風速計とは?
見えない空気の流れを捕まえる。空調設備と高所作業の安全番人
【超解説】とても簡単に言うと何か?
空気の流れる速さ(メートル毎秒:m/s)を測る機械です。ビルの中でエアコンの吹き出し口から
「ちゃんと設計通りの風が出ているか」を測ったり、建設現場のクレーンの頂上で
「強風で作業が危険じゃないか」を監視するために使われます。
1. 基本概要
そもそも何か
気流の速度を測定する機器です。建築設備の分野では、主にダクト(配管)内や
換気口を流れる風の速さを測り、そこから風量(m3/h)を計算するために用います。
また土木建築分野では、屋外の「風速」を測る気象観測器として使われます。
なぜ必要なのか
換気扇やエアコンの風量が法律(建築基準法)で定められた換気回数を満たしているか、
完成時に検査・証明する必要があります。また、風速10m/sを超えるとクレーン作業が
禁止されるなど、高所作業の「命を守る基準」として風速の把握が法律で義務付けられています。
2. 構造や原理
内部構造(特徴的な構造)
【熱式風速計】先端に極細の「白金線センサー」が露出しています。
【ベーン式(風車式)】先端に小さな扇風機のような羽根がついています。
【カップ式】お椀が3つ回る、気象台等にある形です。
作動原理
熱式は、電気で熱した極細のワイヤーが「風に吹かれて冷える度合い」を測定し、
冷えた分だけ電気を流して温度を保とうとする電流量から風速を逆算します。
ベーン式は、風で回る羽根の「回転数」をセンサーで読み取って風速に変換します。
3. 素材・形状・規格
外観形状と素材
空調用は、伸縮する長いアンテナの先端にセンサーがついたハンディタイプが主流です。
高所作業の監視用は、クレーンのてっぺんにカップ式のセンサーを固定し、運転席の
モニターまでケーブルで繋がっています。
種類や関連規格
微風(0.01m/s〜)から測れる「熱式」は室内の空調検査に最適です。
ホコリや油煙が多い排気ダクトでは、熱式はセンサーが汚れて壊れるため、タフな
「ベーン式」や、圧力差で測る「ピトー管式」が使用されます。
4. 主に使用されている場所
使用される施設
新築ビルの空調ダクト・給排気口(TAB作業)、工場のクリーンルーム、
タワークレーンや仮設足場の上層部、トンネル工事の換気など。
具体的な設置位置
空調の測定では、天井の吹き出し口(アネモやライン型)に先端をかざしたり、
ダクトに開けた小さな測定穴からセンサーの棒を奥まで差し込んで測ります。
5. メリット・デメリット
メリット(長所)
熱式風速計は感度が極めて高く、人間が感じないような「そよ風以下」の気流の
乱れまで正確に数値化できます。これにより、室内の換気バランス(正圧・負圧)
を完璧に調整することが可能です。
デメリット(短所・弱点)
熱式風速計の先端にあるセンサー(白金線)は髪の毛より細く、指で触ったり落としたりすると
一瞬で断線して数十万円がパーになります。非常にデリケートな精密機器です。
6. コスト・価格の目安
導入にかかる費用
空調設備業者や検査会社が専門のものを複数保有します。
おおよその相場
- 簡易ベーン式風速計(DIY・目安用): 3,000〜1万円
- プロ用熱式風速計(空調・ダクト用): 10万〜20万円
- 多機能型(温度・湿度・風量計算機能付): 25万〜40万円
- クレーン用警報付き風速計: 10万〜15万円
7. 更新周期と注意点・絶対にやってはいけない悪い使用方法
更新周期
センサーの汚れや劣化により数値が狂うため、公的な完了検査に使う機器は
年に1回のメーカー校正(点検証明)が必要です。
絶対にやってはいけない悪い使用方法
熱式風速計のセンサー部分を、手で触ったり
布でゴシゴシと拭いて掃除すること。
センサーの「風を当てる向き」を逆にして測ること。
悪い使用方法をするとどうなるか
熱式センサーは数ミクロンのワイヤーであり、布で拭いた瞬間にプチッと切れて完全に壊れます。
また、センサーには「風を受ける正しい向き(矢印)」
があり、逆に向けると全くでたらめな数値になります。
測定プローブに描かれた矢印を必ず風上に向けます。
8. 関連機器・材料の紹介
- 空調ダクト(HVACダクト):
風速計の主な測定対象。この中を流れる風量を計算します。
▶ 詳細記事はこちら
9. 多角的なQ&A(20連発)
風速計は家庭でも使えますか?
