仮設トイレ・手洗い器
建設現場に設置される、水洗式や汲み取り式の仮設トイレ
【超解説】とても簡単に言うと何か?
建設現場に上下水道が整備されるまでの間、作業員が用を足したり手を洗ったりするために一時的に設置される、ポータブルなトイレ施設です。
1. 基本概要
そもそも何か
ポリエチレン等の軽量なプラスチックで作られた個室ボックスの中に、便器と汚物を溜めるタンク(便槽)が一体化されている、自立式の移動トイレです。
なぜ必要なのか
人間が1日中作業する場所において、排泄と衛生の問題は絶対に避けて通れません。まだ水道や下水が繋がっていない更地の状態でも、公衆衛生と職人の尊厳を守るために不可欠な設備だからです。
2. 構造や原理
内部構造(特徴的な構造)
下部に数十リットルの水を溜めるタンク、中央に便器、その下に汚物を溜める約300〜400リットルの便槽(タンク)があります。足元のペダルを踏むと、少量の水がポンプで吸い上げられて便器を洗い流し、汚物と一緒に下の便槽に落ちて蓋が閉まる「簡易水洗方式」が主流です。
作動原理(配置の仕組み等)
使用者は普通のトイレと同じように用を足し、足踏みポンプで水を流します。汚物は便槽に溜まり続け、満杯になる前に専用のバキュームカー(汲み取り車)が来て、ホースで一気に吸い出して空っぽにします。
3. 素材・形状・規格
外観形状と素材
軽量で丈夫なポリエチレン(PE)樹脂製の四角いボックス型です。ドアの前に「空/入」の表示器が付いています。手洗い器は、ポリタンクに蛇口がついたものや、足踏みポンプで水が出るシンク型のものがあります。
種類や関連規格
「和式」「洋式(快適トイレ)」「小便器専用」があります。また処理方式によって、タンクに溜める「汲み取り式」と、現場の上下水道に直接繋ぐ「本水洗式」に分かれます。
4. 主に使用されている場所
使用される施設
住宅の新築現場、ビルの建設現場、道路工事現場、災害時の避難所、野外フェスや花火大会などの各種イベント会場などです。
具体的な設置位置
敷地の隅、道路に近い場所(バキュームカーのホースが届く場所)、風通しが良く近隣の窓から離れた場所に、強風で倒れないよう単管パイプで地面に固定されて設置されます。
5. メリット・デメリット
メリット(長所)
【メリット】設置すればその日からすぐに使用でき、上下水道がない山の中や更地でも衛生的なトイレ環境を提供できることです。
デメリット(短所・弱点)
【デメリット】定期的な「汲み取り処理」の費用と手間がかかること。また、夏場はプラスチックの個室がサウナのような高温になり、清掃を少しでも怠ると凄まじい悪臭が発生することです。
他の手法との違い
「和式汲み取り(通称ボットン)」は古く臭いですが構造が単純で詰まりません。現在の主流は「洋式簡易水洗(快適トイレ)」で、水で流すため臭いも少なく女性でも快適に使用できますが、レンタル料が高くなります。
採用時の注意点
強風による転倒防止のため、必ず単管パイプやワイヤーで地面と強固に固定(アンカー)し、定期的な清掃と汲み取りの手配を行う必要があります。
6. コスト・価格の目安
導入や更新にかかる費用
最新の「快適トイレ」仕様のものはレンタル費用がやや高くなりますが、職人のモチベーションや衛生環境を考慮すると必須の投資と言えます。
おおよその相場
レンタル料金は洋式の快適トイレで月に2万円〜3万円程度。これとは別に、汲み取り業者によるし尿処理費用(1回数千円〜1万円)がかかります。
7. 更新周期と注意点・絶対にやってはいけない悪い使用方法
更新周期(推奨交換時期)
現場にいる職人の数に対して、圧倒的に足りない数のトイレしか設置しないことです。朝に大渋滞が起き、我慢できない職人が現場の裏で用を足すなどの衛生・規律の低下を引き起こします。
絶対にやってはいけない悪い使用方法
トイレットペーパー以外のもの(タバコの吸い殻、軍手、コンビニのゴミ、ペットボトル等)を便器に捨てることです。
悪い使用方法をするとどうなるか(末路)
汲み取り(バキュームカー)のホースの入り口にゴミが詰まって吸い出せなくなり、業者が手で汚物の中からゴミを拾い出す羽目になります。清掃業者から出入り禁止になり、トイレが溢れて現場が地獄絵図になります。
8. 関連機器・材料の紹介
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単管パイプ・クランプ:
仮設トイレが強風で倒れないよう、単管パイプで枠を組んで地面の杭(アンカー)と強固に固定する。
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9. 多角的なQ&A(20連発)
工事現場にあるあのボックスの正体は?
職人さんが工事中に用を足すための「仮設トイレ(ポータブルトイレ)」です。中に水洗のタンクや便槽(タンク)を備えており、下水道がまだ繋がっていない場所でも使用できます。
中はどうなっているの?臭くないの?
昔は「和式で汲み取り式」が主流で臭いもキツかったのですが、現在は「洋式・水洗(軽水洗)式」で、換気扇や消臭液を完備した非常に清潔なタイプ(快適トイレ)が主流になりつつあります。
水洗の「水」はどこから来ているの?
