ジョイントボックス・アウトレットボックスとは?
電線の接続部分を保護し、火災や感電を防ぐためのボックス
【超解説】とても簡単に言うと何か?
壁裏や天井裏で電線同士を接続した箇所を安全に収納・保護するための小型ボックスです。
1. 基本概要
そもそも何か
電気配線工事において、電線(ケーブル)相互の接続箇所を収容・保護するため、
あるいは電線管同士を分岐させたり、照明やコンセント等の器具を取り付ける
土台(アウトレット)とするための「箱体(ボックス)」の総称です。
なぜ必要なのか
内線規程という厳格なルールにより、「電線同士の接続は、必ず
ボックス等の中で行わなければならない(壁の中でむき出し接続してはいけない)」
と定められているためです。電気を繋ぐ部分は最も過熱して発火しやすいため、
火災(延焼)を防ぐ物理的な「隔離部屋」が絶対に必要になります。
2. 構造や原理
内部構造
箱の「側面」に、電線を入れるための丸い穴(ノックアウト穴)が開いており、
そこから複数本の電線を箱の中に引き込みます。
箱の「中」で、リングスリーブなどの接続圧着端子を使って線を繋ぎ合わせ、
絶縁テープを巻いたその「結び目の塊」を箱の中に押し込み、最後にフタを閉じます。
作動原理(火災の封じ込め)
もし、一般の方による工事や経年劣化によって接続部分がショートして火花(スパーク)が
散ったり発火したとしても、ボックスのフタが閉まっていれば
内部の酸素がすぐに尽きる(または機密性による防護)ため、
木造の柱や天井裏のホコリに引火して家が全焼するのを水際で防ぐことができます。
3. 素材・形状・規格
外観形状と素材
用途と工法によって大きく2つの素材に分かれます。
1. 樹脂製(VVFケーブル用等): ナイスハットに代表される、
丸いお椀やドーム型をした半透明の被せるタイプのプラスチック製。
2. 金属製(アウトレットボックス)
: 鉄板をプレス成形した「八角形」や「四角形(四角アウトレット)」の堅牢な箱。
打ち抜き穴がある。
種類や関連規格
JIS規格(JIS C 8336 / 鋼製電線管用ボックス等)で、深さ(浅型・深型)や
側面の穴のサイズが厳格に規定されています。
壁のコンセントやスイッチの裏に使われる、1連〜多連サイズの長方形の箱は
「スイッチボックス」と呼んで区別されることもあります。
4. 主に使用されている場所
使用される施設
木造住宅から、超高層ビル、病院、商業施設まで、「電気」が通っている
すべての建物の構造体の裏側に必ず無数に仕込まれています。
具体的な設置位置
入居者の人からは絶対に見えない「天井板のすぐ裏(暗闇の中)」や、
「石膏ボードの壁(間仕切り壁)の中」に、木ネジやボルト等で
躯体や軽量鉄骨に強固に打ち付けられて固定されています。
ただ、メンテナンスのために「点検口」を開けると、すぐ見えます。
5. メリット・デメリット
メリット(長所)
火災の延焼を防ぐ最強の盾となるだけでなく、
「ここにジョイントがある」という目印になるため、将来の増改築などで
「電源をもう1回路分岐して増やしたい」時の配線拠点として大活躍します。
デメリット(短所・弱点・注意点)
電気工事の段階で壁にボックスを仕込んだ後、
大工さんがその上から石膏ボードと壁紙をスッポリ貼って「完全な隠ぺい」に
してしまうと、将来その箱を開けて点検することが物理的に不可能になる点です。
(このため、点検できない場所への設置は禁止される等のルールがあります)。
6. コスト・価格の目安
導入にかかる費用
ただの金属をプレスした箱、あるいはプラスチックの成形品であるため、
単価は「信じられないほど安い」のが特徴です。
建築工事の中で数百個〜何千個という単位で消費される消耗建材です。
おおよ所の相場(部品代のみ)
- 樹脂製ジョイントボックス(ドーム型): 約50円〜100円前後/個
