金属管(E管・C管・G管)とは?
配線を物理ダメージから守る鋼金属製シャッター
【超解説】とても簡単に言うと何か?
衝撃や火災から電線を守るために使われる、鉄製の硬い配線用パイプ(電線管)です。
1. 基本概要
そもそも何か
金属管(きんぞくかん)は、絶縁電線を内部に通して配線するための鋼鉄製の電線管です。
電気配線工事における最も伝統的かつ強固な電線保護システムです。
なぜ必要なのか
電線をむき出しで配線すると、外部への引っ掛け、刃物、げっ歯類の被害などによって
容易に被覆が傷つき漏電や火災を引き起こします。これを防ぐ最も強固なバリアとなります。
2. 構造や原理
シンプルな管構造
構造自体はただの筒状の鋼管ですが、電線を通すための内部は滑らかに仕上げられており、
配管の途中に四角いボックス(プルボックス等)を設けて電線を中継・分岐します。
物理保護と耐火のメカニズム
外部からの電磁ノイズを遮断(シールド)する効果や、万が一管内で火花や短絡による
異常発熱が起きても、鋼管自体が不燃性のため外部へ火を出さない耐火性を持ちます。
3. 素材・形状・規格
外観形状と素材
主に3つの規格(E・C・G)が存在し、全て防錆のための亜鉛めっき処理が施されています。
管自体はまっすぐな定尺ですが、職人がベンダーで曲げ加工を施して設置します。
種類や関連規格
**E管(ねじなし)**:金具の押しネジで固定する現在の屋内の主流規格。
**C管(薄鋼)**:管端のねじ溝で接続。現在はあまり使われません。
**G管(厚鋼)**:肉厚で極めて頑丈。防爆エリア等で使用される最高強度の管です。
4. 主に使用されている場所
使用される施設
工場や倉庫、プラントなど、台車の衝突など物理的ダメージの懸念がある過酷な環境や、
防火性・不燃性が強く求められる病院や公共施設で多用されます。
具体的な設置位置
露出配管として壁や天井に直接固定されるほか、防火区画を貫通する防災設備の耐熱配線や、
無骨な意匠性を求めてカフェ等のスケルトン天井で意図的に露出して使用されます。
5. メリット・デメリット
メリット(長所)
最大のメリットは全配線保護材の中でトップクラスの機械的強度と、優れた防護性・耐火性、
そして外部への電磁波の漏洩や外部からのノイズ侵入を防ぐ高いシールド性能です。
デメリット(短所・弱点)
材料費が高く、パイプベンダーで管を曲げる作業やネジ切り、切断面のバリ取りなど職人の
高度な技術が必要で、施工スピードが樹脂管に比べて極端に遅く人工がかさむ点です。
6. コスト・価格の目安
導入や更新にかかる費用
樹脂管(PF管など)に比べると材料費も高く、施工にかかる時間(人工)も大幅に増えるため
導入コストは高額になります。
おおよ所の相場(1本=定尺3.6mあたり)
- E管(サイズ19等): 約500〜800円前後
- G管(サイズ22等): 約1,000〜1,500円前後
合計目安: 現場の長さ分に加え、ジョイントボックス等の付属品や
支持金物代を含めて積算します。
7. 更新周期と注意点・絶対にやってはいけない悪い使用方法
更新周期(推奨交換時期)
屋内の乾燥した場所であれば半永久的ですが、湿気等で錆が発生した場合は更新時期です。
また、管内の占積率(内断面積の32%以下)を厳守する必要があります。
絶対にやってはいけない悪い使用方法
切断後の管の切り口を平滑に削り取る「バリ取り」を怠ると、電線を引き込む際に
鋭利な刃物のようになった鉄の断面で被覆がズタズタに削り取られてしまいます。
悪い使用方法をするとどうなるか(末路)
被覆が破れた電線が金属性に触れると即座に地絡(漏電)し、鉄の管全体に電気が流れます。
もしアース(D種接地)が不十分だった場合、管に触れた人が重篤な感電事故を起こし
最悪の場合は死に至るか、漏れ出た電気によって火災が発生します。
8. 関連機器・材料の紹介
金属管工法において、電線を曲げたり分岐したりするために必須のボックス類です。
-
プルボックス:
配線を管から引っ張り出したり、複数の管を合流・分岐させるための
非常に重要な金属製の四角い箱です。
-
PF管・CD管:
金属管を使わずに、コストと工事スピードを優先する場合に使われる
自由に手で曲げることができるプラスチックの波付管です。
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9. 多角的なQ&A(20連発)
壁に張り付いている銀色のパイプは水道管ですか?
