リモコンリレーとは?
リモコンの微弱電流で照明の100V回路を開閉するリレー
【超解説】とても簡単に言うと何か?
壁のリモコンスイッチからの信号を受けて、照明回路の電源を実際にON/OFFする実行装置です。
1. 基本概要
そもそも何か
リモコンリレーとは、分電盤内に設置される電磁式の開閉機器です。壁面に取り付けられた
リモコンスイッチから送られてくるAC24V程度の操作信号(パルス)を
受け取ると、内蔵された電磁コイルが励磁され、接点を機械的に反転
(ONならOFF、OFFならON)させて照明回路の100Vまたは200V電源を開閉します。
なぜ必要なのか
オフィスビルや商業施設では、照明の回路数が数十〜数百にも及びます。
これらを壁のスイッチで直接制御すると、太い電源ケーブルをすべてのスイッチまで
配線しなければなりません。リモコンリレーを分電盤内に集約すれば、
スイッチまでは細い信号線だけで済み、配線コストと施工労力を大幅に削減できます。また、
複数のスイッチから同じ照明回路を操作する多箇所制御も容易になります。
2. 構造や原理
内部構造
リモコンリレーの内部には、電磁コイル・永久磁石・可動接点・固定接点が収められています。
一般的なリレーとは異なり、「ラッチング(自己保持)機構」を備えているのが最大の特徴です。
コイルに一瞬だけ通電すると永久磁石の力で接点位置が保持され、次のパルス信号が来るまで
電力を消費せずに状態を維持します。
作動原理
リモコンスイッチのボタンが押されると、リモコントランスから供給される
AC24Vの操作電圧がリレーの電磁コイルに瞬間的に流れます。
コイルが励磁されると可動鉄芯が動き、接点が反転します。
この「ワンショットパルス方式」により、信号は一瞬だけで済むため、
操作回路の消費電力は極めて低く、分電盤内で動作した時に「ガチャン」という特徴的な
切替音が発生します。
3. 素材・形状・規格
外観形状と素材
外観は小型のブロック状で、DINレールに取り付ける形状が一般的です。
筐体は難燃性の樹脂製で、幅は1〜2モジュール分
(約18〜36mm程度)のコンパクトサイズ。上部に照明回路の電源線(一次側)、
下部に信号線の端子が配置される製品が多く見られます。
種類や関連規格
主な種類は以下の通りです。
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単極タイプ(1P):単相100V回路用。最も一般的なタイプで、照明回路1系統に
1個ずつ分電盤内に並びます。 - 2極タイプ(2P):単相200V回路やエアコン回路の制御に使用されます。
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確認灯付きタイプ:リレー本体にも点灯状態の確認ランプが付いた機種で、
分電盤内での状態確認が容易です。
定格電流は15Aまたは20Aが一般的で、JIS C 8201に準拠した製品が広く使われています。
4. 主に使用されている場所
使用される施設
オフィスビル、商業施設、病院、学校、ホテル、公共施設など、
リモコンスイッチ方式を採用しているすべての中〜大規模建築物で使用されています。
照明分電盤の主要構成部品のひとつです。
具体的な設置位置
各フロアの照明用分電盤内のDINレール上に設置されます。分電盤を開けると、
ブレーカーの横に小さなブロック状の機器がずらりと並んでいるのがリモコンリレーです。
1つのリレーが1つの照明回路に対応するため、回路数と同じ数だけ設置されます。
5. メリット・デメリット
メリット(長所)
ラッチング機構により、通電は切替の一瞬だけで済むため、待機電力がほぼゼロである点が
大きな長所です。また、小型なので分電盤内に多数設置でき、1個あたりの単価が
安価なためイニシャルコストも抑えられます。構造がシンプルなため
故障率も低く、信頼性が高い機器です。
デメリット(短所・弱点)
ON/OFFの切替しかできないため、調光制御には対応していません。また、リレー単体には
過電流保護機能(ブレーカー機能)がないため、別途ブレーカーが必要です。
そのため分電盤内のスペースは「リレー+ブレーカー」の両方分が必要になります。
この点を解消したのがリモコンブレーカです。
6. コスト・価格の目安
導入や更新にかかる費用
リモコンリレーは比較的安価な部品で、大量に使用される分電盤の主要構成部品です。
交換工事は分電盤内の作業となるため、停電が必要になる場合があります。
おおよその相場(機器+工事・更新の場合)
- リレー本体(1個):2,000〜5,000円程度(極数・メーカーによる)
- 交換工事費(1個あたり):5,000〜10,000円程度
1個あたり合計目安:7,000〜15,000円程度
7. 更新周期と注意点・絶対にやってはいけない悪い使用方法
更新周期(推奨交換時期)
推奨交換周期は10〜15年です。接点は電気的な開閉を繰り返すうちに
摩耗・酸化していきます。接点不良が発生すると照明がチラついたり、スイッチを操作しても
切り替わらなくなります。
絶対にやってはいけない悪い使用方法
リモコンリレーの定格(15Aまたは20A)を超える照明器具や空調機器を
接続してはいけません。テナント改装時に勝手に大容量の照明器具を増設し、
リレーの定格を超過させるケースが実際に発生しています。
悪い使用方法をするとどうなるか(末路)
定格を超えた電流が流れ続けると、接点が異常発熱して溶着(くっついて離れなくなる)します。
溶着すると照明が消せなくなり、最悪の場合はリレー本体が
焼損して分電盤内で発煙・発火に至り、建物全体の電気設備に
甚大な被害を及ぼす危険があります。
8. 関連機器・材料の紹介
リモコンリレーは照明制御システムの中核部品であり、以下の機器と組み合わせて使用します。
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リモコンスイッチ:壁面に設置される操作端末です。ボタンを押すとリレーへ信号を送り、
照明のON/OFFを指示します。▶ 詳細記事はこちら -
リモコントランス:リレーの操作電源(AC24V)を生み出す小型の変圧器です。
分電盤内に設置されます。▶ 詳細記事はこちら -
分電盤(電灯分電盤):リレーやブレーカーが収納される金属製の箱です。各フロアに設置され、
電力を各照明回路に分配します。▶ 詳細記事はこちら
9. 多角的なQ&A(20連発)
分電盤から「ガチャン」と音がしますが大丈夫ですか?
