PF(電力ヒューズ)とは?
大電流が流れた際に溶断して回路を保護する高圧限流ヒューズ
【超解説】とても簡単に言うと何か?
短絡(ショート)電流を溶断して遮断する、一度きりの使い切り型の高圧ヒューズです。
1. PF(電力ヒューズ)の基本概要
PFとは何か・どのようなものか
PF(Power Fuse)は、日本語で「電力ヒューズ」と呼ばれます。
主に高圧受電設備(キュービクル等)において、LBS(交流負荷開閉器)
などのスイッチ類に取り付けられる、ガラスや陶器の筒状の部品です。
筒の内部には銀などの可溶体(溶ける金属の線)と、アーク(火花)
を消すためのケイ砂(細かい砂)が詰まっています。
何をするための物か・なぜ必要なのか
機械式のブレーカー(遮断器)は動作するまでにどうしてもわずかな時間(0.05秒など)
がかかりますが、大事故(短絡)時の凄まじい大電流はその一瞬で機器を完全に破壊し、
火災を引き起こします。電力ヒューズ(特に限流ヒューズ)は、
その大電流が最大に達する前に「自分自身を溶かして」
物理的に電気の道を素早く断ち切ります。どんな機械よりも早く、
確実に大事故を止めるための、施設と地域を守る極めて重要な最終防衛ラインです。
2. 種類と特性・選定基準
現在主に使われているのは「高圧限流ヒューズ」と呼ばれるタイプで、
保護する対象機器に合わせて文字記号で分類されています。
保護対象による特性の違い
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T特性(トランス用):
トランス(変圧器)の保護に使われます。電源を入れた瞬間の大きな電流(励磁突入電流)
では切れず、事故の時には確実に素早く切れるように設計されています。 -
G特性(一般・コンデンサ用):
SC(進相コンデンサ)等の保護に使われます。定常的な過負荷などに
耐えられるよう設計されています。 -
M特性(モーター用):
高圧電動機(モーター)の始動時の大電流に耐える特性です。
3. コスト・価格の目安
PFは「1回使い切り」の部品です。動作した場合は必ず交換費用と電気工事店の手配が
必要になります。
おおよその相場(機器+交換工事の場合)
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電力ヒューズ(PF)本体: 1本あたり 1万〜2万円前後(※三相のため通常は3本で
3万〜6万円) - 緊急駆けつけ・交換技術料: 3万〜6万円前後
- 原因調査・メガ(絶縁)測定費: 3万〜5万円前後
合計目安: 9万〜17万円程度(全交換時)
4. 注意点・絶対にやってはいけない悪い使用方法
三相交流(3本でワンセット)で使用中、事故で1本だけ
ヒューズが切れた場合でも、絶対にその1本だけを新品に交換して
再使用してはいけません。必ず「3本すべて同時」に新品に交換します。
悪い使用方法をするとどうなるか(末路)
事故時に1本目(または2本目)が切れた瞬間、まだ切れていないように見える残り
のヒューズにも許容ギリギリのすさまじいダメージ(熱や物理的ストレス)
が加わっています。外見は普通でも内部は劣化し、特性が大きく狂っているため、
そのまま使い続けると、通常の電流でも突然破裂・焼損したり、逆に肝心な事故の時に作動せず、
火災や波及事故を起こします。「もったいないから」とケチった結果、
数千万円の損害につながります。
5. 関連する機器・材料の紹介
PFと一緒に使われる機器や、比較される機器をご紹介します。
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LBS(交流負荷開閉器):
PFを取り付けて使用する、トランス操作用の手動スイッチです。
PFが切れると自動でオフになる機能を持っています。▶ 詳細記事はこちら -
VCB(真空遮断器):
ヒューズのように使い切りではなく、機械的に何度も大事故の電流を遮断で
きる上位のメイン・ブレーカーです。▶ 詳細記事はこちら -
トランス(変圧器):
PFが命をかけて守っている最も重要な電圧変換装置です。▶ 詳細記事はこちら
6. PFに関する多角的なQ&A(20連発)
家のブレーカーのように、レバーを上げれば直りますか?
