人感センサースイッチとは?
人の熱の動きを検知して照明を自動で点灯・消灯させるスイッチ

【超解説】とても簡単に言うと何か?

人体の赤外線(体温)を検知して照明を自動点灯・消灯する、非接触型のスイッチです。

1. 基本概要

そもそも何か

人感センサースイッチ(熱線センサ付自動スイッチ)は、
人間の体温から発せられる「細かな赤外線の変化(温度と動き)」を
半球状のレンズで感知し、内蔵されたリレーで電気回路をONにし、
タイマー機能で一定時間後に自動でOFFにするインテリジェント配線器具です。

なぜ必要なのか

「電気の消し忘れ」という永遠の課題による電気代の無駄を完全に無くし、
荷物で両手が塞がっている時でも階段等の昇降を安全にするためです。
また近年は、感染症対策として「不特定多数が手で触る場所を減らす
(非接触化)」目的で、新築・改修問わず急激に普及しています。

2. 構造や原理(熱線と焦電素子)

赤外線を捉える目

表面にある白い半透明のドーム(フレネルレンズと呼ばれるギザギザのレンズ)
の中で、人間が動いた瞬間に発生する「微細な熱(赤外線)のゆらぎ」を
焦電素子というセンサーが「電圧の変化」としてキャッチして作動します。
そのため、コタツのように熱いものや、犬や猫の動きにも普通に反応します。

明るさセンサー(あかるさセンサ)との連携

多くの製品には「明暗センサー」も内蔵されています。
人間が通っても、昼間で周囲の窓から十分な太陽の光が入ってきて
「明るい状態」であれば、「無駄に電気をつけない(作動しない)」
という極めてエコで賢い制御アルゴリズムが組み込まれています。

3. 素材・形状・規格

壁取付型と天井取付型

玄関の入り口など「壁のスイッチボックス」の中に入れ込む壁用と、
トイレや廊下の「天井」から真下をグルっと広範囲に監視する天井用
(親機・子機システム)の2つの大きな形状に分かれます。

トラブルメーカー「2線式」と安全な「3線式」

古い家の壁のスイッチ(線が2本だけ)をセンサーに交換するため、
電気を少し盗み取って動く「2線式」という魔法のような製品があります。
しかしこれは最新のLED電球と相性が悪く点滅しがちなため、
新規工事では電源を別で取る「3線式や4線式」の安定した製品を使用します。

4. 主に使用されている場所

使用される施設

住宅の「玄関ポーチ・廊下・階段・トイレ・洗面所」の5大スポットや、
オフィスビルの「給湯室・共用トイレ」、防犯用の駐車場など、
『人がずっと居座る場所ではない(通過・短時間滞在する場所)』の
すべての照明コントロールに導入されています。

具体的な設置位置(死角を作らない)

壁用は通常のスイッチと同じ床上1.2m付近ですが、
センサーの向いている方向に「開き戸などの障害物がない事」が条件です。
ドアを開けた裏側に隠れてしまうと人を感知できず真っ暗なままになるため、
ミリ単位での「検知範囲(エリア)」の図面計算が要求されます。

5. メリット・デメリット

メリット(長所)

圧倒的な利便性と節電効果。そして防犯効果です。
夜間に敷地内(駐車場など)に不審者が侵入した際、パッと突然明るい
ライトで照らされることは、泥棒にとって「見つかった!?」と
錯覚させる最上級の心理的ダメージとなり、即座に逃走させます。

デメリット(短所・弱点)

「人間がじっと動かないと居ないと判定されて数分で消灯する」ことです。
トイレにこもってスマホを見たり、長考していると急に真っ暗になります。
真っ暗な中、手を大きく「ばあッ!」と振って再び赤外線を変化させないと
電気が点かないという、滑稽な経験をする羽目になります。

6. コスト・価格の目安

導入や更新にかかる費用

ただの接点金具である通常のスイッチ(数百円)とは違い、
中に高度な半導体チップやリレー回路、レンズが入っている「超精密機器」
であるため、部品単価は通常スイッチの「10倍から20倍」もします。

おおよその相場(器具本体の価格帯目安・パナ製の場合)

  • 壁取付 熱線センサ付自動スイッチ: 約 7,000円〜10,000円
  • 天井取付型(親機・広角検知): 約 12,000円〜18,000円
  • 換気扇連動型センサー(トイレ用等): 約 12,000円〜15,000円