水道やガスの可能性もありますが、金属管(電線管)と
呼ばれるものなら中に電気が通っています。
なぜわざわざ費用をかけてパイプの中に電線を通すのですか?
台車の衝突や、ハサミなどの刃物、ネズミの囓りから電線を完璧に守るためです。
電気のパイプに手で触るとビリッときますか?
パイプ自体は電気が漏れた時のために安全にアース(接地)
されているので、通常触っても感電しません。
金属のパイプは錆びないのですか?
表面に防錆の亜鉛めっき処理がされているため錆びにくいですが、
屋外で長期間経つと白や赤に錆びることがあります。
途中に四角い箱がついているのは何ですか?
「プルボックス」などと呼ばれ、パイプが長すぎるときに中継地点として
電線を一度外に引っ張り出すための箱です。
金属管工事で一番の腕の見せ所はどこですか?
パイプベンダーを使った「曲げ加工(ノーマル曲げ・S字曲げ)」です。
壁に沿って美しく這わせるのが職人技です。
E管の接続(カップリング)での注意点は?
止めネジの頭がねじ切れるまでしっかり締め付け、
電気的な導通(ボンディング)を確実に確保することです。
切断後のリーマ掛け(バリ取り)を忘れるとどうなる?
入線時に電線の被覆がバリで削られ、
最悪のケースだとメガ(絶縁抵抗)が落ちて線を引き直しになります。
一区間(ボックスからボックスまで)の曲げの限界は?
直角に曲げる箇所(ノーマルベンド等)は3箇所までとし、
極端に長い場合は途中に必ずプルボックスを設けます。
厚鋼(G管)のネジ切りで気をつけることは?
ねじ切り機(ダイス)で切った後、ねじ山に防錆塗料
(ジンクリッチスプレーなど)を塗らないとそこから錆びます。
樹脂管(PF管)ではなく金属管を指示すべき場所は?
機械室など物理的ダメージの懸念がある場所、または
防火区画を貫通する防災設備の耐熱配線などです。
金属管工事の検査で必ず確認するポイントは?
支持金具(サドル)の間隔が2m以内であることと、
管自体のD種(またはC種)接地の確実な接続と施工確認です。
E管とG管の材料選定を間違えるとどうなりますか?
プラント等の過酷指定場所に肉薄のE管(ねじなし)を使うと、
数年で激しく腐食して穴が開き、改修工事で大損害を被ります。
支持金物の選定で注意することは?
ALC壁等の脆い壁面では、アンカーが抜けて鉄パイプごと
落下する危険があるため、貫通ボルト留め等の対策が必要です。
歩掛(人工・労務費)を抑える工夫はありますか?
多数の管が並行するルートでは、1本ずつ留めるよりブラケットを組んで
一括支持(ラック相当)した方が総コストが下がります。
後から新しくコンセントを増やしたい時、追加できますか?
占積率(管内の空きスペース規定)に余裕があれば、
通線ワイヤー等を使って金属管内への新たな電線の追加が可能です。
パイプの表面に白や赤の錆が浮き出てきました。
湿気等による腐食です。管に穴が開いて浸水する前に、
ケレン(錆落とし)と鉄部用塗料による定期的なメンテナンスが必要です。
結露で管の中からポタポタと水が垂れてきます。
温度差による自然結露(特に低温倉庫や外気直結時)です。
末端にパテ埋めをして冷気を防ぐか、結露水抜き穴を設けます。
建物の外にある配管がE管で施工されていますが問題ないですか?
屋外は雨水に晒されるため、本来であればねじ等で接続し
防水性が高まる厚鋼(G管)や屋外用のPF管等を使用するのが標準です。
電線管をアース(接地)していないと怒られました。何故ですか?
漏電時に電線管が「帯電した鉄の棒」と化し、触れた人が死亡する
危険があるため、法令で強く義務付られている非常に重要な工事だからです。