プラモール・線ぴ(配線カバー)とは?
乱雑なコードを素早く壁と一体化させる、美観の専用工具
【超解説】とても簡単に言うと何か?
露出した電線やLANケーブルの上からカパッと被せて隠す、プラスチック製の化粧カバーです。
1. 基本概要
そもそも何か
「プラモール」は、樹脂製の「土台の溝(ベース)」と、上から蓋をする
「カバー」の2ピース構造になった配線保護材です。中に通るコードを
ホコリや足の引掛けなどの断線トラブルから守りつつ、木目調などで
部屋のインテリアの景観を損なわないための化粧カバーです。
建築法規における「線ぴ(せんぴ)」
プロの電気工事用語では、これら幅5センチ未満の細い蓋付きダクトの
ことを「第一種金属製線ぴ」や「合成樹脂製線ぴ」と呼びます。
「ぴ」という謎の言葉の語源は諸説ありますが、建物の配線法規の中で
正式に認められた立派な「電線管の一種」として扱われます。
2. 構造や原理(ワンタッチの魔法)
パチンという勘合(かんごう)構造
一番の特徴は、土台となるレールを壁や床にテープや極小のネジで留め、
長々とコードを入れ込んだら、上からの「フタを上から指で撫でるだけ」で
『パパパパッ!』とジッパーのように閉まって一体化する勘合構造です。
後からフタの隙間にマイナスドライバーを突っ込めば何度でも再開閉できます。
コーナー(曲がり角)の処理専用パーツ
ただ直線に貼るだけでは、部屋の角(入隅・出隅)で中のコードが
丸見えになります。ここを隠すため、「曲がり(L字)」「T字分岐」
といった上から被せるだけの『専用ジョイントパーツ』が全てのサイズ・色に
用意されており、これを使うことで一般の方でも一瞬でプロの仕上がりになります。
3. 素材・形状・規格
サイズは「号(ごう)」で呼ぶ
モールの太さは1号〜4号(または0号〜)と表現されます。
・**0号**: 電話線や細いLANケーブル「1本」が限界の極細。
・**1号**: 最も一般的。細身のVVFケーブル等用。
・**2号・3号〜**: 延長コードの太い線や、数本の線を束ねて入れられる太さ。
メタルモール(鉄製)とワゴンモール(床用)
プラスチック(プラモール)以外にも種類があります。
・**メタルモール**: 金属製(鉄)で超頑丈。学校や工場など衝撃がある場所。
・**ワゴンモール**: 断面がかまぼこ型(半円)で、床の上に貼っても
台車や人の足が躓かないように段差をなだらかにした「床専用」のモールです。
4. 主に使用されている場所
使用される施設
一般住宅のリビング(テレビやルーターの裏)、オフィス、賃貸物件、店舗等。
壁の中に線を埋め込む「隠蔽配線(いんぺいはいせん)」ができない、
またはエアコンを後付けした際の「露出配線」を美しくごまかすための
最終手段として、室内空間の隅っこを縦横無尽に走ります。
具体的な設置位置(目立たない場所の法則)
壁の真ん中を斜めに横切るのは見た目最悪タブーです。
必ず「巾木(はばき:床と壁の見切り材)の上」を一直線に沿わせるか、
「部屋の四隅(角)」の縦ラインに「透明のコーキング」と一緒に
同化させてピタッと貼り上げ、忍者へのカモフラージュを図ります。
5. メリット・デメリット
メリット(長所)
「壁の中(ボード内)を通す工事」に比べて、10分の1の安さと早さで
完了し、しかもDIYで誰でも安全に作業ができる点です。
壁の色(白なら白、茶色い木目壁なら木目テープ付きのモール)に合わせれば、
パッと見ではそこに配線があることすら気が付かないレベルに馴染みます。
デメリット(短所・弱点)
テープの「粘着力との戦い」です。
壁紙(クロス)の上に両面テープで貼ったモールは、中に重い100Vの
電線を入れた状態だと、時間経過と湿気により、テープが耐えきれずに
『壁紙の薄皮ごとビリビリに剥がれ落ちてくる(剥落する)』大悲劇が起きます。
6. コスト・価格の目安
導入や更新にかかる費用
電材の中でも最も安価で手軽な部類です。ホームセンターで
1メートルの棒(底面に強力テープ付き)が文字通りバラ売りされています。
おおよその相場(材料費のみ・未来工業製などの場合)
- プラモール(0号〜2号・テープ付き・1m): 約 150円〜250円/本
- 曲がり角やT字のジョイント部品: 約 80円〜150円/個
- 床用ワゴンモール(人が乗っても割れない強化版・1m): 約 1,000円〜1,500円/本
合計目安: 部屋の端から端へルーター配線を引っ張る程度なら、
