FEP管(波付硬質合成樹脂管)とは?
重機の重圧を跳ね返す、地中配線強力な「蛇腹シェルター」
【超解説】とても簡単に言うと何か?
地中に電線を埋設する際に使う、土圧に強いオレンジ色の波付き樹脂管です。
1. 基本概要
そもそも何か
FEP管は「波付硬質合成樹脂管(なみつき・こうしつ・ごうせいじゅしかん)」の略で、
外側がナミナミの凸凹形状のポリエチレン樹脂で作られ、
「硬くて丈夫なのに、ホースのように曲がる(可とう性がある)」
という地中埋設のために最適化された最強の電線保護管です。
なぜ必要なのか
電柱を使わずに「電線を地中に埋める(無電柱化・埋設配線)」場合、
地上を走るトラックの重み(数百キロ〜数トン)が土を介して
電線にのしかかります。普通のツルツルのパイプ(VE管等)なら
一発で「ペシャンコ」に潰れてしまう圧力を、防ぐために必須の盾です。
2. 構造や原理(ナミナミ形状の秘密)
衝撃を逃がす「アーチ構造」
FEP管の表面のデコボコ(波型)は、単に曲がりやすくするためだけ
ではありません。橋やトンネルと同じ「アーチ構造」の集合体として機能し、
上から強烈な土圧や車両の重みがかかっても、その力を分散させて
「パイプの内側の丸(空洞)」を絶対に確保する物理的マジックです。
呼び線の内蔵(パイロットワイヤー)
数十メートルから数百メートルも地中に埋められたFEP管に、後から
太いケーブルを通すのは困難です。そのため、製品出荷時から
FEP管の中には「呼び線」という細い針金や紐がオマケで入っており、
これに本番の電線を結びつけて、反対側から「よいしょ!」と引っ張ります。
3. 素材・形状・規格
PF管との決定的違い
同じ蛇腹パイプでも、壁の中に使う「PF管」は指でつまむと簡単に
凹む薄さですが、「FEP管」は足で踏んづけてもビクともしないほど
プラスチックが分厚く、別次元の強度を持っています。
(PF管を地中埋設の重車両ルートに使うのは違法・強度不足です)
サイズと色(電力か通信か)
FEP30、40、50、といった中口径から、FEP100、150といった
人間がすっぽり腕を入れられるレベルの極太サイズ(大巻)まであります。
色は「黒色(スタンダード)」または、地中で掘り当てた時に目立つ
「オレンジ色(注意喚起)」が多く、通信用など用途で使い分けられます。
4. 主に使用されている場所
使用される施設
太陽光発電所(メガソーラー)のパネルからパワコンまでの地中ルート、
街灯(ポールライト)の足元、道路の無電柱化プロジェクト(キャブシステム)、
工場から工場への高圧ケーブルの渡りなど、およそ「土を掘る電気工事」
のほぼ100%に登場します。
具体的な設置位置(法規上の深さ)
電気設備技術基準(内線規程など)により、FEP管を埋める深さには
厳格なルールがあります。「車両など重いものが通る場所」は【地表面から1.2m以上】
「人が歩くだけの場所」は【地表面から0.6m(60cm)以上】
という途方もない深さの穴(トレンチ)をショベルカーで掘って埋めます。
5. メリット・デメリット
メリット(長所)
従来の「鋼管(分厚い鉄パイプ)」を溶接して何本も繋ぎ合わせて地中に
沈めていた時代に比べ、FEP管は「長尺のホース(1巻き30m〜50m)」
であるため繋ぎ目が少なく、ユンボで掘った溝に
「ガラガラガラ…と転がし落とすだけ」で一瞬で配管が終わる革命をもたらしました。
デメリット(短所・弱点)
「配管内への水の侵入(湧水等)」のリスクです。地中は常に湿気があるため、
接続部(ジョイント)のテープ巻きが甘かったり、末端の処理を怠ると
管の中に地下水や雨水が「満水」まで溜まってしまい、プールのように水没
した管の中を、電気ケーブルがいばらの道として走る事になります。
6. コスト・価格の目安
導入や更新にかかる費用
材料自体は「1巻いくら」の世界ですが、本質的なコストはFEP管
そのものではなく「掘削(土を掘る)」「埋戻し」「舗装復旧」という
『土建屋・重機作業の莫大なコスト』が全費用の9割を占めます。
おおよその相場(FEP管自体の材料費・1mあたり)
- FEP30(細め・街灯用など): 約 250円〜400円/m
- FEP50〜65(中太・工場幹線など): 約 500円〜800円/m
- FEP100以上(極太・高圧ケーブル用など): 約 1,500円〜3,000円/m