直りません。PFは一度切れたら中の部品が溶けてなくなるため、
必ず新しい部品丸ごとに交換する必要があります。
ヒューズが切れると施設はどうなりますか?
そのヒューズが担当しているエリア(特定の照明や空調)が完全に停電します。
復旧には専門業者の手配が必要です。
雷が落ちた時に切れるのはこの部品ですか?
雷の被害を直接受けて機械を守るために保護動作をしてヒューズが切れることはよくあり
ます。安全装置が働いた証拠です。
なぜ壊れる(使い切りの)仕様になっているんですか?
「自分自身を物理的に溶かす」のが、どんな機械よりも早く、
確実に電気の流れを止めることができるからです。
PFが切れた瞬間に音はしますか?
キュービクルの中で「バン!」という小さな破裂音のような音が鳴ることがあります。
交換時、ストライカの向きで気を付けることは?
必ず「突き出しピン」マークがある側(ストライカ側)を、
LBSの引き外しレバー機構がある方向に向けて差し込みます。
PFを取り付ける時に叩き込んでも良いですか?
絶対にダメです。内部の可溶体が断線したり、ガラス管や陶器管が割れて大事故の原因になり
ます。
ヒューズが切れた原因を調査せずに交換しても良い?
絶対にダメです。絶縁不良(メガ)などの原因を解決しないまま新品を入れると、
入れた瞬間に再度破裂・焼損して職人自身が大やがをします。
手元にT特性のヒューズが無い場合、G特性で代用可能?
原則不可です。トランスの励磁突入電流でG特性ヒューズがすぐに切れてしまう可能性が
高いです。
PFの管表面が白く粉を吹いています。
長年の湿度やコロナ放電による劣化の兆候です。割れやすくなっているため、
次回の年次点検で交換を提案します。
トランス容量(kVA)に対するPFのアンペア選びの基準は?
一般的に、変圧器の一次側定格電流の「1.5倍〜2倍」程度の定格電流を持つPFを選定します。
コンデンサ回路用のG特性PFはどのように選ぶ?
突入電流と高調波を考慮し、コンデンサの定格電流の「2倍〜3倍」
にあたる数値でG特性(またはC特性)を選びます。
他メーカーのPFを混用して盤に組んでも良いか?
特性のバラツキが生じるため、同じトランスやコンデンサの三相回路内では
同一メーカー・同一形式で必ず統一します。
保護協調においてPFが担う役割とは?
メインのVCBよりも「末端側(負荷側)の短絡事故」を瞬時に切り離し、
VCBを動作させない(全停電を防ぐ)ことです。
限流ヒューズと非限流ヒューズの違いを施主にどう説明する?
「現在主流の限流型は、事故電流が最大になる前に切るため、
周囲の機器が受けるダメージを劇的に小さくできる」と説明します。
PFの推奨更新時期(寿命)は何年ですか?
屋内設置の限流ヒューズで「15年」が目安です。切れていなくても内部の金属が劣化し、
誤動作のリスクが高まります。
予備のPFを施設内に保管しておくべきですか?
3本セットを常に保管しておくことを強く推奨します。取り寄せに数日かかると、
その間施設の一部が営業不能になります。
PFが切れたかどうか、外から見てわかりますか?
はい、ストライカ付きの場合は、筒の端から飛び出したピンが見えるため、
目視で溶断が確認できます。
点検でPFを取り外す際、破損しやすいのはなぜ?
古くなると受け金具が固着してしまうためです。無理にこじると碍子(ガラスや陶器部)
が割れるため扱いに注意します。
PF交換費用を保険で落とすことはできますか?
雷や動物の侵入など、外的要因による突発事故であれば動産総合保険などでカバーで
きるケースがあるため代理店に確認します。