1,000円ちょっとでプロ並みに綺麗に隠すことが可能です。
7. 更新周期と注意点・絶対にやってはいけない悪い使用方法
更新周期(推奨交換時期)
プラスチックですので、日光(紫外線)が当たる窓際などに貼ると
真っ白だったモールが数年でタバコのヤニのように「真っ黄色(黄変)」
になります。見た目が不潔になり、プラスチックがパキパキに割れるようになったら
テープをドライヤーで温めて剥がし、新しいモールへ張り替えます。
絶対にやってはいけない悪い使用方法
太い電線を数本「無理やりギュウギュウに押し込んで」フタを締める
少し線の量がオーバーしている時、フタが閉まらないのを指で力任せに
押し込み、上からガムテープ等で押さえつける極めて危険な行為です。
中の電線が高熱を持った際、密閉されたプラスチック空間で熱が逃げ場を失い
内部被覆がドロドロに溶けて、壁伝いに火柱が立ち上る恐ろしい火災(放熱阻害)を招きます。
悪い使用方法をするとどうなるか(末路)
モールの中の線の占積率(空間の空き)は、熱を逃すために法律で
『内断面積の20%以内(電線の場合)』などに大きく余裕を持つよう決められています。
「フタがパーン!と弾け飛ぶ」ようなら、間違いなく危険容量であると認識し、
ワンサイズ太いモール(3号など)へ必ず交換してください。
8. 関連機器・材料の紹介
モールと組み合わせて部屋を美しく構築する必須ツールです。
-
露出コンセント(後付け壁コンセント):
モールの末端にピッタリ接続でき、部屋の好きな場所に
新しく作ることができる「箱の形をした電源差込口」です。
▶ 詳細記事はこちら -
LANケーブル・通信線・テレビ同軸ケーブル:
これらを這わせるためにルーターから一番遠い部屋まで、
モールの長い長い旅(DIY)が始まります。
(弱電線は発熱しないので少し詰め込んでも大丈夫です)。
9. 多角的なQ&A(20連発)
賃貸マンションですが、壁紙に両面テープでモールを貼っても退去時に怒られませんか?
モール裏に最初から付いているスポンジ両面テープは超強力で、
退去時に剥がそうとすると確実に「壁紙(クロス)」がビリビリに破れて敷金を取られます。
「マスキングテープ(養生テープ)」を壁に貼り、
その上からモールを貼るのが賃貸DIYの鉄則です。
1メートルあるモールを、中途半端な「50センチ」で切りたいです。
プラスチック(樹脂)は薄いため、ハサミやカッターで強引に切ることも
可能ですが、割れて切り口がギザギザになり見栄え最悪になります。
安価な「モールカッター」か、
細かい刃の「塩ビ等の専用ノコギリ」で切るとプロのようにスパンと切れます。
床に貼った「かまぼこ型のモール(ワゴンモール)」が両面テープですぐ剥がれます。
床がワックスやフローリングの油分でツルツルになっているためです。
アルコール等で床の油分を完全に拭き取った後に「強力両面テープ」で貼るか、
木材の床なら極小の「隠し釘(隠しビス)」
を1本だけ打ってズレを完全にロックしてください。
モールの隙間から、クモなどの虫が入ってきそうで気持ち悪いです。
モールの両端(末端)がスコーンと開いていると、そこは絶好の虫たちの通り道
(マンション)になります。必ず、別売りで数十円の「エンドキャップ」
という終端止め用の蓋パーツを買ってきて、出入り口を完全に塞ぐのが正しい施工です。
黒い壁に白いモールを貼ってしまい、浮いていて後悔しています。ペンキで塗ってもいい?
プラスチックの上にそのまま塗るとペリペリと絵の具のように剥がれます。
ホームセンターで「プライマー(ミッチャクロン等)」という下地スプレーを
吹いてから、水性塗料などを塗れば黒やグレーなど好きな色に染めかえる事が可能です。
モールの「コーナー(L字曲がり)」の直線の切り合わせでいつも失敗します。
モール本体同士を角で「45度に切ってピッタリ合わせる(留め切り)」のは
神業に近い職人技を要し大変です。そのため、素直に
『曲がり用のコーナーカバー(上から覆いかぶせる四角いふさい部品)』
を買えば、切り口がガタガタでも隠れます。
クロス(壁紙)の上に貼ったモールが、「線の重み」で夏に垂れ下がってきます。
クロス(紙)の限界接着力を重力が超えている状態です(特にVVFケーブル通線時)。
テープに頼るのではなく、モールのベース(底)に数カ所ほど「ピンネイル(虫ピン)」
か「極細のビス」を石膏ボードの奥の木材(胴縁)めがけて打ち込んで重さを支えます。
モールを石膏ボード壁にビスで打つとき、「ボードアンカー」は必要?
