PF管・CD管とは?
隠蔽配線に用いられる波付の合成樹脂製可とう電線管
【超解説】とても簡単に言うと何か?
壁の中や天井裏で電線を通すために使う、自由に曲げられる樹脂製のじゃばらホースです。
1. 基本概要
そもそも何か
正式には「波付硬質合成樹脂管」と呼びます。
かつては真っ直ぐで固い管を熱して曲げていましたが、
手で簡単に好きな角度に曲げられる画期的な樹脂製の線材保護用フレキシブルチューブです。
なぜ必要なのか
壁の裏や天井裏の狭く入り組んだスペースでも管を折ることなく這わせることができ、
電線の入れ替えが圧倒的に容易になり、かつ外部からの軽微な衝撃から保護するためです。
2. 構造や原理
波付(じゃばら)構造
管の形状が波のようにシワシワのジャバラ状になっているため、踏んでも潰れにくく、
かつ任意の角度に楽に曲げることができる(可とう性)という相反する特性を両立しています。
簡単な施工と接続の仕組み
ナイフや専用のハサミで簡単に切断でき、ボックス側の専用のコネクタやカップリングに
カチッと差し込むだけでワンタッチで抜けなくなる「スナップフィット構造」を持っています。
3. 素材・形状・規格
外観形状と素材
**PF管(アイボリー等)**: 「自己消火性(炎を遠ざけると自然に消える)」がある素材です。
**CD管(オレンジ色)**: 「自己消火性が無い(燃え広がる危険がある)」素材です。
種類や関連規格
PF管には1層構造の屋内用「単層管(PFS)」と、屋外で日光に晒されても劣化しにくい
耐候性を持つ「複層管(PFD/主に黒やこげ茶色)」の2種類がJIS規格で定められています。
4. 主に使用されている場所
使用される施設
木造から鉄筋コンクリートまで、一般の住宅から大型の商業施設に至るまで、
現代の建築物においてコンセントやスイッチの隠蔽配線としてほぼ100%使われます。
具体的な設置位置
PF管は天井裏の「転がし配管」等に。オレンジのCD管は鉄筋コンクリート建物の
「コンクリート埋設専用」として、壁や床のコンクリートを流し込む前に仕込んでおきます。
5. メリット・デメリット
メリット(長所)
金属管に比べて圧倒的に軽量で安価、そして曲げ加工の職人技を必要としないため、
誰でも簡単に扱え、工事全体の施工スピードが信じられないほど速くなることです。
デメリット(短所・弱点)
金属のような強固な物理的・機械的強度はなく、刃物などで容易に切れ、外部衝撃に弱いです。
また長期間の直射日光(紫外線)
を浴びるとボロボロに崩れるプラスチック特有の弱点があります。
6. コスト・価格の目安
導入や更新にかかる費用
材料自体が安価な上、特殊な機械を必要とせずロールから引き出して切るだけなので、
人工(職人の労務費)が劇的に節約できトータルコストは金属管の比ではありません。
おおよその相場(1巻き=50mあたり)
- PF管(サイズ16内径): 約4,000〜6,000円
- CD管(サイズ16内径): 約3,000〜4,000円
合計目安: CD管の方が安価なため、
大規模なコンクリート打設現場ではCD管が大量に消費されます。
7. 更新周期と注意点・絶対にやってはいけない悪い使用方法
更新周期(推奨交換時期)
隠蔽配管であれば半永久的ですが、屋外露出の場合は耐候性PF管でも15〜20年が限度です。
それより前に、色と特性を間違えた「場所間違い」が最も致命的なNGになります。
絶対にやってはいけない悪い使用方法
CD管は火が着くと燃え広がるため、空気に触れないコンクリート埋設時以外に
使用することは、電気設備技術基準で明確に禁止されています。
悪い使用方法をするとどうなるか(末路)
法令違反のCD管の露出配管を行い、万が一漏電などで出火した場合、
オレンジ色の管が「導火線」の役割を果たして天井裏全体に一瞬で火災が燃え広がり、
建物全体を焼失させる大惨事になります。竣工検査で見つかれば全撤去のやり直しです。
8. 関連機器・材料の紹介
PF・CD管工事に不可欠な部材や、特性が違う保護管の紹介です。
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ジョイントボックス:
管同士を接続したり、コンセント裏で電線を結線するための
四角や丸の樹脂製の箱です。
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金属電線管(E管等):
樹脂製のPF管ではすぐに壊れてしまうような、
物理的ダメージを受けやすい場所で使われる強固な鉄管です。
▶ 詳細記事はこちら
9. 多角的なQ&A(20連発)
工事現場に転がっているオレンジ色のホースは何ですか?
