空調ダクトとは?
空調機から送られる冷温風を各室へ導くダクト管

【超解説】とても簡単に言うと何か?

空調機で作った冷たい空気や暖かい空気を、建物の各部屋に届けるための
金属製の「空気の通り道」です。天井裏に隠れている銀色の管や箱型の管
路がダクトです。人間の体に例えると、心臓(空調機)から血液(空気)
を全身に送る血管のような役割を果たしています。

1. 基本概要

空調ダクトは、空調機(AHU)やファンから送り出された調和空気(温
度・湿度を調整した空気)を各室の吹出口に送る「給気ダクト(SA)」、
室内の空気を空調機に戻す「還気ダクト(RA)」、屋外の新鮮空気
を取り入れる「外気ダクト(OA)」、室内の空気を屋外に排出する「排
気ダクト(EA)」の4種類に大別されます。

2. 構造や原理・種類と構造

形状による分類

  • スパイラルダクト(丸ダクト): 亜鉛鉄板を螺旋状に巻いた円形断面ダクト。強度が高くコンパクト。圧力損失が少ない。最も一般的。
  • 角ダクト(矩形ダクト): 亜鉛鉄板を折り曲げて矩形断面に加工。天井裏の扁平スペースに適合。大風量に対応。
  • フレキシブルダクト: アルミ等の可とう管。吹出口への最終接続に使用。曲げ自在だが圧力損失が大きい。
  • オーバルダクト(楕円ダクト): スパイラルダクトを楕円に変形。丸ダクトの利点を維持しつつ天井高を抑制。

材質による分類

  • 亜鉛鉄板ダクト: 最も一般的。板厚0.5〜1.2mm。外面に保温材(グラスウール等)を巻く。
  • グラスウールダクト(チャンバーボックス): グラスウールボードで成形したダクト。保温・消音効果を兼ね備える。軽量。
  • ステンレスダクト: 厨房排気、特殊環境で使用。耐食性・耐熱性が高い。
  • 塩ビダクト: 酸やアルカリの排気に使用。工場の特殊排気用。

3. 素材・ダクト付属品

  • 吹出口(ディフューザー): 天井のアネモ型、ライン型、ノズル型など。室内に均一に空気を吹き出す。
  • 吸込口: 室内の空気を吸い込む格子(グリル)。フィルター付きもある。
  • ダンパー: ダクト内の風量を調整する可動板。手動ダンパー(VD)、モーターダンパー(MD)がある。
  • 防火ダンパー(FD): 火災時に自動的に閉じてダクトを介した延焼を防ぐ重要な防災部品。
  • 消音ボックス(サイレンサー): ダクト内の騒音を吸音材で低減する装置。
  • チャンバー: ダクトの分岐部や変形部に設ける箱型の空間。風量の均等分配に使用。

4. 主に使用されている場所

  • 大規模オフィスビルの天井裏(給気・還気ダクト)
  • 商業施設のバックヤード・天井裏
  • ホテルの廊下・宴会場
  • 病院の手術室・クリーンルーム(高度な清浄度管理)
  • 工場の換気・排気システム
  • 飲食店の厨房排気

5. コスト・価格の目安

おおよその相場

  • スパイラルダクト(φ200): 約1,500〜3,000円/m
  • 角ダクト(500×300): 約3,000〜6,000円/m
  • グラスウールダクト: スパイラルの1.5〜2倍
  • 保温工事(グラスウール25mm巻き): 約2,000〜4,000円/m²
  • 吹出口(アネモ型): 約5,000〜15,000円/個
  • 防火ダンパー(FD): 約10,000〜30,000円/個

6. 更新周期と注意点

【NG事例】防火区画貫通部に防火ダンパーを設置しない

建築基準法で防火区画を貫通するダクトには防火ダンパー(FD)の設置が義務づけられています。火災時にダクトを通じて煙や炎が延焼する危険を防ぐ重要な防災設備です。
【NG事例】ダクトの保温を省略する

冷房用給気ダクトの保温を省略するとダクト表面に結露が発生し、天井材の染み・カビの原因になります。給気ダクトの保温は必須です。

9. 多角的なQ&A(20連発)

一般人目線

ダクトって何?

空調機からの冷暖房の空気を部屋に届ける「空気の配管」です。天井裏や壁の中に設置されています。

エアコンにもダクトがある?

家庭用エアコンは室内機から直接空気を出しますが、ビル用空調は全てダクトで各部屋に空気を送ります。

ダクトの中は汚れる?

はい。長年使用するとホコリやカビが蓄積します。定期的な清掃が室内空気質の維持に重要です。

ダクトからカビ臭がする場合は?

ダクト内のカビが原因の可能性があります。専門業者によるダクト清掃を依頼してください。

自宅のダクト清掃は自分でできる?

吹出口の清掃は可能ですが、ダクト内部の清掃は専門業者に依頼してください。

職人(ダクト工・空調工)目線

ダクトの素材は?

亜鉛めっき鋼板が主流です。特殊環境ではステンレス・アルミ・グラスウールダクトボードが使われます。

角ダクトと丸ダクトの使い分けは?

角ダクトは大容量の送風に、丸ダクト(スパイラルダクト)は小容量で施工性が良く、漏気が少ないのが特長です。

ダクトの継手方法は?

角ダクトはフランジ接合(アングルフランジ・共板フランジ)、丸ダクトは差込接合が一般的です。

漏気試験の方法は?

JIS B 8330に基づき、ダクトを密閉して加圧し、漏気量を測定します。風量の5%以内が合格基準です。

断熱の施工は?

結露防止のためグラスウール(25mm厚)で保温し、外装にポリエチレンフィルムを巻きます。

施工管理者目線

ダクト工事の品質管理は?

ダクトサイズ・材質・接合方法・気密性能・保温仕様を設計図書と照合し、検査記録を残してください。

風量測定は?

完成後に各吹出口の風量を測定し、設計風量の±10%以内であることを確認します。TAB(試験調整バランシング)と呼ばれます。

防火区画貫通部の処理は?

防火ダンパー(FD)を設置し、区画貫通部は不燃材で充填してください。建築基準法で義務付けられています。

騒音対策は?

消音器(サイレンサー)の設置、ダクト内の流速制限(7m/s以下が目安)、フレキシブルダクトでの防振接続を行います。

施工図の確認ポイントは?

ダクトルート・サイズ・梁との干渉・メンテナンス用点検口の位置を事前に確認してください。

設備管理者目線

ダクト清掃の頻度は?

5〜10年ごとの専門業者によるダクト清掃が推奨です。フィルターの清掃は月1回が基本です。

エネルギーロスの確認は?

ダクトの漏気は空調エネルギーの10〜30%をロスすることがあります。定期的な漏気チェックが有効です。

ダクト内のカビ対策は?

結露防止の断熱が最も効果的です。既にカビが発生している場合は薬剤洗浄と防カビ処理を行ってください。

吹出口の風量調整は?

吹出口の背面にあるダンパーで風量を調整できます。季節や使用状況に応じて調整してください。

更新時期は?

亜鉛めっき鋼板ダクトの耐用年数は30〜40年です。腐食や穴開きが確認された場合は更新を検討してください。