重い棚を吊るわけではないため、モールの自重程度であればゴツイボード用
アンカーは不要なことが多いです。ただしビスだけだとスポスポ抜けるため、
「両面テープの接着力」
+「補助としての細ビス(抜け止め)」のハイブリッドで持たせます。
コンクリートの壁にモールを貼りたいが、デコボコでテープが一切付きません。
打ちっぱなしコンクリや砂壁には両面テープは無力(一晩で剥がれる)です。
速乾性の「接着剤(ボンドGクリヤーなど)」を裏面に点々と塗って、
強力なダクトテープで一晩仮止めして完全硬化させる「木工ボンド工法(直貼り工法)」
へ切り替えます。
メタルモール(鉄製)をカナヅチで叩いてしまい、凹んでフタができなくなりました。
鉄製のモールは一度コの字の溝が変形(ハの字に広がるなど)すると、
上からの金属のフタがスライドして長期間外れなくなります。
叩く際は必ず「当て木」をしてソフトハンマーで叩く等、
レールのレール幅を命がけで守って施工します。
マンションの新築図面で、
リビングのエアコン配管が「モール仕上げ(露出)」と書かれています。
最安コストの建売や賃貸でよくある仕様ですが、入居者から「見栄えが安い」
とクレームの元になります(本来は壁の中に隠蔽配管すべき)。
せめて壁紙の色に完全に同化する色型番を選定し、
コーナーパーツを綺麗に使うよう職人を監視します。
防火区画をモールが貫通する場合の法規解釈は?
プラスチックのモールが防火壁の穴をブチ抜いていると、火災時にモールが燃えて
隣の部屋に火柱をパスしてしまうため消防法・建築基準法で一発アウト(不合格)です。
必ず壁の手前で一度切断し、
金属管(または耐火パテ充填)の構造で防火処理をして貫通させます。
「100Vの強電(コンセント)」
と「LAN(ネット用・弱電)」を同じモールの中に同居させて良い?
内線規程により、強い電気のノイズがLANに干渉して通信障害が起きるため、
原則「別のモール(それぞれ数センチ離す)」で配線するよう指示します。
一つの太いモールで済ませる場合は、
中に「鉄の仕切り板(セパレータ)」がある特殊モールを使います。
長い廊下でモールを何十メートルもピシッと一直線に貼る指示のコツは?
人間の目測で貼らせると、波打つ「うどん」のようにグニャグニャになり最悪です。
必ず床からレーザー墨出し器で「まっすぐな赤い赤外線ライン」を壁に当て、
その光の線にピッタリ合わせてミリ単位でモールの底を貼っていくよう妥協を許さない指示を出
します。
天井用のモール(逆さ貼り)についての落下対策は?
テープだけで天井に貼ると、夏場の熱でテープの接着剤がドロドロに溶け、
ある日突然重力で「ダラ〜ン!!」と頭上に配線が落下するホラー映画になります。
特に天井(天面)貼りに関しては、
テープを信用せず必ず「ネジ留め(ビスアップ)」を絶対義務とします。
床の「かまぼこ型モール」
に台車が乗るたびに「バキッ」と大きな音がしていつか割れそうです。
ワゴンモールの中でも、プラスチック製には耐荷重限度(約数キロ)があります。
重い台車や電動車いすが日々通過する箇所であれば、直ちに割れる前に
「アルミ製(またはステンレス製)」
の高強度メタルモールに取り替えないと足や車輪を怪我します。
一度フタを閉めたモールを開けようとしたら、爪が割れて血が出ました。
モールの勘合は非常に強力で、素手(爪)で開けようとすると指を怪我します。
端にあるキャップを少し外し、空いた「隙間」にマイナスドライバーを
スッと差し込んで「ひねる」と、
『パチパチパチッ』とジッパーのように簡単に安全に開けることができます。
モールの上がホコリまみれになりました。水拭きして良いですか?
表面だけの軽い水拭きはギリギリOKですが、洗剤液の付いた雑巾をなすりつけるのはNGです。
モールの蓋の「合わせ目(スリット)」から水滴が内部に吸い込まれ、
中の古い電線やコンセントに達した途端にパチッと漏電が起き、
ブレーカーが落ちる惨事となります。
古い事務所で、壁がモールだらけで迷路のようにグチャグチャで醜いです。
何十年も「OA機器や電話機が増えるたびに、場当たり的にモールを増設していった」
ビルのなれの果てです。美観と安全面で限界であり、連休などに大々的に
床を剥がして「OAフロア工事(全て床下に隠す)」
を行うための大きな改修予算を組む時期に来ています。
ペット(犬やウサギ)が壁のモールの角をかじってボロボロにしています。
あるあるです。プラスチックの角は噛み心地が良いため絶好のおもちゃになります。
かじり進めると中の100Vの電線に歯が達してペットが重篤な感電事故になる重大なリスクがあ
るため、金属製のメタルモールに即座に変えるか、
市販の「噛み防止スプレー(苦い味)」をモールに強烈に塗布します。