冷媒配管(銅管・フレア加工)とは?
エアコンの「血管」として冷媒を循環させる銅のパイプ
【超解説】とても簡単に言うと何か?
エアコンの室内機と室外機を
つないでいる銅のパイプのことです。
この管の中を冷媒ガスが行き来して
熱を運んでいます。
太い管(ガス管)と細い管(液管)の
2本セットで使われます。
1. 基本概要
そもそも何か
冷媒配管は、エアコンや冷凍機の室内機と室外機を接続し、冷媒(フロンガス)を循環させるための銅管です。
液状の冷媒が流れる「液管」(細い管)と、ガス状の冷媒が流れる「ガス管」(太い管)の2本で1セットです。
銅は熱伝導率が高く加工しやすいため、冷媒配管の素材として世界的に標準となっています。
なぜ必要なのか
ヒートポンプ式の空調機は冷媒の循環によって熱を移動させます。
室内機と室外機が離れた場所に設置されるため、この間を冷媒配管で接続する必要があります。
配管の品質(気密性・清浄度)が空調機の性能と寿命に直結する重要な部材です。
2. 構造や原理
2本1組の理由
冷房運転時:室内機で蒸発した低温低圧のガス冷媒がガス管を通って室外機へ。
室外機で凝縮した高温高圧の液冷媒が液管を通って室内機へ戻ります。
暖房時はこの流れが逆転します。
ガス管は体積の大きいガスが流れるため管径が太くなっています。
フレア加工とは
銅管の先端をラッパ状に広げる加工のことです。
フレアナットで機器の接続部に押し付けて密封する「フレア継手」を作ります。
ルームエアコンの接続は主にフレア方式で、ビル用マルチでは「ろう付け」方式も使われます。
ろう付け接続
銅管同士をソケット継手に差し込み、バーナーで加熱しながら銀ろう(BCuP-2等)を流し込んで接合します。
高い気密性が得られ、ビル用大型空調の幹線配管で使用されます。
窒素ブローしながら施工し、内部の酸化を防ぎます。
3. 素材・形状・規格
材質:りん脱酸銅(JIS H 3300 C1220T)。
主な管径(呼び名):
2分(6.35mm):液管、3分(9.52mm):ガス管(小型機)、4分(12.7mm):ガス管(中型機)、5分(15.88mm):ガス管(大型機)。
肉厚:0.8mm(薄肉)〜1.0mm(厚肉)。
販売形態:直管(4m定尺)またはコイル巻き(20m、50m)。
断熱材:発泡ポリエチレン(保温材)付きの「被覆銅管(ペアコイル)」が一般的。
4. 主に使用されている場所
家庭用ルームエアコンの接続配管、
ビル用マルチエアコンの幹線・枝管、
チラー・ファンコイルの冷温水配管(大口径)、
冷凍・冷蔵設備の冷媒配管、
ヒートポンプ給湯器(エコキュート)の配管。
5. メリット・デメリット
メリット(長所)
加工性に優れる:銅は柔らかく曲げやすいため、現場での取り回しが容易です。
耐食性が高い:銅は大気中で安定した酸化被膜を形成し、腐食しにくい素材です。
熱伝導率が高い:アルミの約1.7倍の熱伝導率で、効率的な熱交換に貢献します。
デメリット(短所・弱点)
材料費が高い:銅の市場価格は変動が大きく、他の金属管に比べて高価です。
フレア加工に技術が必要:加工不良は冷媒漏れに直結するため、正確な技術が求められます。
アンモニア冷媒には使用不可:銅はアンモニアに腐食されるため、鋼管を使用する必要があります。
6. コスト・価格の目安
おおよその相場
- ペアコイル(2分3分、20m): 8,000〜15,000円程度
- ペアコイル(2分4分、20m): 12,000〜20,000円程度
- 直管(3分、4m×10本): 15,000〜25,000円程度
- フレア工具セット: 8,000〜30,000円程度
- 配管工事費(ルームエアコン): 5,000〜15,000円/m程度
7. 更新周期と注意点・絶対にやってはいけない悪い使用方法
更新周期(推奨交換時期)
銅管自体の耐用年数は30年以上と非常に長寿命です。
ただしフレア接続部の経年劣化や断熱材の劣化により、エアコン本体の更新時(10〜15年)に同時交換するのが一般的です。
隠蔽配管で配管の再利用が難しい場合は、配管洗浄(フラッシング)を行って流用します。
絶対にやってはいけない悪い使用方法
配管内の水分は冷媒と反応して
酸を生成し、コンプレッサーの
内部部品を腐食させます。
切粉やバリが残ると
膨張弁の詰まりや
圧縮機の損傷を引き起こします。
必ず窒素ブローと真空引きを
行ってから冷媒を充填してください。
悪い使用方法をするとどうなるか(末路)
水分混入による酸化腐食は「スラッジ」と呼ばれる黒い汚れを生成し、配管内部を詰まらせます。
最終的にコンプレッサーが焼損し、室外機ごと交換(数十万円〜百万円超)が必要になります。
不適切なフレア加工による冷媒漏れは、冷暖房能力の低下だけでなくオゾン層破壊や温暖化にもつながります。
8. 関連機器・材料の紹介
冷媒配管と一緒に使われる関連機器です。
- 空調冷媒(R32・R410A):
配管内を循環するフロンガス。
▶ 詳細記事はこちら - ルームエアコン:
家庭用の壁掛け型空調機。
▶ 詳細記事はこちら
9. 多角的なQ&A(20連発)
エアコンの配管って何本あるの?
