バックアップ材とは?
シーリングの寿命を延ばす「2面接着」の立役者
【超解説】とても簡単に言うと何か?
建物の隙間(目地)に防水材(シーリング)を詰める前に、
奥に詰め込んでおくスポンジ状の紐です。これがないとシーリングがすぐひび割れます。
1. 基本概要
そもそも何か
バックアップ材は、外壁パネルやサッシ周りの目地にシーリング材を充填する際、
シーリング材の充填深さを適切に調整し、目地底への接着を防ぐために使用される
ポリエチレン発泡体などの副資材です。
なぜ必要なのか
建築物の目地は、温度変化や地震によって伸び縮みします。
シーリング材が目地の両側面と底面の3箇所にくっつく(3面接着)と、
建物の動きに追従できずシーリング材が破断してしまいます。
バックアップ材を使うことで底面への接着を防ぎ「2面接着」状態を作り出します。
2. 構造や原理
2面接着のメカニズム
シーリング材は、目地の両側の壁面のみに接着(2面接着)している時、
ゴムのように最もよく伸び縮みできます。
バックアップ材はシーリング材が接着しない素材で作られているため、
目地底にシーリング材が固定されるのを防ぎます。
充填深さの調整
目地が深すぎる場合、大量のシーリング材が必要になり不経済なだけでなく、
厚みが大きすぎると内部の硬化不良を起こします。バックアップ材で適切な深さに調整します。
3. 素材・形状・規格
主な素材
独立気泡型のポリエチレン発泡体が主流です。水や空気を吸い込まず、
シーリング材とも接着しません。
形状とサイズ
丸型(円柱状)と角型(直方体状)があります。
目地幅に対して10〜20%程度太い(大きい)サイズを選び、
圧縮しながら目地に装填して固定します。(例:目地幅10mmなら直径12〜13mmの丸型)
4. 主に使用されている場所
使用される箇所
サイディングボードの目地、ALCパネルの目地、
サッシと外壁の取り合い部、コンクリートの打ち継ぎ目地など、
動き(ワーキング)が発生するワーキングジョイントで必須となります。
ボンドブレーカーとの使い分け
目地が浅くバックアップ材が入らない場合は、
目地底にシーリング材がくっつかない特殊なテープ(ボンドブレーカー)を貼って
2面接着を確保します。
5. メリット・デメリット
メリット(長所)
シーリング材の破断を防ぎ、防水寿命を大幅に延ばします。
また、高価なシーリング材の使用量を適正に抑え、コスト削減にも寄与します。
デメリット(短所・弱点)
目地幅が均一でない場合、太さの異なるバックアップ材を使い分ける手間がかかります。
装填時に傷をつけると、そこから気泡が発生してシーリング材が膨れる原因になります。
6. コスト・価格の目安
おおよその相場
- 丸型ポリエチレン(太さ10mm・250m巻): 3,000〜5,000円
- 丸型ポリエチレン(太さ20mm・100m巻): 4,000〜6,000円
- 角型(各種サイズ・1m×100本): 5,000〜10,000円
- ボンドブレーカー(テープ・50m): 500〜1,500円
7. 更新周期と注意点・絶対にやってはいけない悪い使用方法
更新周期
バックアップ材自体の寿命は長いですが、シーリングの打ち替え工事(10〜15年周期)の際、
古いシーリング材と一緒に撤去し、新しいものに交換するのが基本です。
絶対にやってはいけない悪い使用方法
ドライバーなど尖った工具で無理やり押し込み、バックアップ材を傷つけること。
目地幅より細いものを使用し、奥に落ち込んでしまうこと。
ねじれた状態で装填し、シーリングの厚みが不均一になること。
8. 関連機器・材料の紹介
- シーリング材(コーキング材):
目地を塞ぐ主材料。変成シリコーンやウレタンなどがあります。
▶ 詳細記事はこちら - プライマー(シーリング用):
シーリング材と外壁の密着を良くするための接着剤。
▶ 詳細記事はこちら - マスキングテープ:
目地周辺の汚れを防ぐための養生テープ。
▶ 詳細記事はこちら
9. 多角的なQ&A(20連発)
DIYでシーリングを打ち直す時、古いバックアップ材はどうする?
