【便利表】電線の太さと許容電流一覧表
現場でスマホで確認!火災を防ぐための「ケーブル限界アンペア」完全データ

【超解説】とても簡単に言うと何か?

「この太さの電線に、最大でどれくらいの電気(アンペア)を流して安全か?」を示した法律上の限界数値の一覧表です。
この表の数字(許容電流)を超えた電気を流し続けると、電線が発熱して溶け出し、最終的に建物が火事で全焼するという最も重要なルールです。

1. 「許容電流」とは何か?(基本概要)

電線は電気を流すと必ず熱を持つ

銅線に電気が流れるとき、目には見えませんが水がホースを通る時のように「摩擦」が起きています(ジュールの法則)。電線が細いほど、そして流す電気が多いほど、この摩擦による熱が急激に上昇します。
電線は金属(銅)ですが、周りを囲っているのはただのビニルやゴムのカバー(絶縁被覆)です。

許容電流=「被覆が溶けないギリギリの限界温度」の逆算

VVFケーブル等に使われている塩化ビニルの耐熱温度は「60℃」です。架橋ポリエチレン(CVケーブル)は「90℃」です。
「銅線の中にこれ以上のアンペアを流すと、発熱でカバーの温度が60度(または90度)を超えて溶け出してしまう」という計算によって導き出された絶対的な上限数値、それが「許容電流値」です。

2. 「単線(mm)」と「より線(sq)」の対比表

太さの単位が2つある理由

壁の中を通す「VVF(硬い針金のような単線)」は直径の【ミリ(mm)】で呼ばれ、曲げやすい「CVやIV(細かい髪の毛のような線を束ねたより線)」は断面積の【スケア(sq・㎟)】で呼ばれます。
電気設計の際、この2つの「ほぼ同じ太さのペア」は必ず暗記しておかなければなりません。

単線の直径(mm)ほぼ同じ能力のより線の断面積(sq=スケア)
1.6 mm(家庭で一番細い)2.0 sq(スケア)
2.0 mm(エアコン用など)3.5 sq(スケア)
2.6 mm(太めの専用線)5.5 sq(スケア)
3.2 mm ※現在ほぼ使われない8 sq(スケア)
(これ以上の太さはより線のみ)14 sq、22 sq、38 sq、60 sq、100 sq…

3. 【便利表】IV線(気中・裸配線)の許容電流

基本となる一番大きな数値(JIS規格・内線規程準拠)

碍子引き配線のように、電線が1本ずつバラバラで完全に空気に触れており、放熱状態が最も良い(周囲温度30℃)最高条件での許容電流値(基底許容電流)です。(※実際にはこれに後述の「減少係数」を掛けた数字を使うことになります)

太さ(単線 mm)太さ(より線 sq)IV線(耐熱60℃)の許容電流
1.6 mm(2.0 sq)27 A
2.0 mm(3.5 sq)35 A
2.6 mm(5.5 sq)48 A
3.2 mm(8.0 sq)62 A
-14 sq88 A
-22 sq115 A
-38 sq162 A
-60 sq217 A
-100 sq298 A

4. 【重要】配管に入れると熱がこもる(電流減少係数)

電線を束ねると発生する強烈な「熱溜まり」

先ほどの表は「涼しい空気中で1本だけ」の時の数字です。しかし実際の工事では、狭いパイプ(電線管)の中に電線を3本や4本もギウギウに束ねて突っ込みます。お互いの熱で温め合ってしまうため、放熱できずにすぐ限界温度の60℃に達してしまいます。

必ず掛ける「減少係数」

そのため、管の中に入れる本数に応じて「この割合まで流す電気を減らしなさい」という法律(電流減少係数)があります。これは試験にも必ず出ます。

  • 1つの管に 3本以下 入れる場合 = 0.70 を掛ける(30%減らす)
  • 1つの管に 4本 入れる場合 = 0.63 を掛ける(37%減らす)
  • 1つの管に 5本〜6本 入れる場合 = 0.56 を掛ける(44%減らす)

