電気工事士法とは?
電気工事の施工に必要な資格制度と業務ルール

1. 超解説

【超解説】とても簡単に言うと何か?
「電気工事を行うための資格制度と業務ルール」を定めた法律です。コンセントの増設から高圧受変電設備の配線まで、電気工事は資格なしには行えません。第一種電気工事士と第二種電気工事士の2種類の資格があり、それぞれ工事できる範囲が異なります。

電気工事士法は1960年(昭和35年)に制定され、経済産業省が所管しています。電気事業法が「電気設備の管理・保安」を規定するのに対し、電気工事士法は「電気工事の施工」に関するルールを定めています。無資格工事は感電事故や火災の原因となるため、厳しい罰則が設けられています。

2. 電気工事士の種類と工事範囲

資格工事できる範囲試験実施機関
第一種電気工事士すべての電気工事(一般用+自家用の最大電力500kW未満)(一財)電気技術者試験センター
第二種電気工事士一般用電気工作物の工事のみ(600V以下で受電する住宅・小規模店舗等)(一財)電気技術者試験センター
認定電気工事従事者自家用電気工作物のうち簡易電気工事(600V以下の部分)経済産業省の認定
特種電気工事資格者ネオン工事・非常用予備発電装置工事経済産業省の認定

第二種電気工事士でできる工事の例

第一種電気工事士が必要な工事の例

3. 資格取得の方法

第二種電気工事士

項目内容
受験資格制限なし(誰でも受験可能)
試験学科試験+技能試験(年2回実施:上期・下期)
学科試験マークシート式50問・120分。60%以上で合格
技能試験候補問題13問から1問出題。40分で完成させる
合格率学科約60%、技能約70%(総合合格率約50%)
免状交付試験合格後、都道府県知事に申請(実務経験不要)

第一種電気工事士

項目内容
受験資格制限なし
試験学科試験+技能試験(年1回実施)
免状交付試験合格+実務経験3年以上が必要
免状の更新5年ごとの定期講習受講が義務

4. 電気工事業の登録制度

電気工事業を営むには「電気工事業の業務の適正化に関する法律」(電気工事業法)に基づく登録が必要です。

区分要件
登録電気工事業者一般用電気工作物の工事を行う業者。都道府県知事に登録(有効期間5年)
通知電気工事業者自家用電気工作物のみの工事を行う業者。経済産業大臣に通知
みなし登録電気工事業者建設業許可を持つ業者が電気工事業を行う場合。届出が必要

登録要件として、営業所ごとに主任電気工事士(第一種電気工事士または3年以上の実務経験を有する第二種電気工事士)を置く義務があります。

5. 電気工事士法と関連法令の関係

6. 違反時のリスク・罰則

違反内容罰則
無資格での電気工事3ヶ月以下の懲役または3万円以下の罰金
電気工事業の無登録営業1年以下の懲役または10万円以下の罰金
主任電気工事士の未設置2万円以下の罰金
電気用品安全法違反(PSEマークなし製品の使用)1年以下の懲役または100万円以下の罰金

罰則の金額自体は低額ですが、無資格工事が原因で火災や感電事故が発生した場合、業務上過失致死傷罪(5年以下の懲役・禁錮または100万円以下の罰金)や、民事上の損害賠償責任を問われます。

7. 近年の動向

8. 関連記事リンク

9. 多角的なQ&A

一般の方向け

コンセントの交換は自分でやっても大丈夫ですか?

いいえ。コンセント(壁付きアウトレット)の交換は電気工事士の資格が必要な「電気工事」に該当します。無資格で行うと法律違反であるだけでなく、接続不良による発熱・火災のリスクがあります。照明器具の電球交換やシーリングライトの着脱(引掛シーリング対応品)は資格不要です。

第二種電気工事士の資格は独学で取れますか?

はい、独学で十分取得可能です。学科試験は市販のテキストと過去問で対策でき、合格率は約60%です。技能試験は候補問題13問が事前公表されるため、工具と練習用部材を揃えて繰り返し練習すれば合格できます。学科・技能合わせて3〜6ヶ月の学習期間が一般的です。

エアコンの取付工事には資格が必要ですか?

エアコンの室内機・室外機の取付けや冷媒配管の接続自体には電気工事士の資格は不要です。ただし、専用コンセントの増設、ブレーカーの増設、電源線の配線工事には第二種電気工事士以上の資格が必要です。量販店の取付サービスでは、資格を持った作業員が電気工事部分を担当します。

DIYでLED照明に交換したいのですが、資格は必要ですか?

引掛シーリングやダクトレールに取り付けるタイプの照明器具の交換は資格不要です。しかし、直結配線タイプの照明器具(天井裏で電線を直接接続するもの)の交換は電気工事に該当するため、電気工事士の資格が必要です。

電気工事士と電気主任技術者の違いは?

電気工事士は「電気工事を施工する資格」で、配線やスイッチの取付けなどの実作業を行います。電気主任技術者は「電気設備の保安監督をする資格」で、キュービクルの点検や電力設備の管理を行います。工事する人と管理する人の違いです。

業界関係者向け

第一種電気工事士の定期講習を受けないとどうなりますか?

第一種電気工事士は5年ごとの定期講習が義務で、未受講の場合は免状の返納命令の対象となります。免状を失うと第一種の工事ができなくなるため、必ず期限内に受講してください。受講費用は約12,000円で、オンライン講習も選択可能です。

建設業許可(電気工事業)と電気工事業の登録の両方が必要ですか?

はい。建設業許可(電気工事業)は建設業法に基づく許可で、500万円以上の電気工事を請け負うために必要です。電気工事業の登録(みなし登録)は電気工事業法に基づくもので、工事の施工に必要です。両方の手続きが必要です。

電気工事士が使用する工具に法的な規制はありますか?

電気工事士法では特定の工具の使用義務はありませんが、技能試験では指定工具(圧着ペンチ、ケーブルストリッパー等)が必要です。実務上は、JIS規格の絶縁工具を使用し、検電器で無電圧を確認してから作業することが安衛法に基づく安全作業の基本です。

軽微な電気工事とは具体的に何を指しますか?

電気工事士法施行令で定める「軽微な工事」には、①600V以下の接地工事、②電線管の曲げ加工・接続、③定格電圧36V以下のインターホン等の配線、④電力量計の取付けなどが含まれ、これらは電気工事士でなくても施工可能です。ただし、電源に接続する部分の工事は対象外です。

外国人技能実習生に電気工事をさせることはできますか?

電気工事士の資格を持っていない外国人技能実習生が単独で電気工事を行うことは違法です。ただし、電気工事士の資格を持つ監督者の直接指導のもとで補助作業を行うことは認められています。技能実習の職種に「電気機器組立て」はありますが、「電気工事」は別途の資格取得が必要です。

電気工事の施工後に必要な検査は?

電気工事完了後は、①絶縁抵抗測定、②接地抵抗測定、③導通試験、④極性確認を行います。自家用電気工作物の新設・増設の場合は、使用前自主検査(電気事業法)も必要です。一般用電気工作物は電力会社による竣工調査(通電前の安全確認)が行われます。