リモコンリレーの接点が切り替わる正常な動作音です。照明のスイッチを押したタイミングで
鳴るのであれば問題ありません。
リモコンリレーは一般の人が触っても大丈夫ですか?
リモコンリレーは分電盤の中に入っており、100Vや200Vの電源線が
接続されています。感電の危険があるため、絶対に触らないでください。
照明がチラチラするのはリレーの故障ですか?
リモコンリレーの接点が劣化して接触不良を起こしている可能性があります。
管理会社へ連絡して点検を依頼してください。
停電後に照明がつかなくなりましたがリレーが原因ですか?
リモコンリレーは停電前の状態を記憶するラッチング構造です。停電前にOFFだった回路は
復電後もOFFのままです。スイッチを押してみてください。
リモコンリレーの寿命はどのくらいですか?
一般的に10〜15年程度ですが、開閉回数にも依存します。
頻繁にON/OFFを繰り返すトイレや会議室の回路は寿命が短くなる傾向があります。
リモコンリレーの交換時に注意すべきことは何ですか?
必ず当該回路のブレーカーをOFFにしてから作業してください。
また信号線の接続先を間違えると別の照明が誤動作するため、
結線図を必ず確認してください。
リレーの接点容量を確認するにはどこを見ればいいですか?
リレー本体の側面または正面に定格電流(例:20A)と定格電圧
(例:AC100V/200V)が刻印されています。型番からメーカーカタログでも確認できます。
リレーが動作しない場合の原因切り分けはどうしますか?
まずリモコントランスの出力電圧(AC24V)を確認します。電圧が正常なら信号線を直接
リレーに当てて動作を確認し、それでも動かなければリレー本体の故障です。
古い分電盤でリレーが廃番になっていた場合は?
メーカーの後継品を確認してください。
取り付け寸法や操作電圧が同一であれば交換可能です。
ただし互換性がない場合は隣接するリレーとの干渉にも注意し、
分電盤ごとの更新を検討します。
接点の溶着を確認する方法は?
スイッチを操作した時に切替音がせず照明が消えない場合、
接点が溶着している可能性があります。テスターで接点間の導通を確認し、
OFFにしても導通が切れなければ溶着と判断できます。
リモコンリレーとリモコンブレーカのどちらを採用すべきですか?
近年は省スペース化のためリモコンブレーカが主流です。ただし既設分電盤の更新で
リレーのみ交換する場合や、コスト重視の場合はリレー方式が有利なケースもあります。
分電盤内でリレーの配置に注意点はありますか?
信号線の共通線(C線)が長くなると電圧降下で動作不良の原因になります。
リモコントランスからの配線はできるだけ短く太くし、
DINレール上の配置も考慮してください。
1台のリモコントランスで何個のリレーを駆動できますか?
トランスの容量によりますが、一般的なリモコントランス(3A型)で
概ね20〜30回路程度を操作できます。同時操作(一括制御)時の突入電流を
考慮してトランス容量を選定します。
竣工検査でリモコンリレーの試験項目は何ですか?
各スイッチからの操作確認、一括制御動作確認、操作電圧(AC24V)の測定を
全回路で実施してください。スイッチ〜リレーの対応表との照合も必須です。
LED照明への更新時にリレーの交換は必要ですか?
LED照明は突入電流が大きいため、古いリレーでは接点が耐えられず
溶着する事例が報告されています。LED対応のリモコンリレーまたは
リモコンブレーカへの同時交換を強く推奨します。
リモコンリレーの定期点検では何を確認すべきですか?
年1回程度、全回路のON/OFF動作確認と異音・異臭・変色がないかの
目視確認を実施してください。特に接点部の焦げ跡や端子の緩みは要注意です。
リレー交換は1個ずつですか?それともまとめて交換ですか?
故障した個体だけの交換で対応可能です。ただし設置から15年以上経過した
分電盤では、近い将来に他のリレーも故障する可能性が高いため、
分電盤ごとの一括更新も検討してください。
夜間に勝手に照明がついたり消えたりしますがリレーの誤動作ですか?
信号線にノイズが混入してリレーが誤動作している可能性や、
スケジュールタイマーが設定されている可能性もあります。まずタイマー設定を確認し、
問題なければ電気業者にノイズ調査を依頼してください。
リモコンリレー方式から他の照明制御方式に変更することはできますか?
可能ですが、分電盤の更新を含む大規模な改修工事になります。近年はDALIやフル2線式など
高機能な制御方式への移行事例が増えていますが、費用対効果の検討が必要です。
予備のリモコンリレーは何個程度確保すべきですか?
使用機種と同じ型番のものを3〜5個程度ストックしておくと安心です。メーカー廃番になると
入手困難になるため、早めに後継品の情報を把握しておくことが重要です。