放射温度計・サーモグラフィとは?
目に温度を可視化。触れずに温度を測る赤外線技術
【超解説】とても簡単に言うと何か?
対象物に触れることなく、レーザーポインターで狙いを定めて「ピッ」とするだけで、その場所の
温度が分かる魔法のような機械です。画面に温度の分布が色で映るサーモグラフィもあります。
1. 基本概要
そもそも何か
物体が自身の温度に応じて放射している「赤外線エネルギー」の量をセンサーで
検知し、瞬時に温度に換算してデジタル表示する非接触型の測定器です。
なぜ必要なのか
稼働中の配電盤や、高温の配管、高所のエアコン吹き出し口など、「危険で触れない場所」
や
「手が届かない場所」の温度を、安全かつ一瞬で測定するためです。
2. 構造や原理
内部構造(特徴的な構造)
赤外線を集める「レンズ」、赤外線を電気信号に変える「サーモパイル(赤外線センサー)」、
測定箇所を示す「レーザーポインター」で構成されます。
作動原理
すべての物体(絶対零度以上)は熱放射として赤外線を出しています。
温度が高いほど赤外線の量が多くなるため、その量をセンサーで正確に読み取って
温度を逆算します。
3. 素材・形状・規格
外観形状と素材
片手で持ちやすいピストル(ガン)型が一般的で、トリガーを引くと測定されます。
サーモグラフィ(熱画像カメラ)はスマホのような液晶画面に熱の分布がカラーで表示されます。
種類や関連規格
点(スポット)の温度を測る「放射温度計」と、面(エリア)の温度分布を視覚化する
「サーモグラフィカメラ」に大別されます。測定範囲は-50℃〜1000℃以上まで様々です。
4. 主に使用されている場所
使用される施設
ビル・工場の電気室(端子の過熱点検)、食品工場(食材の温度管理)、
住宅建築(断熱材の欠損・漏水調査)、空調設備のメンテナンスなど。
具体的な設置位置
ハンドヘルド(手持ち)機器として現場に持ち込み、対象物から数十cm〜
数m離れた位置から照射して使用します。
5. メリット・デメリット
メリット(長所)
対象物の温度を変化させず、衛生的かつ安全に0.5秒程度で測定できます。
サーモグラフィなら「目に見えない壁の中の漏水(冷たい部分)」などを一発で発見できます。
デメリット(短所・弱点)
表面の温度しか測れないため、液体の内部や金属の芯の温度は測れません。
また、鏡面(ピカピカの金属やガラス)は周囲の熱を反射するため正確な測定が困難です。
6. コスト・価格の目安
導入にかかる費用
簡易的な放射温度計は数千円ですが、サーモグラフィカメラは解像度により
数万円から数百万円と非常に高価です。
おおよその相場
- ガン型放射温度計: 3,000〜15,000円
- スマホ装着用サーモグラフィ: 3万〜6万円
- 業務用サーモグラフィカメラ: 15万〜100万円以上
7. 更新周期と注意点・絶対にやってはいけない悪い使用方法
更新周期
センサーの精度が命のため、ISO等の品質管理が厳しい現場では
1年ごとのメーカー校正が必要です。落としてレンズやセンサーがずれた場合は
買い替えになります。
絶対にやってはいけない悪い使用方法
レーザーポインターを人の目に当てること
(視力障害)、
ピカピカのステンレス管の温度を
そのまま信用すること(反射で誤差大)。
悪い使用方法をするとどうなるか
測定対象の材質(放射率)を合わせずに光沢のある金属を測ると、実際の温度より
何十度も低く表示され、触って大火傷をするなどの事故に繋がります。
8. 関連機器・材料の紹介
- テスター・マルチメーター:
異常発熱を発見した後、電気的な原因を調べる計器。
▶ 詳細記事はこちら
9. 多角的なQ&A(20連発)
非接触で温度が測れるの?
はい。赤外線センサーで対象物から放射される赤外線を検知して温度を算出します。触れずに瞬時に測定できるのが最大の利点です。
料理に使える温度計と同じ?
料理用は中心温度計(プローブ式)で、赤外線温度計は表面温度しか測れません。用途が異なります。
エアコンの効きを確認できる?
吹出口の温度や壁・窓の表面温度を測定すれば、断熱の弱い箇所や冷暖房の効率を確認できます。
放射率って何?
物体が赤外線を放射する効率のことで、素材によって異なります。光沢のある金属面は放射率が低く、測定誤差が大きくなります。
価格はどのくらい?
ホビー用は1,000〜3,000円、業務用は5,000〜30,000円、サーモグラフィー付きは10万円以上です。
配管の温度測定に使える?
保温されていない露出配管なら正確に測定できます。保温材の上からでは保温材の表面温度しか測れないため、保温を一部剥がすか接触式を使います。
電気設備の過熱診断は?
分電盤や端子台の接続部の温度を測定し、異常発熱(周囲との温度差20℃以上等)を早期発見できます。活線状態で非接触測定できるのが利点です。
光沢面を測定する時のコツは?
黒体テープ(放射率0.95の黒いテープ)を貼ってその上を測定するか、放射率の設定値を対象物に合わせて変更してください。
測定距離と測定範囲の関係は?
D:S比(距離対スポット比)で決まります。例えばD:S=12:1なら、1.2m離れた位置で直径10cmの範囲の平均温度を測定します。
サーモグラフィーとの違いは?
赤外線温度計は1点の温度、サーモグラフィーは面全体の温度分布を画像化します。広範囲の温度ムラ確認にはサーモグラフィーが優れています。
コンクリート打設時の温度管理に使える?
打設直後のコンクリート表面温度の確認に使えます。ただし内部温度は埋込み式の温度センサーで測定してください。
断熱工事の品質確認は?
断熱施工後に壁面の表面温度を測定し、断熱欠損(ヒートブリッジ)がないか確認できます。サーモグラフィーと併用するとより確実です。
校正の管理は?
年1回のメーカー校正を推奨します。黒体炉による校正が最も正確ですが、標準温度源での簡易確認も有効です。
暑中・寒中コンクリートの管理は?
打込み温度の管理に使えます。暑中は35℃以下、寒中は5℃以上であることを確認します。
安全パトロールでの活用は?
電気室・機械室の巡回時に、異常発熱している機器の早期発見に使えます。特に変圧器や分電盤の温度確認に有効です。
日常点検での活用場面は?
モーターの軸受温度、配管の断熱不良箇所、電気盤の端子発熱などを非接触で素早くチェックできます。
異常温度の判断基準は?
同じ条件の機器同士で比較し、温度差が10℃以上あれば異常の兆候です。過去の測定データとの比較も重要です。
蒸気配管の漏れ検知に使える?
断熱材の表面温度が局所的に高い箇所は蒸気漏れの可能性があります。ただし確定診断には開放検査が必要です。
赤外線温度計の寿命は?
センサー部は通常5〜10年は持ちますが、落下や振動で精度が低下することがあります。測定値に疑問を感じたら校正に出してください。
保管時の注意は?
急激な温度変化(結露)を避け、レンズ面に汚れや傷がつかないようキャップを付けて保管してください。