合計目安: 業者に交換込みで依頼した場合 約1万5千円〜3万円(箇所)。

7. 更新周期と注意点・絶対にやってはいけない悪い使用方法

更新周期(推奨交換時期)

内部の電子基板(リレー回路やコンデンサ)に常に電気が流れているため
「10年」で寿命を迎える電化製品です。劣化すると「人がいないのに
勝手についたり消えたりを無限に繰り返す(チャタリング等の誤作動)」や
「前で激しく踊っても一切反応しなくなる」というわかりやすい故障が起きます。

絶対にやってはいけない悪い使用方法

【NG事例】エアコンの真下や、強い西日が当たる窓ガラスに向けて設置する

センサーは「温度の変化・熱のゆらぎ」を感知して動くという原理上、
エアコンの室外機や吹き出し口から出る「急激な温風のうねり」や、
太陽の熱で揺らめく「強い西日の赤外線」を「人間が動いた!」と勘違いし、
誤作動(無人での勝手な点灯)を狂ったように連発してしまいます。

悪い使用方法をするとどうなるか(末路)

誰もいない深夜の廊下や駐車場などで、一晩中パカパカと電気が
ついたり消えたりを繰り返し、「もしかして泥棒!?」「家に幽霊がいる!」
といった心霊現象のような恐怖と不眠を引き起こし、
最終的にクレームになり位置を変更する高額なやり直し工事が発生します。

8. 関連機器・材料の紹介

センサースイッチによって「操作される側(受け側)」の代表設備です。

9. 多角的なQ&A(20連発)

一般人(施設利用者・通行人)目線

トイレでじっとしていると消えてしまいますが、対策はありますか?

最近の製品には「微動検知機能」といって、スマホを指でスクロールする
ようなわずかな動きでも見逃さない高感度モードが付いたものが主流です。
また、消えるまでの「保持時間(1分〜30分等)」を長めに設定し直すことも有効です。

昼間でもセンサーが反応して無駄に電気がつくのをやめさせたいです。

スイッチ本体のカバーを開けると、中に「明るさセンサ(明暗設定)」の
小さなツマミがあります。これを「暗設定(周囲が完全に暗い時だけ作動)」の
方にマイナスドライバーで回して調整すれば、昼間は無視するようになります。

ペットの犬(猫)が通るたびについてしまいます。

ペットの小さな熱にもしっかり反応してしまうためです。
対策として、天井センサーの場合はレンズの「犬が通るエリア(床・足元)」の
範囲だけ、専用の「検知エリアマスキングテープ(遮蔽シール)」を貼って目隠しします。

勝手についてほしくない時(来客時など)、手動で切ることはできますか?

多くの壁付けセンサースイッチには、下の方に「切・自動・連続入」
という切り替えスイッチが隠れてついています。
これを「切」にすればセンサーを無視し、「連続入」にすればずっと常時点灯になります。

普通の階段のスイッチを、自分でセンサー付きに交換できますか?

第二種電気工事士の資格が必要な上に、「片切」とは違う階段等の「3路配線」
の回路の途中に「2線式センサー」を適当に組み込むと、ショートするか全く
動かなくなるため、一般の方のDIYの中でも最難関の部類に入ります。業者に依頼請推奨です。

職人(施工者・電気工事士など)目線

古い家で「2線式」のセンサーを付けたら、LED電球が細かく点滅(フリッカー)します。

2線式センサーの宿命です。電源を確保するために消灯時もごく微量の
電流を回路に流し続けるため、安価なLED電球(コンデンサが小さいもの)だと
その電流に反応してチカチカ点滅やゴースト点灯を起こします。
指定のLED電球に変える必要があります。

じゃあ「2線式」は現場で使わないほうが(3または4線式が良い)ですか?

