水分計・膜厚計とは?
「乾き」と「厚み」を非破壊で暴く。塗装と内装の品質チェッカー
【超解説】とても簡単に言うと何か?
壁にペンキを塗ったり床材を貼る前に、下地が「しっかり乾いているか」を測るのが水分計。
塗ったペンキが「規定通りの厚さになっているか」を測るのが膜厚計です。
どちらも、壁や塗装を傷つけることなく(非破壊で)、
目に見えない品質を数値化するチェック機器です。
1. 基本概要
そもそも何か
【水分計】コンクリート、モルタル、木材などの内部に含まれる水分量(含水率:%)を
測定する機器。【膜厚計】鉄やコンクリートなどの下地の上に
塗られた塗膜(ペンキ)やメッキの厚さ(μm:ミクロン)を測定する機器です。
なぜ必要なのか
コンクリートが完全に乾ききっていない(水分が多い)状態のまま上にペンキを塗ったり
床シートを貼ると、後から水分が蒸発してきて塗装が水ぶくれのように膨れたり、
シートが剥がれたりする大失敗が起きます。
また、塗装が薄すぎると数年で鉄がサビてしまうため、品質管理に必須なのです。
2. 構造や原理
内部構造(特徴的な構造)
【高周波水分計】本体の裏側にある電極センサーを壁に押し当てる構造です。
【電磁式膜厚計】先端の小さなプローブ(探触子)を塗装面に垂直に押し当てる構造です。
作動原理
【水分計】対象物に高周波(電波)を当て、物質内の水分量によって変化する「電気の通りやすさ
(静電容量)」を検知して水分率に換算します。
【膜厚計】下地が鉄の場合、磁石が鉄にくっつく力
(磁力)を利用します。塗装が厚いほど鉄から遠ざかり
磁力が弱くなることを利用して、厚みを計算します。
3. 素材・形状・規格
外観形状と素材
どちらも手のひらサイズのデジタル機器です。
水分計には、対象物に電波を当てる「非破壊式」と、
木材などに針をプスッと刺して電気抵抗を測る「ピン式(針式)」があります。
種類や関連規格
膜厚計は、下地が磁石につく鉄などの場合は「電磁誘導式」を、下地がアルミやステンレスなどの
非磁性金属の場合は「渦電流式」を使用します。コンクリート下地の塗装用には、超音波を使った
「超音波膜厚計」が使われます。
4. 主に使用されている場所
使用される施設
マンションの大規模修繕工事(外壁塗装)、橋梁の防食塗装、車両の塗装工場、
新築ビルでの内装仕上げ(長尺シート貼り)前、木造建築の構造材検査など。
具体的な設置位置
壁や床の表面、鉄骨の表面に、機器のセンサー部分を直接ピタッと押し当てて測定します。
5. メリット・デメリット
メリット(長所)
一番のメリットは「対象物を壊さない(非破壊)」ことです。昔は塗装をカッターで削って
厚みを測っていましたが、機器を使えば瞬時に何度でも、どこでも検査が可能です。
デメリット(短所・弱点)
水分計は、表面から数センチの深さまでの水分しか測れないため、極端に分厚い
コンクリートの奥底の水分までは分かりません。膜厚計は、センサーを当てる面が平らでないと
(ひどい錆跡や湾曲したパイプなど)正しく測れません。
6. コスト・価格の目安
導入にかかる費用
専門の塗装業者や床張り業者が、品質保証のために保有します。
おおよその相場
- 木材用ピン式水分計(簡易): 1万〜3万円
- コンクリート用高周波水分計(非破壊): 6万〜12万円
- 電磁式・渦電流式両用膜厚計: 10万〜20万円
- 超音波膜厚計(コンクリート下地用): 30万〜50万円
7. 更新周期と注意点・絶対にやってはいけない悪い使用方法
更新周期
測定プローブが摩耗すると狂いが生じるため、定期的なメーカー校正が必要です。
現場で使用する前には、必ず付属の「テストフィルム(標準板)」を使って
ゼロ点調整(キャリブレーション)を行います。
絶対にやってはいけない悪い使用方法
水分計を、対象物から浮かしたまま
(密着させずに)数値を読むこと。
膜厚計のプローブを、塗装面に叩きつけたり
引きずったりすること。
悪い使用方法をするとどうなるか
水分計のセンサーが壁から少しでも浮いていると、
「空中の乾燥度」を測ってしまい、常に低い水分率(OK判定)が出てしまいます。
膜厚計の先端(探触子)は非常にデリケートな宝石
(ルビーなど)でできており、引きずると傷がついて二度と正確な厚みが測れなくなります。
8. 関連機器・材料の紹介
- 壁紙・塗装材料:
水分率が高い状態(含水率8%以上など)でこれらを施工すると、後日必ず剥がれます。
▶ 詳細記事はこちら
9. 多角的なQ&A(20連発)
水分計で何がわかるの?