5. 【便利表】VVFケーブル・配管入りIV線の「実際の」許容電流

減少係数0.70を計算し終えた、現場で最も使う数字

VVFケーブルの「2芯(2C)」や「3芯(3C)」は、すでに灰色カバーの中に「同一管内に2本〜3本の線が入っている状態」と同じ放熱環境にあるため、減少係数0.70をあらかじめ掛けた数値が実用上の許容電流となります。

VVFの太さと芯数計算式(基底電流×0.7)現場での許容電流目安
VVF 1.6mm - 2C / 3C27A × 0.7約 19 A ※コンセント回路の基本
VVF 2.0mm - 2C / 3C35A × 0.7約 24 A (※切捨て等で23Aの場合有)
VVF 2.6mm - 2C / 3C48A × 0.7約 33 A

※よく「1.6mmのVVFに20Aのブレーカーをつけて大丈夫なのか?」という議論がありますが、法律上1.6mmのVVF(減少係数0.7)への20A分岐ブレーカー接続は「条件付きでギリギリ合法(許容)」とされています。現在では安全を重視し、20Aには「2.0mmのVVF」を推奨する施工管理者が増えています。

6. 【便利表】CV・CVTケーブルの許容電流(大電流回路)

耐熱90℃の架橋ポリエチレンの圧倒的パワー

カバー素材を「架橋ポリエチレン(耐熱90度)」に変更したCVケーブルになると、VVFと同じ太さでも約1.3倍〜1.5倍の電気を安全に流すことができます。(周囲温度40℃、気中暗渠布設・複数条非密着などの一般的な内線データ基準の一例)

より線太さ(sq)CV(3芯)の許容電流CVT(3個より)の許容電流(※放熱有利)
5.5 sq44 A46 A
8 sq54 A58 A
14 sq75 A80 A
22 sq98 A105 A
38 sq135 A150 A
60 sq185 A205 A
100 sq255 A285 A

※実際の許容電流は「ラック敷設」「管路埋設」「周囲温度」「多段積み」などの環境条件によって数%〜数十%変動します。必ず電線メーカーの技術カタログで「低減係数」をかけ直して計算してください。

7. 更新周期と注意点・絶対にやってはいけない悪い使用方法

周囲温度(40℃の壁)による恐ろしいペナルティ

表にある数字はすべて「部屋の温度が涼しい(30度や40度)」前提で計算されています。もし、夏の工場の天井裏で室温が「60℃」ある場所に塩化ビニルのコードを敷設した場合、「電線を温める余裕」が全くないため、許容電流は事実上ほぼ「ゼロアンペア」に近くなり、少し電気を流しただけで熱暴走して溶け落ちます。

絶対にやってはいけない悪い使用方法

【NG事例】細い延長コードを「ぐるぐる巻きの束のまま」使って電気ストーブやドライヤー(1500W)をつける

ドラム式のコードリールなどを、引き出さずにドラムに巻いた状態で大電流を流す事故です。

悪い使用方法をするとどうなるか(末路)

コードがコイルのように幾重にも重なることで、発生した熱の逃げ場が完全にゼロ(電流減少係数が絶望的な数値)になります。1500Wもの大電流による熱がドラムの中心に無限に蓄積し、あっという間に被覆がドロドロに溶けてくっつき、パチパチという音と共に炎を上げて火災(ショート・短絡出火)になります。

8. 関連機器・材料の紹介

許容電流とペアで考えなければならない保護器具です。

  • 配線用遮断器(安全ブレーカー):
    電線に許容電流を超える大電流が流れた際、電線が発火するより「先」にパチンと落ちて電気を止める(熱を遮断する)絶対の門番。電線の許容電流値以下のアンペアのものを設置しなければ意味がありません。※詳細記事は作成次第リンクします
  • サーマルリレー(熱動継電器):
    三相の動力モーターなどに取り付け、モーター自身や電線が発熱で焼け切れる前に、熱を感知して回路を切り離す保護パーツ。※詳細記事は作成次第リンクします
  • ドラム式コードリール(温度センサー付き):
    先述の「ぐるぐる巻き」による異常発熱事故を防ぐため、ドラム中心部に温度センサーを搭載し、一定温度を超えると自動でコンセントが使えなくなる安全装置付きの巻取りコード。※詳細記事は作成次第リンクします

9. 多角的なQ&A(20連発)

一般人(施主・建物の利用者)目線

家の壁のコンセントには最大何アンペアまで流せますか?