換気扇の風量確認やエアコンの吹出し風速確認に使えます。簡易型は2,000円程度から購入可能です。
風速と風量の違いは?
風速は空気の速さ(m/s)、風量は単位時間に流れる空気の体積(m³/h)です。風量=風速×断面積で計算します。
換気扇が弱くなった気がする時に使える?
はい。吸込み口で風速を測定し、新品時のカタログ値と比較すれば劣化の程度が客観的にわかります。
測定する時のコツは?
測定点を風の流れに正対させ、体や手で気流を妨げないようにしてください。数値が安定するまで数秒待ちます。
デジタルとアナログどちらが良い?
デジタル式が主流で読み取りやすいです。熱線式は微風(0.1m/s〜)も測定でき、ベーン式は屋外の強風にも対応します。
ダクト内風速の測定点は?
ダクト断面を等面積に分割し、各区画の中心で測定して平均風速を求めます。JIS B 8330に測定方法が規定されています。
熱線式とベーン式の使い分けは?
室内の微風や吹出口にはベーン式が安定、ダクト内や狭所の測定には熱線式が適しています。温度補正機能付きが理想です。
風量測定でフードを使う理由は?
吹出口・吸込口の風量を直接測定するため、開口部全体を覆うフード(キャプチャーフード)を使うと正確です。
測定値がバラつく場合は?
気流の乱れが原因です。測定時間を長くして平均値を取るか、整流格子を設置して気流を安定させてください。
排煙設備の風速基準は?
排煙口の風速は1m/s以上(機械排煙の場合は排煙風量から逆算)を確保する必要があります。消防検査で測定を求められます。
竣工時の風量測定で確認すべきことは?
設計風量に対する実測風量の誤差が±10%以内であることを確認します。各吹出口・吸込口の風量バランスも重要です。
測定記録に必要な項目は?
測定日時、測定箇所、設計風量、実測値、使用機器の型番と校正日、外気温度・湿度を記録します。
風量調整(TAB)の手順は?
系統末端から順にダンパーを調整し、各吹出口の風量を設計値に合わせます。主ダクトから調整すると末端が大きく変動します。
校正の管理は?
年1回のメーカー校正が推奨です。校正証明書をTAB報告書に添付してください。
24時間換気の風量確認義務は?
建築基準法で居室の換気回数0.5回/h以上が義務です。竣工時と使用開始後に測定確認することが望ましいです。
定期的な風速測定は必要?
空調の省エネ管理のため、年1〜2回の主要吹出口の風量測定を推奨します。フィルター目詰まりによる風量低下を早期発見できます。
フィルター交換の判断基準は?
フィルター前後の差圧が初期値の2倍を超えたら交換時期です。風速低下でも判断できますが、差圧計の方が正確です。
クリーンルームの管理に必要?
必須です。クリーンルームでは気流速度と方向を定期的に測定し、清浄度を維持していることを確認します。
風速計の寿命は?
熱線式のセンサーは3〜5年で劣化することがあります。測定値のずれが大きくなったらセンサー交換またはメーカー校正を依頼してください。
外気取入量の確認方法は?
外気ダクトの風速を測定し、ダクト断面積を掛けて外気量を算出します。CO2濃度計との併用で換気状態を総合的に判断できます。