CD管といい、コンクリートの壁や床を作る前に埋め込んでおく、
電気の通り道を確保する管です。
エアコンのダクトとは違うのですか?
違います。エアコンの配管を守るものはドレンホース等で、
PF管より太くて構造が異なります。
家の壁の外から出ている管がひび割れていますが大丈夫?
紫外線でプラスチックが劣化した状態です。
中の電線まで傷むと漏電火災の原因になるため早めの修理が必要です。
なぜ波型(じゃばら)になっているのですか?
潰れに対する強度を保ちながら、曲がった壁の中や角を自在に曲げて通すためです。
虫やネズミに囓られませんか?
プラスチックなので金属管に比べれば囓られやすいです。
ネズミが多い場所では金属管への変更が検討されます。
管のサイズ選定の目安は?
電線の太さと本数から内断面積を計算し、
管の断面積の32%(条件により48%以下)に収まるよう選定します。
コンクリート打設時、CD管を潰さないための工夫は?
鉄筋への結束間隔を狭くし、パイプが浮かないようにする事と、
必要なら木栓等で管口を塞ぎノロの浸入を防ぎます。
長い管の中で電線が通らなくなった(引っかかった)時の対処法は?
入線用潤滑剤(シリコンスプレーや入線液等)をたっぷり塗り、
通線ワイヤー(スチール等)を使って慎重に引きます。
PF管とCD管の切断には何を使いますか?
専用のチューブカッターです。ナイフなどで斜めに切ってしまうと、
コネクタに挿しても抜けやすくなります。
サドルの支持間隔(留める間隔)の規定は?
内線規程により1.5m以下です。曲がる部分は特に浮きやすいため、
角の近くでもしっかり留めます。
間違ってオレンジのCD管を天井裏に配管してしまいました。
法令違反であるため、全撤去か、
法令に則って不燃性の材料(専用の保護テープ等)で完全に覆う等の大改修が必要です。
自己消火性があるPF管なら、防火区画をそのまま貫通できますか?
できません。PF管は炎で燃え尽きはしませんが溶けるため、
貫通部は国土交通大臣認定の耐火パテ等で法的に処理する必要があります。
太陽光パネルの屋外配管でPF管を採用する際の指示は?
必ず「耐候性タイプ(PFD管などの2重構造品)」
を使用するよう図面指示と材料承認の段階で徹底確認します。
コンクリート打設後、中を電線が通らないというトラブルが起きました。
打設中に管が潰れたか、セメントが浸入して固まったと考えられます。
復旧困難なため露出配管への変更等を施主と協議します。
PF管の色はどのように選定しますか?
通常はアイボリー等ですが、非常用電源や弱電線(LAN等)の場合は、
他と区別するために別色のPF管を指定します。
壁の中からオレンジのホースが直接出ているのを見つけました。
コンクリート等の隠蔽部から直接出ている部分は、厳密には「コンクリート以外の場所」
にCD管が露出しているため指導対象になる可能性があります。
PF管の中に水が溜まっているようなのですが?
結露水か、屋外の継手からの雨水の浸入です。
水抜き穴(ドレン)を開けるか、接続部の防水シールをやり直す必要があります。
耐候性PF管の寿命はどのくらいですか?
通常15〜20年は持ちますが、直射日光の強さによります。
色が白っぽく退色してきたり、押してパリッと割れるなら寿命です。
LANケーブルを通すのに電線と同じPF管を使っていいですか?
電磁ノイズを拾って通信障害が起きるため、
強い電力線と弱い通信用LANケーブルは管を別々に分けるかセパレータが必要です。
ネズミの防除対策としてPF管のパテ埋めは有効ですか?
管の入り口から侵入されないようにパテで塞ぐのは大変有効です。
管自体を囓られる場合は金属管への変更を検討します。