
シャッターの日常メンテナンスで重要なことは?
左右の「ガイドレール」の溝にゴミや砂石が溜まっていないかの清掃と、シリコンスプレー等による滑りの確保です。※ただし、グリスを塗りすぎると砂を吸着して逆効果になるため注意が必要です。
電気は来ているのに電動シャッターが全く動かなくなりました。
「リミットスイッチ(上限・下限を決める設定装置)」の故障、またはモーターを過負荷から守る「サーマルリレーの作動」、もしくは手動開閉用の「操作チェーン」が少しでも引っ張られてインターロック(安全回路)が働いているケースが多いです。
台風接近前にビル管理者が行うべきシャッターの処置は?
開口部を完全に閉め切り、必要であれば「中柱」の落とし込みピンが確実に床の穴(受け)に刺さってロックされているか確認します。少しでも開けておくと風を孕んでシャッター全体が吹き飛びます。
停電時でも電動シャッターを開けられますか?
はい、モーターの横に「手動開閉用チェーン」がぶら下がっています(または点検口内にあります)。非常に重く時間がかかりますが、チェーンをカラカラと引っ張ることで人力で開け閉めできます。
塩害地域でシャッターがすぐ錆びてしまいます。対策は?
普通の防錆塗装では潮風ですぐに穴が空きます。「アルミ製シャッター」や「ステンレス(SUS)製シャッター」を採用するか、分厚い重量シャッターに重防食塗装(エポキシ・フッ素等)を定期的に施す必要があります。