鉄筋・スペーサーブロック
鉄筋のかぶり厚さを確保するためのスペーサーブロック

【超解説】とても簡単に言うと何か?

コンクリートの内部に埋め込まれる鋼鉄の棒(鉄筋)と、その鉄筋がコンクリートの表面に露出しないように適切な隙間を確保するために下に敷く小さなブロック(スペーサー)です。

1. 基本概要

そもそも何か

「引っ張りに弱い」というコンクリートの弱点を補強するために網目状に組まれる鋼材(筋肉)と、その筋肉を酸化(サビ)から守るためのコンクリートの厚み(かぶり厚)を正確に保つための位置決め部材です。

なぜ必要なのか

コンクリート単体では、地震で建物が揺れた時に引っ張られて簡単にポッキリと折れてしまいます。鉄筋を入れることで粘り強さを持たせ、スペーサーで鉄筋を定位置に固定することで、初めて設計通りの強度と寿命(数十年〜百年以上)を発揮できるからです。

2. 構造や原理

内部構造(特徴的な構造)

鉄筋はただの棒ではなく、表面に「リブ」や「節(ふし)」と呼ばれる凸凹がついており、コンクリートとがっちり噛み合って抜けなくなる構造(異形鉄筋)です。スペーサーブロックは、サイコロの各面が40mm、50mm、60mmと微妙に違う寸法になっており、置く向きによって高さを変えられる構造になっています。

作動原理(配置の仕組み等)

職人が鉄筋を縦横の格子状に組み、交差する部分を細い針金(結束線)で縛って固定します。その鉄筋の網の下にスペーサーを挟み込むことで、鉄筋全体が地面や型枠から「数センチ宙に浮いた状態」になります。そこに生コンを流し込むことで、鉄筋の全周をコンクリートが包み込みます。

3. 素材・形状・規格

外観形状と素材

鉄筋は黒みがかった銀色(または赤サビ色)の凹凸のある鉄の棒です。スペーサーブロック(サイコロ)は、手のひらサイズのモルタル製の四角いブロック。壁用にはプラスチック製の円盤型(ドーナツ)も使用されます。

種類や関連規格

鉄筋の太さは「D10」「D13」「D22」など(D=直径mm)の規格があり、強度の種類(SD295、SD345等)で硬さが分かれます。スペーサーは「コンクリート製」「プラスチック製」「鋼製(バーサポート)」などがあります。

4. 主に使用されている場所

使用される施設

木造住宅の基礎コンクリートの中、マンションやビルの柱・梁・壁・床(スラブ)の中、橋の橋脚など、あらゆる「鉄筋コンクリート(RC)構造」の内部です。

具体的な設置位置

完成した建物では完全にコンクリートの中に埋まって見えなくなりますが、建物の形そのもののシルエットとして、コンクリートの表面から数センチ内側の部分に張り巡らされています。

5. メリット・デメリット

メリット(長所)

【メリット】圧縮に強いコンクリートと、引張に強い鉄筋が合体することで、地震大国日本において最も強靭で耐火性に優れた建物(RC造)を作ることができます。

デメリット(短所・弱点)

【デメリット】鉄はサビると膨張してコンクリートを内側から破壊するため、スペーサーを用いた厳密な位置管理(かぶり厚の確保)を少しでも怠ると、建物の寿命が半減するというシビアさがあります。

他の手法との違い

木造の柱や鉄骨造(S造)が「骨格だけで建物を支える」のに対し、鉄筋コンクリートは「鉄の骨格を石の肉体で包み込み、一体化して建物を支える」という強固な構造です。

採用時の注意点

コンクリートを流し込む前に行う「配筋検査」で、鉄筋の太さ、本数、間隔、そしてスペーサーによる「かぶり厚」が設計図通り1ミリの狂いもなく確保されているかを徹底的に確認することです。

6. コスト・価格の目安

導入や更新にかかる費用

材料自体は鉄の重量(トン単位)で取引されます。鉄筋工事のコストの大半は、重い鉄筋を運び、一本一本手作業で結束していく「鉄筋工(職人)の人件費」です。

おおよその相場

鉄筋材料費は時期によりますが、1トンあたり10万円〜15万円前後です。スペーサーブロック(サイコロ)は1個数十円と非常に安価ですが、建物全体で何千個も使用されます。

