OVGR(地絡過電圧継電器)とは?
地絡時の電圧変化を検出し、方向地絡継電器と組合わせて使う装置
【超解説】とても簡単に言うと何か?
高圧配電系統の地絡事故を電圧の変化で検知し、波及事故を未然に防ぐ保護継電器です。
1. 基本概要
そもそも何か
OVGR(Over Voltage Ground Relay)とは、高圧回路で発生した「地絡(漏電)」によって生じる
「零相電圧(れいそうでんあつ)」を検知する継電器です。
多くの場合、DGR(地絡方向継電器)と組み合わせて使用されます。
なぜ必要なのか
高圧電路において、電線が劣化して地面と接触(地絡)
すると、本来発生しないはずの「偏り電圧」が生じます。
これを放置すると波及事故や火災に直結するため、
いち早く検知して遮断器を動作させる必要があります。
2. 構造や原理
内部構造
OVGR自体は判定と遮断信号を出す頭脳の役割であり、
電圧を拾ってくるセンサーである「ZPD(零相電圧検出器)」と必ずセットで使用されます。
ZPDからの微弱な信号をOVGRが受け取り、増幅・判定します。
作動原理
三相交流の電線において、漏電がなければ電圧は
打ち消し合ってゼロになりますが、漏電が起こるとバランスが崩れて「零相電圧」が発生します。
これが設定値(整定値)を超えた場合に動作します。
3. 素材・形状・規格
外観形状と素材
一般的な保護継電器と同様に、盤面取り付け用のプラスチック製ハウジングに収められています。
DGRやZPDとの接続端子が背面に用意され、前面には試験用のボタンや整定ダイヤルがあります。
種類や関連規格
JIS C 4602などの保護継電器の規格に沿って作られます。
現在ではDGRとOVGRが一体型となった製品(地絡方向継電器)
が主流となっており、単体で用いられることは減っています。
4. 主に使用されている場所
使用される施設
高圧ケーブル(6600V等)を引き込んでいるすべての施設。
特にケーブル条長が長く、構内での地絡電流が大きくなりやすい
大規模な工場や病院の受変電設備に必須です。
具体的な設置位置
キュービクル内の保護継電器盤のパネル面や、受電用遮断器(VCBやPASなど)の制御回路近傍に
設置されます。
5. メリット・デメリット
メリット(長所)
電流の大きさ(零相電流)だけでなく、電圧(零相電圧)
の要素も組み合わせて地絡を判定するため、
外部のもらい事故と自分の構内の事故を確実に切り分け
できる(DGRの構成要素となる)点が最大のメリットです。
デメリット(短所・弱点)
ZPDという専用のコンデンサ型検出器が必須となるため、
ZCT単体だけで済むGR(地絡継電器)方式と比べて配線が複雑になり、機器コストも上昇します。
6. コスト・価格の目安
導入や更新にかかる費用
通常はDGR(地絡方向継電器装置)やZPDとセットで
更新されるため、単体での価格よりシステム全体での費用を考慮する必要があります。
おおよその相場(機器+工事・更新の場合)
- DGR/OVGR継電器本体: 5万〜10万円前後
- ZPDやZCTの交換含むセット工事: 15万〜25万円前後
合計目安: 20万〜35万円程度(総合更新時)
7. 更新周期と注意点・絶対にやってはいけない悪い使用方法
更新周期(推奨交換時期)
電子式であるため、他の継電器同様に15年が目安です。
長期間使用すると内部のコンデンサが劣化し、誤動作や不動作を引き起こす恐れがあります。
絶対にやってはいけない悪い使用方法
ZPDの接地が確立されていないと零相電圧を正確に
測定できず、継電器が全く機能しなくなります。
悪い使用方法をするとどうなるか(末路)
構内で地絡事故が発生しても全く遮断されず、
変電所にまで波及する大事故(波及事故)を引き起こし、
近隣一帯停電の損害賠償を請求される事態に至ります。
8. 関連機器・材料の紹介
OVGRに関連する機器です。
-
ZPD(零相電圧検出器):
OVGRに零相電圧の信号を送る電圧センサー。 -
DGR(地絡方向継電器):
OVGRの電圧要素と、ZCTの電流要素を組み合わせて動作する高度な継電器。
9. 多角的なQ&A(20連発)
普通のブレーカーと何が違うのですか?
普通のブレーカーは「電気の使いすぎ」を見ますが、
これは「電気の漏れ(バランスの崩れ)」を見ます。
家庭にある漏電ブレーカーと同じですか?
目的は似ていますが、
より高い電圧(6600V)の特殊な漏電現象を監視する業務用の装置です。
これが作動するとどうなりますか?
漏電による火災を防ぐため、施設全体の電気を強制的に遮断して停電させます。
カミナリが鳴ると反応しやすいのは本当ですか?
はい、カミナリの影響で電線の電圧バランスが崩れると、
漏電と間違えて動作してしまうことがあります。
作動した場合は誰が直すのですか?
専門の電気主任技術者が漏電箇所を特定し、安全を確認してから復旧させます。
ZPDからOVGRへの配線で注意することは?
微弱な信号を扱うため、必ずシールド線を使用し、ノイズの影響を受けないよう配線します。
施工時のZPDの極性はどう確認すれば良いですか?
ZPDのY1・Y2端子からの配線ミスがないよう、色分けやマークチューブで厳密に管理します。
単独のOVGRを新しいマルチリレーに更新する際のコツは?
既存のZPDが新しい製品の定格(静電容量等)と適合しているかを事前に必ず確認します。
ZPDの接地端子(E)の接続を忘れるとどうなりますか?
零相電圧を全く検出できなくなり、地絡事故時に遮断されない致命的な欠陥となります。
制御電源の配線で間違いやすいポイントは?
AC/DCの仕様を間違えたり、
極性を逆に接続して内蔵ヒューズを飛ばす事故に注意が必要です。
受電前の総合試験ではどのようなテストをしますか?
模擬的にZPDから零相電圧を入力し、設定された電圧や時間で正確に遮断するか確認します。
図面照査においてOVGR周りで必ず確認すべき事項は?
方向性リレー(DGR)としてシステムが組まれているか、
ZCTとの組み合わせが正しいかを確認します。
更新工事の工期を見積もる際のリスクは?
ZPDの交換も伴う場合は高圧ケーブルの端末処理をやり直す可能性があり、
長時間の停電が必要です。
電力会社との協定は必要ですか?
保護協調の観点から、
電力会社の変電所よりも早く遮断されるよう整定値の打ち合わせが必要です。
耐圧試験時にOVGRを外す必要はありますか?
そのままでは内部回路が焼損する恐れがあるため、試験時は回路を切り離す措置が必要です。
ZPDではなく、なぜリレー側(OVGR)を交換するのですか?
ZPDは構造が単純で壊れにくいですが、
電子回路が密集しているOVGR側が先に寿命を迎えるためです。
もらい事故とは何ですか?
近隣の別の施設で起きた漏電の影響を受けて、
自施設が誤って停電してしまう現象のことです。
もらい事故を防ぐことができますか?
OVGR(ZPD)
とZCTを組み合わせた「方向性(DGR)」のシステムにすることで防ぐことができます。
更新の目安である15年を超えて使い続けると?
誤動作による不要な停電や、本物の事故時に動作しないリスクが高まり大変危険です。
停電原因が「地絡過電圧」と出た場合の初動は?
構内の高圧ケーブルやトランスのどこかで漏電している可能性が高いため、
直ちに電気保安協会等へ連絡します。