WHM(低圧用電力量計)とは?
一般家庭や小規模店舗で使用した電力量を計量する、円盤や液晶がついたメーター
【超解説】とても簡単に言うと何か?
各家庭やテナントの外壁に設置され、使用した電力量を積算して電気料金の根拠とする計器です。
1. 基本概要・役割
WHMとは何か・どのようなものか
WHM(Watt-Hour Meter)は、日本語で「電力量計(でんりょくり
ょうけい)」と呼ばれます。一般的に「電気メーター」と呼ばれるもので、
家庭や小規模店舗で消費した「低圧」の電気量(kWh)を正確に計量・表示する機器です。
なぜ必要なのか・どう動くのか
電力会社から供給される100Vや200Vの電気を、
このWHMの中に直接流し込むことで、どれだけの電気を使ったかを測ります。
テナントビルの中で、大家さんが各店舗ごとに電気代を小分けして
請求・集金するための「子メーター」としても大活躍します。
2. 構造や原理
低圧メーターの最大の特徴は「高圧用のようにCT等のセンサーを挟まず、
家庭に送られる100Vや200Vの強い電気そのものを、
メーターの中に直接流し込んで測る(直接計器)」という点です。
メーターの内部を電気が通り抜ける際に、電圧と電流の値をリアルタイムで掛け合わせて
電力(W)を計算し、それを時間で足し合わせて電力量(kWh)
として表示部にカウントアップしていきます。そのため、
高圧メーターと違って表示された数字に「乗率(倍率)」をかける必要はなく、
表示された数字がそのまま使った電気の量になります。
3. 素材・形状・規格
外観と特性
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スマートメーター仕様: 以前は円盤が回る機械式(誘導形)でしたが、
現在はすべてデジタル化され、通信機能が組み込まれたスマートメーター仕様です。 -
単相用と三相用: 家庭のコンセントなどで使う「単相3線式(100V/200V)」と、
業務用の大型エアコンやモーターなどに使う「三相3線式(動力・200V)」では、
メーター自体が全く異なります。
主な規格
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計量法による検定品の義務: 高圧用と同じく、国の検定に合格し、
鉛などのワイヤーで封印されたものでなければ電気料金の取引には使用できません。
4. 主に使用されている場所
検針と交換作業がしやすいよう、建物の中で一番手前に設置されます。
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戸建て住宅やアパートの外壁: 検針員が敷地に入らずとも
見やすい高さ(地上1.8mなど)の外壁面に設置されます。 -
テナントビルのパイプシャフト(EPS)内: ビルの各階にある、
電線が通るための扉付きの縦穴(EPS)の壁面に、テナントごとの「子メーター」
としてズラリと並べられます。
5. メリット・デメリット
メリット
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個別計量での公平な請求: ビル全体で一括受電した電気を、
各テナントの純粋な使用量に応じて切り分けて請求できるため、不公平感がなくなります。 -
スマートメーターの遠隔検針: 毎月人が見に行かなくても自動でデータが飛ぶため、
オーナーの検針業務の負担が劇的に減りました。
デメリット
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膨大な維持管理コスト: ビル内のテナント料金計算用に使われる「子メーター」
は全てビルオーナーの持ち物であり、後述する10年の期限が切れるたびに
オーナーの全額自費で一斉交換しなければならない重い負担があります。
6. コスト・価格の目安
- 単相メーター本体相場: 2万〜4万円程度
- 三相(動力)メーター相場: 3万〜5万円程度
- 子メーター交換費込: 1台あたり5万〜10万円程度
電力会社の大元メーターは電力会社の持ち物(貸与品)ですが、
ビル内のテナント別に設置する子メーターはオーナーの資産です。
検定の有効期限(低圧の単独計器の場合は10年)が切れるたびに、
オーナーの負担で新しいメーターへの一斉交換工事が必要です。
7. 更新周期と注意点・絶対にやってはいけない悪い使用方法
更新周期(検定満了時期)
変成器を用いない「低圧の単独計器」の場合、計量法により検定有効期間は
製造から「10年」と厳格に定められています。検定が切れる前に必ず新しいメーターに
交換しなければなりません。
絶対にやってはいけない悪い使用方法(違法行為)
テナントに電気代を請求し続けること。
「交換工事費がもったいない」
「電気代の計算で少し誤差が出るくらいで誰も文句を言わないから平気だろう」
と放置するビルオーナーがよくやってしまう行為です。
悪い使用方法をするとどうなるか(末路)
検定を過ぎたメーターを取引や証明に使用することは明確な「計量法違反」です。
悪質と判断された場合、ビルオーナーに「6ヶ月以下の懲役または50万円以下の罰金」
という重い刑事罰が科せられる可能性があります。さらに、
テナントから「違法なメーターで請求された」と訴えられた場合、
電気代の支払い拒否による大幅な減収や、これまでの過大請求分の返還を
求める訴訟トラブルに発展し、ビルの経営基盤を揺るがす大事件になります。
8. 関連機器・材料の紹介
低圧WHMとよく一緒に使われる機器をご紹介します。
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MCCB(配線用遮断器/ブレーカー):
メータのすぐ後(あるいは前)に設置され、電気の使いすぎやショートから配線を
守る一番身近な安全装置です。▶ 詳細記事はこちら -
ELCB(漏電遮断器):
漏電を検知して人の感電を防ぐ緑ボタンのブレーカーです。MCCBとともに使われ、
家庭の分電盤にも入っています。▶ 詳細記事はこちら -
WHM(高圧用):
工場などで6600Vの高圧を受電する際に使う、VCTという機器とセットに
なった「兄貴分」のメーターです。▶ 詳細記事はこちら
9. 多角的なQ&A(20連発)
家の外壁に付いてる丸い箱のことですか?