木材や壁の中に含まれる水分量を測定できます。カビの原因となる過剰な湿気を客観的に確認するのに役立ちます。
膜厚計は何に使う?
塗装の厚さを測定する機器です。車の板金塗装の品質確認やリフォーム時の塗装厚の検査に使われます。
家の壁が結露しやすい原因を調べられる?
水分計で壁内部の含水率を測定すれば、結露や雨漏りによる水分の滞留を確認できます。
価格はどのくらい?
ピン式水分計は3,000〜10,000円、膜厚計は5,000〜30,000円程度です。プロ用は10万円以上するものもあります。
DIYで塗装の厚さを測るべき?
外壁塗装を業者に依頼した場合、膜厚計で塗膜の厚さを確認すれば手抜き工事の発見に役立ちます。
木材の含水率の基準値は?
構造材は20%以下、造作材は15%以下が基本です。JAS規格ではSD15(15%以下)SD20(20%以下)と区分されています。
ピン式と高周波式の使い分けは?
ピン式は表面〜深さ数mmの含水率を正確に測定。高周波式は非破壊で測定でき、仕上げ材の上からも計測可能です。
塗装の膜厚測定タイミングは?
各工程(下塗り・中塗り・上塗り)ごとに測定し、設計膜厚を確保していることを確認します。
コンクリートの含水率測定は?
塗装やシート防水の前にコンクリート表面の含水率を測定します。8%以下が塗装可能の目安です。
膜厚計の測定原理は?
磁性体(鉄)の上の非磁性被膜は磁気式、非磁性体(アルミ等)の上は渦電流式で測定します。対象に合った方式を選んでください。
木造の含水率管理の重要性は?
含水率の高い木材を使うと、乾燥収縮で反りや割れが発生し、建付けの不具合やクロスの亀裂の原因になります。受入時に全数測定が理想です。
塗装工事の品質管理で膜厚は何点測定する?
100m²あたり5〜10点が目安です。測定箇所を図面にプロットし、膜厚記録表に値を記録します。
測定器の校正は?
水分計・膜厚計ともに年1回のメーカー校正を推奨します。膜厚計は標準箔(基準厚の金属片)でのゼロ点・スパン確認も行ってください。
含水率の測定記録は必要?
木造建築の品質管理では必要です。特にプレカット材の受入検査記録として含水率データを保管します。
防水工事前のコンクリート含水率は?
ウレタン防水では8%以下、シート防水では各メーカーの指定値を確認してください。含水率が高いと密着不良の原因になります。
建物の漏水調査に使える?
水分計で壁や天井の含水率を面的に測定し、含水率が高い箇所を漏水経路として追跡できます。非破壊で調査できるため便利です。
塗装の劣化度を膜厚で判断できる?
膜厚だけでは判断できません。付着力試験(クロスカット法)や目視による劣化診断と併用して総合的に判断します。
定期点検での活用場面は?
屋上防水層の膜厚測定、外壁塗装の残存膜厚確認、木部の含水率確認(腐朽の兆候把握)などに活用できます。
水分計の精度が落ちたと感じたら?
校正基準材での確認を行い、ずれが大きい場合はメーカー校正に出してください。ピンの先端が摩耗している場合は交換します。
保管上の注意は?
電子機器のため高温多湿を避けてください。ピン式水分計のピンは折れやすいので、キャップを付けて保管します。