VAV(可変風量装置)とは?
ダクト内の風量を室温に応じて自動で絞り、省エネを図るVAV装置
【超解説】とても簡単に言うと何か?
部屋の温度に応じて、ダクトから送る冷暖房の空気の量を自動的に増減す
る装置です。暑い部屋には空気をたくさん送り、ちょうど良い温度の部屋
には空気を減らすことで、ゾーンごとの快適性を確保しつつ、ファンの電
力消費を大幅に削減できる省エネ機器です。
1. 基本概要
VAVとは
VAV(Variable Air Volume:可変風量装置)
は、空調ダクト系統に設置し、室温センサーからの信号に基づいてダンパ
ーの開度を自動制御することで、各ゾーンへの給気風量を変化させる装置
です。負荷の変動に応じて風量を増減させることで、空調機のファン動力
を削減し、大幅な省エネを実現します。
CAV(定風量方式)との違い
- CAV(Constant Air Volume): 常に一定の風量を送り、空調機の出口温度を変えて温度制御。風量が変わらないためファン動力は一定。
- VAV(Variable Air Volume): 空調機の出口温度は一定で、各ゾーンへの風量を変えて温度制御。部分負荷時にファン動力が大幅に減少。
2. 種類と構造
圧力依存型VAV
- 構造: ダクト内圧力の変化に応じてダンパーが開閉。
- 特徴: シンプルで安価。ダクト系統の圧力変動の影響を受けやすい。
- 用途: 小規模なゾーン制御。
圧力非依存型VAV
- 構造: 内蔵の風量センサーで実際の風量を計測し、設定風量になるようダンパーを制御。
- 特徴: ダクト圧力の変動に左右されず正確な風量制御が可能。高精度。
- 用途: 大規模ビルのゾーン制御。現在の主流。
VAVユニットの内部構成
- ダンパー: 風量を絞るためのバタフライ型またはブレード型の可動板。
- アクチュエーター: ダンパーを駆動する電動モーター。DDC(直接デジタル制御)で制御。
- 風量センサー: ピトー管やオリフィスでダクト内の風速を計測し、風量に換算。
- コントローラー: 室温センサーからの信号を受け取り、ダンパー開度を演算・出力。
3. 素材・省エネの仕組み
ファン動力の削減
ファンの消費電力は風量の3乗に比例します(ファンの法則)。つまり風
量を50%にすると、ファンの消費電力は約12.5%(=0.5³)
になります。VAVによって建物全体の風量が減少すると、空調機のファ
ン動力が大幅に削減されます。
省エネ効果の目安
- CAV方式に比べて空調用電力が30〜50%削減可能
- インバーターファンとの組合せでさらに効果向上
- 中間期や冬季の冷房負荷が小さい時期に特に効果大
4. 主に使用されている場所
- 大規模オフィスビルの各フロア・ゾーン
- 大学の講義室・研究室
- 病院の外来エリア・待合室
- 商業施設のテナントゾーン
- データセンターのサーバールーム
- 研究所のクリーンルーム(風量管理が重要な場所)
5. メリット・デメリット
メリット
- 省エネ: ファン動力を30〜50%削減。
- 個別制御: ゾーンごとに温度設定が可能。
- 快適性: 負荷に応じた風量で過冷却・過暖房を防止。
- 柔軟性: テナント変更やレイアウト変更に対応しやすい。
デメリット
- 初期費用: VAVユニット・制御系の分、CAVよりも高価。
- 調整の複雑さ: ゾーンごとのバランス調整(コミッショニング)が重要。
- 最小風量の制約: 風量を絞りすぎると換気不足になる。最小風量の設定が重要。
- 騒音リスク: ダンパーが絞られた状態で風切り音が発生する場合がある。
6. コスト・価格の目安
おおよその相場
- VAVユニット(φ200・圧力非依存型): 約50,000〜100,000円
- VAVユニット(φ300・圧力非依存型): 約80,000〜150,000円
- 室温センサー: 約5,000〜15,000円/個
- DDCコントローラー: 約30,000〜80,000円/台
- 省エネ効果(年間): CAV比で電気代20〜40%削減
7. 更新周期と注意点
VAVのダンパーが全閉に近い状態まで絞られると、そのゾーンの換気量(外気量)が不足し、CO2濃度の上昇や酸素不足の原因になります。建築基準法の必要換気量を満たす最小風量を設定してください。
VAVシステムは各ゾーンの設計風量・最小風量・最大風量の調整が不可欠です。調整不足だと一部のゾーンが暑く、別のゾーンが寒いという苦情が多発します。
9. 多角的なQ&A(20連発)
VAVユニットって目に見える装置?
天井裏に設置されるため通常は見えません。天井の吹出口の裏側でダクトの途中に取り付けられています。
温度設定は自分でできる?
部屋に温度コントローラー(リモコン)がある場合、設定温度を変更できます。VAVが自動で風量を調整します。
暑い/寒いと感じた時は?
リモコンの設定温度を変更してください。それでも改善しない場合は管理事務所に連絡してください。
電気代への影響は?
VAVは必要な分だけ空調するため、一定風量のCAVシステムに比べて電気代が20〜30%削減されます。
音がうるさい時は?
ダンパーの急激な開閉やダクト内の気流音が原因です。管理者に連絡して風速調整を依頼してください。
圧力センサーの校正は?
竣工時と年1回のキャリブレーション(校正)で測定精度を維持してください。
ダクト接続時の注意は?
VAVの上流側に直管部(ダクト径の3倍以上)を確保しないと、風量測定の精度が低下します。
電気配線の仕様は?
コントローラーへの制御信号はシールド付きケーブルを使用し、ノイズ対策を行ってください。
並行ブレード型と対向ブレード型の違いは?
対向ブレード型の方が風量特性が線形に近く、制御性に優れています。
リニューアル時の注意は?
既設のVAVを更新する場合、制御プロトコルの互換性とダクトサイズの適合を事前に確認してください。
施工図でのチェックポイントは?
VAVのサイズ・取付方向・メンテナンススペース・ダクト接続方法を確認してください。
風量測定の精度は?
±5%以内の精度で各VAVの風量を測定し、設計値との照合結果を記録します。
複数VAVの同時運転テストは?
全VAVを同時に全開にして空調機の容量が十分か、全閉にしてダクト圧力が過大にならないか確認します。
BASとの接続テストは?
各VAVのアドレス設定、通信状態、制御信号の応答を確認し、テスト結果を記録してください。
引渡し書類は?
VAVの一覧表(位置・型番・設定値)、TAB報告書、BAS設定値一覧を引渡し書類に含めてください。
季節の切替え時にやることは?
冷房/暖房モードの切替え時に、各VAVの設定風量と室温設定を確認・調整してください。
エネルギー管理との関係は?
VAVの運用データ(風量・室温)を蓄積し、エネルギー消費のトレンド分析に活用してください。
テナント間の温度バランスは?
隣接テナントの空調負荷の違いが温度ムラの原因になります。VAVの設定でバランスを調整してください。
故障時の応急対応は?
VAVのダンパーが固着した場合、手動で開度を固定して応急運転し、速やかにメーカーに修理を依頼してください。
更新計画は?
VAVの耐用年数は15〜20年です。制御システムの更新時にVAVも合わせて更新するのが効率的です。