一般的なコンセントの差込口の定格は「15A(100Vであれば1500W)」です。壁の裏のVVF配線はもっと流せますが、差込口のプラスチックパーツが熱に耐えきれず溶けるため、一つの差込口から同時に1500W以上使ってはいけません。

20A(アンペア)って、家電で言うと何ワット(W)ですか?

家庭用の単相100Vの場合、「A(アンペア)×100=W(ワット)」という簡単な計算が成り立ちます。つまり20Aは「2,000ワット」です。ドライヤー(1200W)と電子レンジ(800W)を同時に使うとギリギリ20A(2000W)に達し、ブレーカーが落ちることになります。

細い延長コードでホットプレートを繋いだら、コードが熱くなりました。

即座に使用を中止してください!!100均や古い細い延長コードの許容電流は「7A〜10A(700W〜1000W)」程度のものが多く、そこに1300Wのホットプレートを流すと許容電流を大幅にオーバーし、いつ発火炎上してもおかしくない極めて危険な状態です。

なぜドライヤーや電気ストーブのコードはあんなに太いのですか?

1000Wを超える凄まじい大電流が流れるため、細い電線では一瞬で発熱し絶縁被覆が溶けてしまうからです。法律により、消費電力に合わせた安全な許容電流を持つ太いコードを使用することが義務付けられています。

スマホの充電器のコードはあんなに細いのに、熱くならないのはなぜ?

変圧器(アダプタ)を通じて5ボルトや12ボルトといった微弱な電圧に下げられ、電流も通常1〜3アンペアという極少量しか流れていないため、髪の毛のように細い電線でも許容電流内に収まっているからです。

職人(電気工事士・設備屋)目線

電線の太さを決める際、「許容電流」以外に気にすべきことはありますか?

「電圧降下」です。配線距離が数十メートルと長くなると、電気の摩擦抵抗によって末端に届く電圧が落ちてしまいます(100Vで送ったのに到着時に95Vになるなど)。許容電流的には2.0mmで良くても、距離のせいで電圧降下対策として5.5sq等にサイズアップする必要があります。

エコケーブル(EM-EEF)はVVFより許容電流が大きいというのは本当ですか?

本当です。外側のシースや絶縁体が耐熱性の高い「架橋ポリエチレン」や環境配慮型素材でできているため、塩化ビニルを使うVVFの60℃に比べ、耐熱温度が「75℃〜90℃」と高く設定されており、同じ太さでも表の数値よりかなり多くの電流を流せます。

電流減少係数を計算する時、アース線(緑色)も本数に数えますか?

規定では、通常時に電流が全く流れない接地線(アース線)は、発熱源とはみなされず「同一管内の電線数」には含めません。たとえばVVF3芯の1本をアースとして使う場合、実質2芯として放熱とみなす緩和規定が内線規程に存在します。

盤内の配線で使うKIV線(より線)とIV線で許容電流は違いますか?

どちらも絶縁材(ビニル)が同じ耐熱60℃のため、同じ断面積(sq)であれば基本の許容電流値は全く同じです。(※KIVの方がより細い銅線を束ねており柔軟性が高いため、盤内の取り回しに特化しています)

VCT(ビニルキャブタイヤケーブル)の許容電流はなぜあんなに低いのですか?

キャブタイヤは屋外・現場で踏まれても断線しないよう、外皮の中に分厚いゴムや介在物を詰めて真ん丸く保護しています。そのため、芯線の熱が外の空気に非常に逃げにくく(放熱最悪)、同じ太さのCVやスッキリしたVVFに比べて許容電流がガクンと落とされています。

施工管理者(現場監督)目線

「ブレーカーの容量より電線の許容電流を大きくしろ」と口酸っぱく言われます。

「ブレーカー(例20A)」>「電線(例19A)」の構成だと、19.5A流れた時にブレーカーは落ちないのに、電線は限界を超えて燃え始めます。必ず「電線の許容電流(例24A)」>「ブレーカー(例20A)」の順序にし、電線が燃える前にブレーカーが真っ先に「門」を閉じる設計(保護協調)にすることが絶対原則です。

天井裏の断熱材(グラスウール等)の中にVVFを埋もれさせて配線していいですか?