水道が引かれている現場ではホースを繋いで給水しますが、水道がない現場では、トイレの下部や上部に水を貯めるタンクがあり、ペダルを踏むと少量の水が流れる「ポンプ式(簡易水洗)」になっています。
使った後の汚物はどこへ行くの?
足元のボックス(便槽)に溜まっていきます。現場が終わるタイミング(または満杯になった時)に、バキュームカー(汲み取り車)が来て、ホースで全て吸い取って処理場へ運んでくれます。
新築の家を作る時、大工さんは新しい家のトイレを使わないの?
絶対に使いません。新しい家のトイレは「お施主様(お客様)への引き渡し前」の新品商品であるため、業者が勝手に使うことはタブーです。必ず外の仮設トイレを使用します。
仮設トイレが汚い現場はどう思いますか?
「現場監督の管理レベルが著しく低い」「このゼネコンの現場はダメだ」と職人全員が思います。トイレが汚い現場は、不思議と事故が多かったり、仕事の段取りも悪いため、職人の士気を大きく下げる要因になります。
「快適トイレ」と呼ばれる規格は何ですか?
国土交通省が推進している「男女ともに快適に使用できる仮設トイレ」の基準です。「洋式便座」「水洗」「完全な目隠し」「鏡や手洗い器の付属」「臭い対策」などが規定されており、公共工事では導入が原則化されています。
仮設トイレの掃除は誰の仕事?
現場監督(または新人監督)が毎朝掃除をするか、専属の清掃員を入れるか、当番制にするかです。「職人が自主的に綺麗に使う」ことも大事ですが、管理側が定期的に掃除してトイレットペーパーを補充しないとすぐにスラム化します。
夏の仮設トイレの過酷さについて
プラスチックの箱が直射日光を浴びて、中はサウナ状態(40度超え)になります。熱中症になるレベルなので、最新の仮設トイレはルーバー(通風孔)が大きく取られていたり、日除けの屋根を設置したりします。
「朝のトイレ渋滞」問題とは?
朝礼が終わった直後の8時過ぎ、現場の職人が一斉にトイレに向かうため長蛇の列ができます。職人の数に対してトイレの数が少なすぎると、作業開始が遅れる原因になるため、適切な台数の配置が必要です。
仮設トイレの設置台数の基準はありますか?
労働安全衛生規則により、「男性用は大便器1、小便器1(60人以内ごと)」「女性用は便器1(20人以内ごと)」などの法的な設置基準が定められています。女性の職人(けんせつ小町)が増えている現在、男女別トイレの設置はほぼ必須となっています。
設置場所の選定で注意すべきことは?
近隣住民の家のリビングや玄関の目の前を避けること(臭いと音の配慮)、強風で転倒しないように単管パイプやワイヤーでしっかり固定(アンカー)すること、そしてバキュームカーのホース(約20m)が届く道路の近くに置くことです。
手洗い器(シンク)の設置と排水処理は?
トイレの横には必ず手洗い器を設置します。手洗いの排水をそのまま垂れ流すと近隣クレームになるため、簡易浸透桝(砂利を敷いた穴)を作るか、ポリタンクに受けて定期的に捨てる管理が必要です。
汲み取り(し尿処理)の手配のタイミングは?
便槽の容量(約300〜400リットル)と職人の数から計算し、満杯になってあふれる(大惨事になる)前に、地元の清掃業者に汲み取り依頼の電話をかけます。年末年始やお盆前は業者が休みになるため、早めの手配が必須です。
「仮設トイレが飛んでいった」という事故は本当にある?
台風の時に実際に起こります。プラスチック製の空箱のようなものなので、アンカー固定を怠ると、強風で転がって隣の家の車を直撃し、数百万の損害賠償問題に発展します。暴風対策は絶対条件です。
自宅の隣で工事が始まり、仮設トイレの臭いが気になります。
通常は消臭液を入れていますが、夏場などは臭いが漏れることがあります。我慢できない場合は、現場監督に電話して「消臭剤の増量」「汲み取り頻度の増加」「配置場所の変更」を要求すれば、すぐに対応してくれます。
仮設トイレのレンタル費用はどれくらいですか?
スタンダードな和式・簡易水洗タイプで月に約1万円〜1万5千円。洋式の快適トイレで月に2万〜3万円程度です。この他に初期の設置費・撤去費、および毎回の汲み取り費用が別途かかります。
イベント(お祭り等)で仮設トイレを借りたいのですが可能ですか?
建設現場向けと同じリース会社(建機レンタル会社など)で借りられます。イベント用は1日〜数日単位で借りられ、終了後にそのままバキューム処理して引き取ってくれるプランが一般的です。
大雨の時にトイレが溢れたりしませんか?
トイレの屋根に雨水が入る構造にはなっていませんが、周囲が冠水して便槽の高さまで水が来ると、逆流したりトイレ自体が浮力でプカプカと浮いて倒れたりする危険性があります。
凍結対策はどうしていますか?
寒冷地では、水洗タンクの水が凍って便器が割れるため、冬場は不凍液(車のウォッシャー液のようなもの)を水に混ぜて凍結を防いだり、ヒーター内蔵の便座を使用したりします。