天井材(ジプトーン・ソーラトン)とは?
オフィスの天井の定番!音を吸収し不燃性を持つ無数の穴の秘密
【超解説】とても簡単に言うと何か?
学校や会社の天井を見上げると、虫食いのような無数の「小さな穴」が
開いた白い板が張られています。それが、音を吸収して火災にも強い代表的な天井材です。
1. 基本概要
そもそも何か
オフィスの天井等に使われているトラバーチン模様(虫食い穴模様)の
化粧板です。石膏ボードに模様をプリントした「ジプトーン」と、
ロックウールを使った「ソーラトン」が代表的な商品名です。
なぜ必要なのか
クロス(壁紙)を張る手間を省き、ビスで天井の下地に打ち付けるだけで
一発で「仕上げ」が完了するため、広大な面積を持つ商業施設やオフィスの
工期とコストを大幅に削減できます。
2. 構造や原理
内部構造(特徴的な構造)
表面にランダムな「穴(くぼみ)」があるのが最大の特徴です。この穴は単なる模様ではなく、
空間で響く音(話し声や足音)のエネルギーを吸収し、反響音を抑える役割を果たしています。
作動原理
特に岩綿(ロックウール)吸音板は、繊維の隙間に音が入り込むことで
摩擦熱に変換して音を消散させるため、人が多く集まる場所の「ザワザワ感」を
劇的に軽減する効果があります。
3. 素材・形状・規格
外観形状と素材
約30cm×60cm(または45cm×90cm)の長方形の板が主流です。素材は「石膏(せっこう)」か、
鉱物を溶かして綿状にした「ロックウール(岩綿)」の2種類が主に用いられます。
種類や関連規格
ジプトーンは「化粧石膏ボード」の一種で非常に安価です。
ソーラトンは「ロックウール化粧吸音板」と呼ばれ、吸音性と断熱性に優れており、
いずれも建築基準法の「不燃材料」に認定されています。
4. 主に使用されている場所
使用される施設
オフィスビル、学校、病院、店舗(コンビニやスーパー)、工場の事務所、倉庫の天井など、
あらゆる非住宅建築の天井で最もポピュラーに使用されます。
具体的な設置位置
LGS(軽量鉄骨)という金属の骨組みにビスで直接打ち付けて固定するか、
石膏ボードを下張りした上から接着剤とステープル(大きなホッチキス)で二重に張り付けます。
5. メリット・デメリット
メリット(長所)
安価で施工が早く、燃えないため火災に強い(不燃)のが最大のメリット。
また、汚れたり破損した場合は、その部分の板(1枚)だけを外して
新しい板に交換する部分補修が可能です。
デメリット(短所・弱点)
ビスが見えたままであり、事務所感が強いため、高級感を出したい住宅や
おしゃれなカフェなどには不向きです。また、水に弱く、雨漏りすると
黄色いシミが取れなくなります。
6. コスト・価格の目安
導入にかかる費用
材料費のみであれば非常に安価です。一般的に、クロス(壁紙)を張るより
トータルの施工費は安く済みます。
おおよその相場
- ジプトーン(石膏系): 1,500〜2,500円/㎡(材工)
- ロックウール吸音板: 3,000〜5,000円/㎡(材工)
- 塗装による塗り替え: 1,500〜2,500円/㎡
7. 更新周期と注意点・絶対にやってはいけない悪い使用方法
更新周期
タバコのヤニや空調吹き出し口のホコリによる黒ずみが目立ってきたら、
専用の塗料で塗り直すか、全体を新しく張り替えます(10〜15年)。
絶対にやってはいけない悪い使用方法
普通のペンキ(水性エマルジョン)で
何度も厚塗りすること。
表面の無数の「吸音穴」が塗料で埋まり、
吸音効果が完全に失われます。
悪い使用方法をするとどうなるか
オフィスの電話の声や足音がビンビンと反響(エコー)するようになり、
非常にうるさく不快な空間になります。塗装時は必ず「吸音板専用塗料」を使用します。
8. 関連機器・材料の紹介
- LGS(軽量鉄骨下地):
天井材を取り付けるための金属の骨組み。
▶ 詳細記事はこちら - 石膏ボード:
ジプトーンのベースとなっている燃えない素材。
▶ 詳細記事はこちら
9. 多角的なQ&A(20連発)
この模様はどうして虫食いみたいなの?