傷んでいなければ再利用も可能ですが、カッターでシーリングを撤去する際に
傷つけてしまうことが多いので、基本的には一緒に交換します。
スポンジの代わりに新聞紙などを詰めてもいい?
絶対にやめてください。新聞紙は水分を吸い込み、シーリングの硬化不良や
内部からの腐食・カビの原因になります。
ボンドブレーカーとバックアップ材は両方必要?
どちらか一つで構いません。目地が深く、深さ調整が必要ならバックアップ材。
目地が浅く、深さ調整が不要ならボンドブレーカー(テープ)を使います。
丸型と角型はどちらを買うべき?
目地幅が均一でない場所や曲線部には、柔軟にフィットする丸型が便利です。
角型は平滑な目地底を作りたい場合に向いています。DIYでは丸型が無難です。
どこで売っていますか?
大型ホームセンターの塗料・シーリング材コーナーや、建材専門のネット通販で
「バックアップ材」として販売されています。
適切な押し込み用工具は?
専用のローラーや、先端を丸く加工した木ベラを使用します。
カッターの背やマイナスドライバーは材料を傷つけるので厳禁です。
傷つけたバックアップ材を使うとどうなる?
発泡体の独立気泡が破れて内部の空気が膨張し、施工後にシーリング材の表面が
ポコポコと膨らむ「発泡(ピンホール)」という施工不良を引き起こします。
目地交差部の処理方法は?
縦目地と横目地のバックアップ材が重なると、そこだけシーリングの厚みが
薄くなってしまうため、交差部ではバックアップ材をカットして突き合わせます。
適切なシーリングの厚み(深さ)は?
一般的に、目地幅に対して深さは半分〜同程度(幅10mmなら深さ5〜10mm)が
理想的です。これに合わせてバックアップ材の位置を調整します。
バックアップ材が緩くて落ちてしまう時は?
ワンサイズ太いものに交換するか、角型を少し大きめにカットして使います。
緩い状態での施工は、シーリング材打設時に奥へ逃げてしまい規定の厚みが確保できません。
2面接着と3面接着の使い分け基準は?
サイディングやALCなど「動く目地(ワーキングジョイント)」は2面接着。
RC造の窓周りなど「動かない目地(ノンワーキングジョイント)」は3面接着が基本です。
バックアップ材の材質指定はありますか?
特記仕様書で指定がなければ、一般的なポリエチレン発泡体で問題ありません。
ただし、アスファルト系の防水材と接触する場合は耐油性の確認が必要です。
施工計画書での確認ポイントは?
目地幅と深さの設計寸法に対し、適切な太さのバックアップ材が
選定されているかを確認します。
現場での抜き打ち検査のポイントは?
シーリング充填前の段階で、バックアップ材がねじれていないか、
規定の深さが均一に確保されているかを目視確認します。
ボンドブレーカーのテープが剥がれているのを見つけたら?
テープが浮いているとシーリング材と接着してしまうため、
必ずシーリング充填前に貼り直させてください。
ALC外壁のシーリングがよく割れる原因は?
バックアップ材が入っておらず、3面接着になっている施工不良が疑われます。
ALCパネルの伸縮にシーリングが耐えきれず破断しています。
改修時の仕様決定で注意することは?
既存シーリングの撤去後、目地の深さを再確認し、
必要に応じてバックアップ材のサイズ変更やボンドブレーカーへの変更を指示します。
バックアップ材が露出している箇所があります
シーリング材が完全に破断・欠落しています。バックアップ材自体には
防水性はないため、速やかにシーリングの打ち替えが必要です。
バックアップ材の種類はシーリング材の材質に影響される?
一般的なポリエチレン発泡体は、変成シリコーン、ウレタン、シリコーンなど
ほとんどの建築用シーリング材に適合します。
修繕履歴に「ボンドブレーカー使用」とあるがバックアップ材は入っていない?
目地が浅いためボンドブレーカーで2面接着を確保した正常な施工です。
バックアップ材がなくても手抜きではありません。