7. 更新周期と注意点・絶対にやってはいけない悪い使用方法

更新周期(推奨交換時期)

建物が完成した後は更新(交換)することは不可能です。そのため、最初の施工段階で100年もたせるための完璧な施工(かぶり厚の確保)が要求されます。

絶対にやってはいけない悪い使用方法

【NG事例】
スペーサーブロックをケチって間隔を広げすぎること。または、コンクリート製のサイコロの代わりに、その辺に落ちている木の切れ端や塩ビ管のゴミをスペーサー代わりに敷くことです。

悪い使用方法をするとどうなるか(末路)

木の切れ端はコンクリートの中で腐って隙間(シロアリの通り道)になり、規定の高さが保てない場所では鉄筋が表面に露出します。そこから雨水が侵入して鉄筋が爆発的にサビて膨らみ、コンクリートが剥落して建物の強度が崩壊します。

8. 関連機器・材料の紹介

9. 多角的なQ&A(20連発)

一般人(DIY・施主)目線

コンクリートの建物の中に鉄筋を入れるのはなぜ?

コンクリートは「押しつぶされる力(圧縮)」には非常に強いですが、「引っ張られる力や曲げられる力(引張)」には弱く、簡単にヒビが入って折れてしまいます。その「引っ張りに弱い」という弱点を、引っ張りに極めて強い鉄筋を入れることで補い合い、最強の人工石(鉄筋コンクリート:RC)を作るためです。

鉄筋の表面がボコボコ(デコボコ)しているのはなぜ?

ツルツルの鉄の棒だと、固まったコンクリートの中からスポッと抜けやすくなります(付着力が弱い)。表面にリブ(節)と呼ばれるデコボコをつけることで、コンクリートとがっちり噛み合い、一体化させるためです。これを「異形鉄筋」と呼びます。

鉄筋が赤くサビているのを見たけど大丈夫なの?

表面のうっすらとした「浮きサビ(赤サビ)」は、コンクリートとの摩擦(付着力)を逆に高める効果もあるため、多少なら全く問題ありません。ただし、ボロボロと皮が剥がれるような深いサビは強度が落ちるため使用禁止です。

コンクリートを流す前に置いてある「サイコロ」みたいなブロックは何?

それが「スペーサーブロック(通称:サイコロ)」です。鉄筋の下に敷いて、鉄筋が地面や型枠に直接触れないように浮かせ、鉄筋の周りに決められた厚さのコンクリート(かぶり厚)が確実に行き渡るようにするための極めて重要な部品です。

なぜ鉄筋がコンクリートの表面から見えちゃダメなの?

鉄は空気や雨水に触れるとサビて膨張します。鉄筋がサビて膨らむと、内側からコンクリートを破壊して押し剥がしてしまいます(爆裂現象)。これを防ぐため、鉄筋の周囲には数センチ以上の「コンクリートのバリア(かぶり厚)」が絶対に必要だからです。

職人(オペレーター・土工等)目線

鉄筋を結束する「ハッカー」と「結束線」のコツは?

ハッカーの先端を結束線の輪に引っかけ、手首のスナップを利かせてクルクルと締め付けます。締めすぎると線がちぎれ、緩いと鉄筋が動いてしまいます。熟練の鉄筋工(職人)は、目にも止まらぬ速さで一日数千箇所を結束します。

スペーサーブロック(サイコロ)を置く間隔のルールは?

設計図書によりますが、一般的にスラブ(床)では1平米あたり4個程度、梁や壁でも約1m〜1.5m間隔で配置し、コンクリートを流し込んだ圧力や人が乗った重みで鉄筋がたわまない(かぶり厚が確保できる)ようにします。

鉄筋の「継手(つぎて)」の種類と注意点は?

鉄筋が短くて繋ぐ場合、昔ながらの「重ね継手(並べて結束する)」の他に、ガスバーナーで熱して圧着する「ガス圧接」、筒状の金具を通す「機械式継手」などがあります。継手の位置が同じ場所に集中しないよう(いも継手の禁止)、位置をずらす(千鳥配置)ことが重要です。

太い鉄筋(D22など)を曲げる時の作業は?