トラバーチンと呼ばれる高級な大理石に空いている自然の穴模様を模倣したものです。デザイン性と吸音性(穴による効果)を兼ね備えた優れた模様です。
天井にシミができています。
雨漏りか、上の階からの漏水、もしくは天井裏の空調配管からの結露水が滴り落ちているサインです。放置するとカビや天井の落下に繋がります。
自分で塗装して白くしてもいいですか?
賃貸オフィスの場合、退去時の原状回復で揉めるため無断塗装はNGです。また市販の塗料で穴を埋めてしまうと吸音性が失われます。
ジプトーンとソーラトンの見分け方は?
表面にビスの頭が見えていれば「ジプトーン」、ビスが見えず全体が少し柔らかい質感(スポンジ状)なら「ソーラトン」等のロックウール吸音板です。
天井裏をネズミが走る音が響きます。
天井板1枚の厚さは9mmや12mm程度しかなく、防音効果は弱いため、天井裏の音はダイレクトに下に響いてしまいます。
張る時の向き(目地)のルールは?
一般的に部屋の長手方向(入り口から見て奥に向かう方向)に板の長い辺を合わせて張るのが綺麗に見えるセオリー(長手張り)です。
ビスピッチ(打つ間隔)の決まりは?
メーカー指定のピッチ(例:端から15mmの位置に150mm間隔など)を守らないと、地震時に割れたり落下する原因になります。ビスは白く塗られた「白ビス」を使います。
目違い(段差)を防ぐコツは?
下地であるLGS(Mバー)が水平に通っていることが大前提ですが、ビスを打ち込む際の沈み具合を一定にする(沈めすぎない)ことで表面が平滑に仕上がります。
ロックウール吸音板(ソーラトン)の施工の難しさ
石膏ボードを下張りした後、専用のボンドとステープル(タッカー)で打ち付けていきますが、柔らかくて角が欠けやすいため取り扱いに注意が必要です。
粉塵(ホコリ)対策
カッターで切る際に白い粉が大量に出るため、防塵マスクは必須です。目に入ると非常に痛いです。
「千鳥張り」と「芋張り」の違い
板の継ぎ目をレンガのように半分ずらすのが「千鳥張り」、十文字に揃えるのが「芋(いも)張り」です。最近は施工が早い芋張りが主流ですが、図面指定に従わせます。
照明器具や換気扇の開口指示
ダウンライトなどの丸い穴は、天井を張った後に「ホールソー(丸いノコギリ)」で開けますが、位置を間違えると1枚張り直しになるため事前の墨出し確認が重要です。
アスベスト(石綿)の危険性は?
現在製造されているものにアスベストは含まれていません。しかし、2004年以前に建てられた建物の古い天井材(一部の岩綿吸音板等)には含まれている可能性があるため、改修工事では事前調査が義務化されています。
「目透かし(めすかし)」とは?
板と板をピッタリくっつけず、あえて数ミリの隙間(目地)を空けて張る手法です。デザイン性が良くなり、熱による膨張での突き上げを防げます。
搬入時の注意点
角が少しでもぶつかると潰れて使い物にならなくなるため、現場での保管時は角当てや養生を徹底させます。
空調の吹き出し口周辺の黒ずみ(スマッジング)
気流に乗った微細なホコリが天井材に衝突して付着する現象です。吹き出し風速を下げるか、フィルターを強化しないと、張り替えてもすぐに真っ黒になります。
部分張り替え時の「色違い」
シミができた1枚だけを新品に張り替えると、周りの古く黄ばんだ板との色が合わず逆に目立ってしまいます。予算が許せば部屋ごとの塗装を提案します。
点検口が足りない場合
ジプトーンはビスを抜けば外れるため、天井裏を覗きたい場合は1枚外すことで簡易的な点検口代わりにすることができます(戻す際にビスが効かなくなることがあるので注意)。
結露によるカビと垂れ下がり
最上階の天井裏が換気不足だと、冬場に大量の結露が発生し、天井板が湿気を吸ってカビが生え、重みで波打つように垂れ下がってくることがあります。
耐震補強(落下防止)
東日本大震災で商業施設の吊り天井が大規模に落下したことを受け、現在はクリップやブレース(斜め材)を多用して地震の揺れを抑える「耐震天井」への改修が推奨されています。