合計目安: 配管材は安いですが、
アスファルトを切って掘って埋め戻す「埋設工事一式」としては、
数十万円〜の大工事になります。
7. 更新周期と注意点・絶対にやってはいけない悪い使用方法
更新周期(推奨交換時期)
太陽の紫外線(劣化の最大の原因)が当たらない「地中深く」にあるため、
強度的には「半永久的(30年〜50年以上)」に機能し続けます。
中のケーブルが寿命(約20年)を迎えた際は、パイプ自体は掘り返さず、
中のケーブルだけをズルズルと引っ張り出して新品の線を入れ替えます。
絶対にやってはいけない悪い使用方法
「点荷重(ピンポイントの激しい圧力)」というFEP管最大のタブーです。
FEPは全体的な土圧には耐えますが、尖った石の上に置かれた状態で
上から車が乗ると、石の先端部分だけで衝撃を受け止めることになり、
波型のプラスチックがブチ破れ、中の電線が岩に削られて短絡による発火します。
悪い使用方法をするとどうなるか(末路)
地中でFEP管が破損してケーブルが断線した場合、直すためには
「もう一度重機を呼んでアスファルトを割り、1m以上土を掘り返す」という
地獄の二度手間と莫大な赤字が発生します。
これを防ぐため、FEP管の上下には必ず「柔らかい山の砂」を敷き詰めます。
8. 関連機器・材料の紹介
FEP管の地中配線システムを構成する超重要アイテムです。
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ハンドホール(地中埋設箱):
FEP管の「中継地点・カーブ地点」に埋めるコンクリート製の巨大な箱。
この箱の中で人間が配線を引っ張ったり接続したりします。
▶ 詳細記事はこちら -
PF管・CD管(可とう電線管):
FEP管が「地中用・外用」なら、その弟分にあたる薄手のPF管は
「建物の中の壁・天井用」の蛇腹管として完璧な棲み分けをしています。
▶ 詳細記事はこちら
9. 多角的なQ&A(20連発)
家の庭にオレンジ色の太いパイプの切れ端が落ちていました。
地中埋設用の「FEP管(エフレックス)」の余り材(端材)です。
電気屋さんが外灯などを立てた時のゴミで、燃えないゴミになります。
オレンジ色は地中でもショベルカーの運転手が見つけやすい「警告色」です。
駐車場に防犯カメラを付けたい。FEP管を自分で埋めても良い?
管を埋める(スコップで穴を掘る)作業自体は誰がやっても合法ですが、
中に100Vの電線を通した時点で「電気工事士」の独占業務となります。また、
60cm以上という法的な深さを手掘りで掘るのは一般の方には腰が壊れるため業者推奨です。
FEPをむき出しのまま(地上で)転がして使ってはいけませんか?
FEP管は「土に埋めること(耐土圧)」の強度には優れていますが、
太陽の強烈な紫外線には耐性がなく、地上にむき出しで放置すると
数年でボロボロに崩れるため、地上に出る部分は必ず「金属管」などにバトンタッチします。
地面工事の人が管の周りに「柔らかい砂」を入れているのはなぜ?
「砂巻き(砂埋戻し)」という重要な保護工程です。
掘った土の中に混ざっている「尖った石」などが車の重みでFEP管に
突き刺さるのを防ぐためのクッションとして、数十センチの砂のベッドで管を守ります。
「エフレックス」という名前だけ職人がよく口にしますが、会社名?
古河電工(古河電気工業)が製造・商標登録している大ヒット商品の
ブランド名が「エフレックス」であり、FEP管の代名詞(ホッチキスや
サランラップと同じ現象)として、
他社製品のFEP管でも現場ではエフレックスと呼ばれます。
FEP管の中に「呼び線(針金)」がない!通線ワイヤーを通すコツは?
長い距離のFEP管で通線ワイヤー(スネーク)が途中で進まなくなった場合、
裏技として「細いタコ糸」に「丸めたビニール袋の切れ端」を結び、
管の反対側から工事用掃除機(バキューム)で一気に吸い込んで紐を貫通させます。
FEP管の中は「水浸し」前提で工事をしろと先輩に言われました。
はい、絶対的なセオリーです。ジョイントテープをどれだけ巻いても
地中の結露や湧水で「FEP管の内部は数年で水没(プール状態)」になります。そのため、
中のケーブル自体が「水没しても漏電しない完全な被膜(CV等)」で施工します。
FEP同士の結合「レジン充填工法」や「ベルマウス」とは?