現場での手曲げは不可能なので、あらかじめ工場で曲げ加工(フック付きなど)されて運ばれてきます。現場で少し微調整する場合は、専用の油圧式鉄筋ベンダー(曲げ機)を使用します。熱して曲げるのは強度低下を招くため原則禁止です。

コンクリート打設中(流し込み中)に鉄筋工が立ち会うのはなぜ?

ドロドロのコンクリートが勢いよく流れ込む圧力や、バイブレーターの振動、土工が乗って歩くことで、鉄筋がズレたりスペーサーが外れたりします。それをその場ですぐにバールで直す「合番(あいばん)」という重要な役割があるからです。

施工管理者(現場監督)目線

「かぶり厚さ」の管理において現場監督が最も注意すべき点は?

鉄筋からコンクリート表面までの最短距離(かぶり厚)が、建築基準法で定められた寸法(基礎なら60mm以上、柱なら40mm以上など)をミリ単位で確実に満たしているか、打設前にメジャーを当てて全箇所を写真に収める「配筋検査」です。

配筋検査でよく指摘される「NGポイント」は?

結束線のヒゲ(結び目の端)が型枠側に飛び出していること(そこから水が侵入してサビる)、鉄筋の空き(隙間)が狭すぎてコンクリートの砂利が詰まって入らないこと、およびスペーサーブロックが割れたり転んだりしていることです。

鉄筋の「ガス圧接」の品質検査はどう行う?

圧接職人が繋いだ部分の「ふくらみの直径と長さ」が規格通りかを目視で全数検査し、さらに第三者機関によって超音波探傷試験(エコー検査)または引張試験を行い、内部に欠陥がないかを科学的に証明します。

プラスチック製の「ドーナツ型スペーサー」の使い所は?

サイコロ型のコンクリートブロックは床(スラブ)や底面に使いますが、壁や柱などの垂直な部分には、鉄筋にパチッと嵌め込んで型枠との距離を保つ、円盤型(ドーナツ型)のプラスチック製スペーサーを使用します。

鉄筋の「ミルシート(鋼材検査証明書)」とは何ですか?

現場に入ってきた鉄筋が、どこの製鉄所でいつ作られ、どの程度の引張強度や化学成分を持っているかを証明する血統書のような公的書類です。材料搬入時に必ず受領し、設計通りの強度(SD295Aなど)か確認します。

設備管理者(重機リース・安全管理)目線

家の基礎の鉄筋の数が、設計図より多ければ多いほど頑丈になるの?

いいえ。鉄筋を密に入れすぎると、コンクリート(砂利)が奥まで隙間なく入っていかず、空洞(ジャンカ)ができて逆にスカスカの脆い基礎になってしまいます。「適切な太さ・適切な間隔」を守ることが最も重要です。

基礎のコンクリートの表面から、茶色いサビ水が流れています。

「かぶり厚不足」により、内部の鉄筋が表面に近すぎてサビてしまったか、鉄筋を結束した針金(結束線)の先が表面に飛び出してサビている可能性が高いです。放置するとコンクリートが剥がれ落ちるため、早急に補修が必要です。

基礎工事の時、青や黄色の丸いプラスチックが挟まっているのを見ました。

それが壁や基礎の立ち上がり部分に使われる「ドーナツ型スペーサー」です。型枠(木の板)と鉄筋がくっつかないように、一定の隙間(かぶり厚)を確保するための重要なアイテムなので、取り外さないでください。

鉄筋の材料代は建物の建築費のどれくらいを占めますか?

RC(鉄筋コンクリート)造の建物の場合、コンクリート工事と鉄筋工事で全体の建築費の約3〜4割を占める非常に大きなウェイトとなります。鉄スクラップの相場によって価格が変動します。

木造住宅の基礎に使われる鉄筋の太さは?

一般的に「D10(直径約10mm)」「D13(約13mm)」「D16(約16mm)」という太さが使われます。Dは異形鉄筋(Deformed bar)の略で、部位によって太さを使い分けます。