- 八角/四角アウトレットボックス(鉄製): 約100円〜200円前後/個
- ボックス用のメクラ蓋・塗代カバー等: 約50円〜100円前後/枚
合計目安: 1個数十円〜数百円。DIYには極めて買いやすい価格です。
7. 更新周期と注意点・絶対にやってはいけない悪い使用方法
更新周期(推奨交換時期)
壁や天井の中に埋め殺しにされるため、基本的には「建物の寿命」と同じで
半永久的に使われます。
ただし、激しい雨漏りで鉄製ボックス全体が赤サビだらけになった場合は、
内部の電線にも影響が及ぶため即座に調査が必要です。
絶対にやってはいけない悪い施工方法
ホームセンターで電線を買い、一般の方がDIYで天井裏に入って、
ビニールテープだけで線をクチャクチャに繋ぎ、その結び目の塊を
わざわざ数十円のボックスを買及せずに「木の上にそのままポンと置く」行為です。
悪い施工方法をするとどうなるか(末路)
一般の方のテープ巻きはすぐに剥がれ、銅線がむき出しになります。
そこへネズミがやってきて銅線をかじりショートするか、
接点不良で発熱した箇所から火花の火の粉が「乾燥したホコリや木」に落ち、
数ヶ月後に「原因不明の天井裏からの出火」で家が全焼します。
8. 関連機器・材料の紹介
ボックスに直結する配管材料や、天井面の仲間の部品です。
-
PF管・CD管(合成樹脂製可とう電線管):
ボックスの側面のノック穴にガチャンと連結され、
スネークのように電線を守りながら壁の中を這いまわるフレキシブル管。 -
引掛シーリング・ローゼット:
天井照明をつける器具。実はこの引掛部品のすぐ裏側(天井裏)には、
ビスを効かせるためと配電のために八角ボックス等が必ず仕込まれています。
9. 多角的なQ&A(20連発)
部屋の壁の上のほうに、白くて丸いプラスチックの「フタ」がついています。
それは「ジョイントボックスの点検用のフタ(メクラカバー)」です。
壁の裏で後から配線を分岐できるように、
あえて大工さんが壁に穴を開けてフタを露出させてくれている親切な設計です。
家の屋根裏の写真を撮ったら、透明のお椀のようなものが無数にありました。
それがVVFケーブル用の樹脂製ジョイントボックス(通称ナイスハット等)
です。接続部をホコリや水滴から守るためにスポッと被せてある正常な施工の証拠です。
コンセントを壁から外してみたら、奥に金庫のような鉄の箱がありました。
それが「スイッチボックス(アウトレットボックスの一種)」です。
コンセントの部品の厚みを収納し、
防火性を高めるために壁の石膏ボードの裏に埋め込まれています。
この鉄の箱に、コンセントからバチッと火花が散っても大丈夫ですか?
大丈夫です。万が一コンセントの中でショートや発火が起きても、
周りがすべて鉄(金属製ボックス)で覆われているため、
外側の木の柱に一瞬で燃え移るのを防いでくれます。
自分でホームセンターでボックスを買って配線をやっていいですか?
ボックスの中に電線を通して結線する作業は完全に「電気工事士の法的な独占業務」です。
無資格でのDIYは火災を引き起こした場合の火災保険が一切降りなくなりますのでNGです。
アウトレットボックスの側面の「ノックアウト穴」、どうやって綺麗に開ける?
マイナスドライバー等の先を当てて、
ペンチの横などで「ハンマーの要領」で強めに叩けばポコッと内側に割れます。
無理に「ねじ切ろう」とすると鉄板が歪むのでスナップを効かせます。
天井裏で複数回線をVVFで結線する際、ジョイントボックスは必須ですか?
必須です。内線規程により「造営材に固定して結線部分を絶縁物に納めること」
が定められています。よくナイスハット(樹脂)が使われますが、
必ずステップル等で野縁に固定して宙ぶらりんを防ぎます。
コンクリート打設(スラブ)にボックスを埋め込む時の最大の注意点は?