その通りです。新築の現場では安定動作のため必ずコンセントと同じく
「接地側・非接地側(電源2本)」+「照明への負荷線1本」の『3線式(4端子)』
を使って設計・施工するのが現代の常識でありトラブル回避の絶対条件です。

長い廊下に、天井用センサーを「2個」付けて連動させたい(親機・子機)。

非常に便利な使い方です。この場合、1つはリレー基板が入った「親機」とし、
もう1つはただの感知レンズだけの「子機」にして、親と子の間を専用の
通信線(信号線)で結びます。どちらが人を感知しても、親機がカチッと照明を点けます。

冬場になると、ダウンコートを着たおばさんが歩いてもセンサーが反応しません。

人間から発せられる熱線(赤外線)を「分厚い防寒具(ダウンジャケット)」が
完璧に断熱・遮断してしまっているため、センサーから見ると「背景と同じ温度」
の透明人間になってしまっており、感知できないという冬場特有の現象です。

お風呂(浴室中)にセンサースイッチをつけたいのですが。

浴室内に赤外線センサーをつけることは原則できません。
お風呂の「温かい湯気」と「人間の熱のゆらぎ」の区別がつかず誤作動する上、
防水性の過酷な環境だからです。通常は脱衣所の普通の壁スイッチから操作させます。

施工管理者目線

設計図で「トイレ:換気扇連動センサー」と書いてある時の配線の注意は?

「照明」と「換気扇」の2つの負荷(線)がスイッチに集まります。
人間が入ると『照明+換気扇がON』。人間が出ると『照明はすぐにOFFだが、
換気扇だけは臭いを抜くため5分間回り続けてからOFF』という超優秀な遅れ停止機能です。

壁センサーの高さ「H=1200」とあるが、前に下駄箱や観葉植物が被りそうです。

図面照合(プロット図作成)の際に絶対に修正すべきポイントです。
目の前に植物の葉っぱや棚があると、熱線が見事に遮断され一切反応しなくなります。
建具(建具表)や家具レイアウトと照らし合わせ、
場合によっては天井センサーへ変更(VE)します。

リビングなど「長時間人がテレビを見てくつろぐ場所」への導入は?

全く向いていません(クレームになるだけです)。人間がソファでじっと
静止している時間が長いため、すぐに消えてしまいストレスの根源になります。
リビングや寝室は、必ず「普通の手動スイッチ」を取り付けるのがセオリーです。

オフィスの「蛍光灯」をセンサーで頻繁にオンオフ(こまめに点滅)させて良い?

ダメです(LEDならOKです)。蛍光灯は構造上、1回点灯のスイッチをいれる度
に電極が激しいダメージを受け「約1時間分の寿命」が縮むとされているため、
センサーですぐにつけたり消したりすると数ヶ月で蛍光灯が真っ黒になって寿命を迎えます。

マンション玄関のセンサー照明で、「ほんのり点灯」という指定がありました。

「段調光型センサー」です。人がいない真っ暗な時間は「20%の明るさ」で
ぼんやりと常夜灯のように足元を照らし続け、人間が近づいた瞬間に
「100%」のフルパワーでパッと明るくなるという、
ハイクラスマンション定番の高級演出です。

設備管理者(オーナー・保守担当・維持管理)目線

夜中、だれもいないオフィスの廊下がずーっと点いたり消えたりしています。

①強風で近くの窓の「カーテンやブラインドが揺れている」
②ファックスなど「突然温かくなる熱源機器」がある
のどちらかの動きや熱の変化をセンサーが人間と勘違いして拾ってしまっている(誤検知)
状態です。

トイレに入るとセンサーの「カチッ」という音がするだけで電気がつきません。

センサー内部の「リレー(カチッという音を出すスイッチ接点)」自体は
人間の熱に反応して動いていますが、その先の「電球の玉切れ」による故障です。
まずは天井のLEDや電球を新しいものに交換してみてください。

センサーの白い半球ドーム(レンズ)が埃で真っ黒です。

赤外線センサーにとって汚れは大敵で、感度が著しく落ちて「前で
激しくラジオ体操しないとつかない」状態になります。
硬く絞った布で、レンズを傷つけないように優しくホコリを拭き取ってあげてください。

ビル全体の省エネのため、階段の照明をすべて手動スイッチから一斉交換したいです。

莫大な電気代の削減(ROI)が見込める素晴らしい設備投資ですが、
階段のような縦に抜ける場所はセンサーが誤作動しやすいため、壁に後付けで
ポンとつけるのではなく、「天井型の子機」を各階の踊り場に緻密に配置して連動させます。

停電して電気が復旧した後、センサーがいきなり「一斉に点灯」したままになります。

センサー内蔵のマイクロコンピュータの「初期化(ウォームアップ)動作」です。
停電で電源が切れた後、復旧すると「異常がないか」を確認するために
強制的に約1分間テスト点灯状態になる正常な反応ですので、
しばらく経てば勝手に消えます。