冷媒用の銅管が2本(太い管と細い管)、ドレンホースが1本、電源・信号線が1本の計4本が壁を貫通しています。
配管のカバーは必要?
見た目と耐久性の両面で推奨します。
紫外線による断熱材の劣化を防ぎ、美観も向上します。スリムダクトと呼ばれる化粧カバーが一般的です。
配管の長さに限界はある?
ルームエアコンの場合、最大配管長は15〜20m程度です。
配管が長くなるほど能力が低下するため、できるだけ短くするのが理想です。
古い配管を再利用できる?
R410AからR32への買い替えでは原則再利用可能です。
ただしR22(旧冷媒)からの移行では配管内の油が異なるため、フラッシング(配管洗浄)が必要です。
2分3分と2分4分の違いは?
2分3分は2.2〜3.6kW(6〜12畳用)、2分4分は4.0kW以上(14畳以上)のエアコンで使用します。
隠蔽配管では将来に備えて2分4分で統一するのがおすすめです。
フレア加工のコツは?
①パイプカッターで直角に切断 ②リーマーで内面のバリを完全除去 ③切粉を下向きにして除去 ④フレアツールで規定の出しろで加工。偏芯チェックも忘れずに。
フレアナットの締付トルクは?
2分(6.35mm):14〜18N・m、3分(9.52mm):34〜42N・m、4分(12.7mm):49〜61N・mが規定値です。トルクレンチで必ず管理してください。
ろう付けの窒素ブローは必須?
必須です。窒素を流さずにろう付けすると、管内に酸化スケール(黒錆)が大量に発生し、コンプレッサー故障の原因になります。
曲げ加工の注意点は?
手曲げは管径の4倍以上の半径で。ベンダー使用時はつぶれ・しわに注意します。
1箇所に集中して何度も曲げ直すと管が硬化して折れるため、一発で決めてください。
気密試験の方法は?
窒素ガスで設計圧力の1.5倍(R32なら4.15MPa)まで加圧し、24時間保持して圧力降下がないことを確認します。
石鹸水で接続部の漏れチェックも併用してください。
配管サイズの選定は?
メーカーの技術資料で配管長・高低差に応じた管径を確認します。
管径を小さくすると圧力損失が増大し、能力低下や騒音の原因になります。
追加冷媒の充填量は?
ペアコイル(2分3分)の場合、配管長が規定を超えた分について約20g/mの追加冷媒が必要です。
メーカーの施工説明書で正確な量を確認してください。
配管の支持間隔は?
横走り管は1.5m以下、立て管は3.0m以下の間隔で支持します。
振動がある場所では防振支持を採用してください。
異種冷媒の既設配管流用は?
R22→R410A/R32への更新で既設配管を流用する場合は、必ず窒素ブローとフラッシングを実施します。
フレア形状が異なるため、接続部は必ず新しいフレアを切り直してください。
防火区画貫通部の処理は?
銅管は不燃材ですが、断熱材(発泡PE)は可燃物です。
貫通部では断熱材を除去し、ロックウール等の不燃材で充填して耐火区画を維持してください。
冷媒漏れの兆候は?
①冷暖房能力の低下 ②室外機の配管に霜がつく ③室外機の運転音が大きくなる ④電気代が増加 ─ これらの症状があれば冷媒漏れを疑ってください。
断熱材の劣化はどう確認?
紫外線や雨で断熱材が収縮・破損すると、銅管が露出して結露の原因になります。
屋外露出部は定期的に目視確認し、劣化があれば補修テープや断熱材の巻き直しを行います。
配管の寿命は?
銅管自体は30年以上持ちますが、フレア接続部の微細な劣化は15〜20年で進行します。
エアコン本体の2回目の更新時には配管も同時更新するのが理想です。
フロン排出抑制法との関係は?
配管からの冷媒漏れもフロン排出に該当します。
年間1,000t-CO2以上の漏えいがある事業者は報告義務があります。定期的な漏えい点検が重要です。
配管更新工事の注意点は?
既設配管の冷媒を必ず回収してから撤去してください。
大気放出は法律で禁止されています。回収した冷媒は登録業者に引き渡してください。