型枠に釘でガッチリと打ち付け(打込配管)、トロ(コンクリートの汁)
が絶対に入らないように隙間を超強力なテープ等で養生します。
これをミスると箱の中がコンクリで完全な「石像」と化し、電線が永遠に通らなくなります。
金属製ボックス自体に「D種接地(アース)」は取るべきですか?
基本的には必須です(漏電時の感電防止)。ただし、乾燥した場所にある、
あるいは人が容易に触れない短い配管間のボックスであれば接地を省略できる内線規程の除外ル
ールもあります。
八角ボックスの「浅型(44mm)」と「深型(54mm)」の使い分けは?
入れる電線(PF管等のサイズと本数、接続点の多さ)のボリュームによりますが、
基本は「深型」を使っておけば後からのジョイント作業で線が溢れず「圧倒的に楽」です。
浅型は壁厚がギリギリの時だけ使います。
「塗り代(ぬりしろ)カバー」とは何ですか?なぜ付けるよう指示するの?
ボックスの中に石膏ボードやクロスの糊が入らないようにする保護と、
壁面から器具(コンセント等)
を取り付けるための「正確な高さ(ツラ)調整の耳」を出すための四角いアダプタ枠です。
大工さんにボックスの周りを隠蔽(完全に壁を閉じる)されてしまいました。
内線規程で「点検できない隠蔽場所での接続部分の設置」
は原則禁止(差し込みコネクタ等の特例を除く)です。
開口指示を忘れた場合は、カッターで壁をぶち破ってでも手直しになる最悪の事態です。
軽量鉄骨(間仕切りのLGS)にボックスを固定する市販の便利金具はありますか?
未来工業等の「スライドボックス用ワンタッチ金具」が非常に優秀です。
スタッド(柱)に対してビスを打たずに、
金具のバネの力でガチッと食い込んで固定できるため、職人の作業時間が半分になります。
ボックスの「結露対策」はどうすればいいですか?
冬季に外壁面に接するボックスは、内部で結露水が発生しコンセントがショートします。
必ず断熱材でボックス周りを包むか、
「防風・防カビ仕様の防気カバー(プラカバー)」をコンセントとボックスの間に挟みます。
屋外の雨ざらしの場所に普通の鉄ボックスをつけてもいいですか?
NGです。屋外の場合は、
パッキンがついて水が侵入しない防水型の「プルボックス(防雨型)」や、
塩ビなどで作られた「PVKボックス」という耐候性のあるフタ付き箱を指定します。
天井裏の点検口から覗いたら、黒いテープで巻かれた配線が何ヶ所も浮いています。
ボックスに収められていない「裸結線(はだけっせん)」の可能性が高いです。
非常に危険な違法施工状態ですので、
早急に電気工事業者を呼んでナイスハット等のボックスを被せて固定させてください。
屋上の防水型ボックスのフタから、白っぽい錆の汁が垂れています。
パッキンが経年劣化(紫外線)でひび割れ、
内部に数年間雨水が侵入してチャプチャプに溜まっている状態です。
中の結線が水没して漏電トリップの元になるため、フタの交換と水抜き穴の処理が必要です。
テナント入居で、壁のあちこちに「白い無地のプレート」が貼られています。
「ブランクプレート」と呼ばれるものです。
過去の店が電話線などを出していたボックスが裏に転がっており、
「今は使わないが後で使えるようにフタをしてある」状態ですので、
LAN配線などに再利用できます。
ネズミがよく出る古いビルで、電線を守る最強の対策は?
ケーブルをすべて「金属管(スチールパイプ)」に収め、
ジョイント部分は厚い「金属製アウトレットボックス」
で完全密閉してボルトでフタをすることです。ネズミの歯が立たず、
百発百中で防御できます。
壁のスイッチボックスから隙間風がピューピュー吹き出してきて寒いです。
古い家や高気密構造になっていない家では、壁の裏の冷たい空気が、
ボックスのノックアウト穴を通って部屋の中に吹き込んできます。
「防気カバー」という数百円の部品をプレート裏に挟むだけで風を止められます。