そうです。電気の使い始めからずっと、皆さんが月々いくら電気を使ったかを黙々と測り
続けているメーターです。
スマートメーターって何ですか?
スマートフォンのように通信機能を持ったデジタル式のWHMです。
検針のおばちゃんが見に来なくても自動で数値データが飛びます。
引っ越す時はメーターも持って行くのですか?
いいえ。電力会社との料金計算用のメーターは電力会社の持ち物(貸与品)なので、
そのまま壁に残して退去します。
メーターが壊れたら電気代はどうなりますか?
前月や前年の使用実績などから推算して協定で請求されます。そのため、
故障に気付いたらすぐに連絡する必要があります。
ビルのテナントのメーターは誰のものですか?
各部屋を個別計量する「子メーター」はビルオーナーの持ち物であり、
維持管理や10年ごとの交換はオーナーの責任と費用負担で行います。
配線をつなぎ間違えるとどうなりますか?
相順(R・S・T)や極性を間違えると、メーターが正しく動かなかったり全く違う数値が
表示され、電気代の請求トラブルに直結します。
「1S・2S・3S」などの記号は何ですか?
メーター裏端子の記号で、「S」はソース(電源側)、「L」はロード(負荷側)です。
このINとOUTを絶対に間違えてはいけません。
活線(電気が通ったまま)で交換できますか?
低圧であっても、ショートやアークによる感電・火傷の危険があるため、
原則として大元のブレーカーを落として停電させます。
単相3線式と三相3線式でメーターは違いますか?
全く別物であり互換性はありません。用途や電圧が違うため、
専用のメーターを正しく発注し設置します。
メーターの取り付け高さに決まりはありますか?
検針や交換作業がしやすいよう、地面から1.8mほどにするなど電力会社の内規で
厳格な設置高さ制限が設けられています。
子メーターの「有効期限切れ」はなぜ危険なのですか?
計量法違反として罰則の対象になるだけでなく、入居して
いるテナントからの信用失墜や支払拒否という経営的重大リスクになります。
メーター盤(ボックス)の材質はどう選びますか?
基本はプラスチック(樹脂)製ですが、海沿いの塩害地域や直射日光が強い場所には
高耐候性やステンレス製を選定します。
子メーターを取り付ける意味は何ですか?
テナントビルなどにおいて、各店舗ごとの使用量を正確に計算し、
毎月公平に電気代を按分・請求する「証明」とするためです。
アンペアブレーカー機能内蔵型とは何ですか?
スマートメーターの内部で設定したアンペア数を超えると自動で電気を止める機能で、
室内の契約ブレーカー(黒色)が不要になります。
竣工引き渡し時の必須書類はなんですか?
子メーターの場合は、メーターの「検定証印」を確認し、
10年後の有効期限のはじまりを施主に書面で確実に通知します。
低圧単独メーターの有効期限はいつまでですか?
変成器(CTなど)を使わず直接計量する低圧メーターの場合、製造から「10年」
と計量法で厳格に決まっています。
期限切れのままテナントに請求するとどうなります?
計量法違反となり「6ヶ月以下の懲役または50万円以下の罰金」
という重い刑事罰がビルオーナーに科せられる可能性があります。
交換の手配と費用はどうなりますか?
電力会社のメーターは電力会社が無料で交換に来ますが、
ビル内のテナント料金精算用の子メーターはオーナーの全額自己負担です。
テナントから「今月電気代が高すぎる!」と苦情がきたら?
まずメーターの検針数値と計算が正しいかを確認し、メーターが壊れていないか、
老朽化した業務冷蔵庫などが異常電気を食っていないか調べます。
一棟丸ごとテナントビルを買いましたが。最初の注意点は?
真っ先に全ての子メーターの「有効期限シール(検定年)」を目視確認してください。
10年を過ぎていたら一斉交換工事が急務です。