ジョイント部品をはめた後、エポキシ樹脂(レジン)などの
化学薬品を流し込んでガッチリ密閉する強固な防水接続法です。
ベルマウスは管の端に付ける「朝顔型」の部品で、
ケーブルを入れる時に傷つくのを防ぎます。
地上へと立ち上げる(立ち上げ管)際、FEPのままで良いですか?
厳禁です。地表面からプラスチックのFEP管のまま立ち上げると、草刈り機の
刃が当たったり、車がぶつかった瞬間に切断されます。「地中から地上30cm」までは、
厚鋼電線管(G管)などの強固な「鉄パイプ」で保護して立ち上げるのが法規基準です。
FEP管の中に入れるケーブルの太さ(マージン)の目安は?
基本的に「管の内径に対して、ケーブルの仕上がり外径の『1.5倍〜2倍の隙間』」
を取るのが実質的な通線の限界です。ギリギリのサイズで距離が20mを超えると、
摩擦抵抗(重さ)でケーブルがビクとも動かなくなり(スタック状態)、
現場が凍りつきます。
図面に「埋設標識シート(黄帯・オレンジ帯)」の指示があります。
FEP管を埋めた土の『約30cm上の層の中間』に一緒に埋める警告テープです。
将来、別の工事でパワーショベルが土を掘り返した際、FEPより先にこの
シートが飛び出すことで「この下に重要な高圧ケーブルあり!掘削中止!」
と伝える安全装置です。
土建屋(外構)のユンボのオペレーターと事前に打ち合わせる最大のポイントは?
「深さ(根切り深さ)」と「砂埋めの役割分担」です。
電気屋はスコップしか持っていないため、基準法規(重耐600mm/1200mm)をクリア
する深さピッタリまでユンボで掘ってもらい、
底の整地と砂を入れる手間を見積もりに組み込みます。
「ハンドホール間のFEP管が曲がりすぎ(うねりすぎ)」で現場が止まっています。
FEPは柔らかいため、トレンチ(溝)の中で蛇のようにウネウネと
曲がって(スネーク現象)沈められがちですが、カーブが多いと
張力限界を超えてケーブルが後から通せなくなります。
「なるべく直線に引っ張って埋めろ」が鉄則です。
「通信用」と「電力用」のFEP管を同じ溝に埋めて(抱き合わせ)も良いですか?
「離隔距離(リカク)」の法規に抵触します。
高圧電力の近くに通信(LAN等)を這わせると強烈なノイズを拾い通信障害が起きるため、
同じ溝でも「上下や左右に最低数十センチ以上離して(土で隔てて)」
配管するよう指示します。
FEP管を建物(基礎コンクリート)に貫通させる際の防水トラブル(漏水)の対策は?
地下室などの壁を貫通してFEPを入れる場合、管の外側を伝って雨水や
地下水が室内に「滝のように」流れ込んできます。
コンクリート貫通部には「水膨張ゴム(アクアフィット等)」
等の特殊防水スリーブを施工します。
新しく駐車場を拡張する際、どこにFEP管(電気)が埋まっているか分かりません。
竣工時の『埋設ルート図・配管図』がないと非常に厄介です。
手探り(試掘作業)で慎重に掘っていくか、地中レーダーなどの高額な
探査機を入れることになります。図面の管理は地中配線において命です。
建物の基礎から上がってくるFEP管の「入り口周り」に粘土が盛られています。
「パテ埋め(防虫・防湿パテ)」という正しい施工です。
FEP管の隙間は、ネズミやゴキブリ、ムカデにとっては絶好の「建物への秘密のトンネル」
になります。管の出口を粘土でがっちり塞ぐことで侵入と結露を防いでいます。
「電線共同溝(CCBOX)」とは、普通のFEP管とは違うのですか?
国や自治体が道路の下に作る超巨大な「FEP等の集合体インフラ」です。
複数の電力会社や通信会社が共同で使えるよう、巨大な四角いコンクリート
ブロックの中に何本ものパイプの穴が最初から開いていて、街の無電柱化を一手に担います。
地中配線のケーブルが寿命になった後、FEP管をそのまま再利用できますか?
はい、FEP管最大の存在意義がそれです。
管が内部で座屈(潰れて)いなければ、古いケーブルを抜き、新しいケーブルを
スーッと入れるだけで更新完了です。アスファルトを割り直す数百万の経費が浮きます。
FEP管ではなく、普通の金属管を地中に埋めるのはアリですか?(SGP管等)
ガス管のような分厚い鉄管(防食加工済み)であれば可能ですが、
時間が経てば必ず鉄がサビて土に帰り、穴が空きます。
防食(アスファルト巻き等)のコストが莫大なため、
特例を除き樹脂製のFEPが現在の一択です。