最新のゼロエネ住宅(ZEH)などで最も問題になる施工です。電線が分厚い断熱材にすっぽり包まれると、熱が1ミリも空気に逃げられなくなります。「周囲温度上昇」と「放熱不良」のダブルパンチを受け、規定の許容電流の【半分以下(約0.4倍等)】まで性能が落ちるため、太い線に変更するか断熱材を避ける配線設計が必要です。

CVケーブルをケーブルラックの上に「4段積み」で乗せても良いですか?

積めば積むほど隙間がなくなり、真ん中の方にある電線がサウナ状態になります。内線規程等で「多段積みの低減係数」が定められており、4段積み(しかも隙間なし密着等)にすると許容電流に「約0.6〜0.7」等の強烈なペナルティをかけなければならず、火災の原因になります。

設計図に「5.5sqのVVF」とありますが、そんなもの売ってますか?

「VVFの5.5sq」というものは一応一部メーカーから販売されていますが、ほぼ受注生産の超マイナー品です。平べったい外皮の中に硬いより線が入っており恐ろしく施工性が悪いため、普通は「CV5.5sq(3芯)」に図面変更をかけるのが一般的な対応です。

幹線で100sqのケーブル1本を引くか、38sqを2本並列で引くか迷っています。(パラレル配線)

太い電線を1本通す(100sqなど)より、細い電線を2本並列に並べた(パラレル配線に)方が、トータルの表面積が増えて熱が逃げやすくなるため、無駄に太い線を引かずとも大きな許容電流を確保できます。ただし並列配線には太さの条件や同長敷設などの法的な厳格なルールがあります。

建物管理者(オーナー・保守担当)目線

分電盤のブレーカーが頻繁に落ちます。30Aのブレーカーに交換して良いですか?

絶対にダメです!そこから先の壁の裏に繋がっている電線(VVF1.6mmなど)は「およそ20アンペア」までしか熱に耐えられない仕様です。そこを突破して30アンペアまで流れるように改造すると、ブレーカーは落ちなくなりますが壁の中で電線が発火してビルが全焼します。

コンセントが少し壁の中で焦げ臭い・変色しているような気がします。

「接触不良による異常発熱(トラッキング現象や端子緩み)」か「定格オーバー」の末期症状です。限界温度を超えてプラスチックパーツが炭化し始めているため、すぐにその回路のブレーカーを強制的に切り、電気工事士による緊急点検を行ってください。

夏場に、キュービクル盤と動力ケーブルが手で触れないほど熱くなっています。

電線は許容電流以内であっても、最大時の被覆表面温度は60℃〜90℃近くまで上昇するため、手で触れられないこと自体は物理的に正常(異常ではない)可能性が高いです。しかし限界に近いことは確かなため、空調設備の稼働見直しやサーモグラフィ診断による温度測定が必要です。

タコ足配線はなぜ危険なのですか?

壁のコンセント(15Aまで)に対し、1つの差込口から無理やり枝分かれさせて「合計25A」の電気を一気に吸い出そうとするからです。枝分かれした先の機器は動きますが、その全ての大電流が最終的に一本の細いコード(あるいは壁のコンセント根元)に殺到し、許容電流を超えて融解発火します。

古い事務所をリノベーションします。壁を開けたら電線のカバーが手で触るとボロボロ砕けます。

昭和時代などに施工され、長期間にわたって許容電流ギリギリ(または少しオーバー気味)の熱ストレスを受け続け、塩化ビニルの可塑剤(柔らかくする成分)が完全に抜けて「カチンコチン」に炭化・硬化している寿命状態です。少し曲げただけで中の銅線がショートするため、全線引き直し(更新)が必要です。