変成シリコーン系弾性接着剤とは?
固まってもゴムのように曲がる。振動と衝撃をいなす万能の一本
【超解説】とても簡単に言うと何か?
筒状のカートリッジに入っており、ガンでむにゅっと絞り出すタイプの接着剤です。
最大の特徴は、乾いて固まった後も「ゴムのようにプニプニと曲がる(弾性がある)」
ことです。屋外の過酷な環境や、地震や車の振動で揺れる場所の接着において、
現在最も頼りになる万能アイテムです。
1. 基本概要
そもそも何か
変成シリコーン樹脂を主成分とする、一液(混ぜる必要がない)の「弾性接着剤」です。
接着剤として物をくっつけるだけでなく、隙間を埋めるシーリング材(コーキング材)
としての役割も兼ね備えています。
なぜ必要なのか
外壁に看板を取り付けるなど、屋外で接着する場合、
エポキシのようなカチカチの接着剤を使うと、夏の猛暑で金属看板が熱で「膨張」した際、
その膨らむ力に耐えきれずに接着剤が割れて剥がれます。熱膨張や地震の揺れという「動き」を、
ゴムのように伸び縮みして「逃がす」弾性が必要なのです。
2. 構造や原理
内部構造(特徴的な構造)
容器の中ではペースト状ですが、空気中に絞り出されると、空気中に含まれる
「水分(湿気)」と化学反応を起こして硬化します。
これを「湿気硬化型(しっけこうかがた)」と呼びます。
作動原理
表面から徐々に空気の水分を吸って、内部に向かってゆっくりとゴム状に硬化していきます。
硬化後は、引っ張ると元の長さの何倍も伸びるほどの弾力性を持ち、
異種材料(伸び縮み率が違う木と鉄など)を貼り合わせても剥がれません。
3. 素材・形状・規格
外観形状と素材
ホームセンターで見かける「333mlカートリッジ」に入っており、専用のコーキングガンに
セットしてレバーを握って押し出します。色は白、黒、グレー、クリア(透明)など様々です。
種類や関連規格
セメダインの「スーパーX」や「PM165R」など、DIYからプロまで幅広く使われる
多用途(マルチ)接着剤の主成分は、実はこの変成シリコーン系です。
内外装パネル用など、用途別に最適化されています。
4. 主に使用されている場所
使用される施設
外壁への表札やパネルの接着、キッチンパネルや鏡の壁への貼り付け、
屋根材の板金の接着・防水処理、車のエアロパーツの固定など、
雨風や振動にさらされるあらゆる場所。
具体的な設置位置
パネルの裏面に「点状(ダンゴ状)」または「線状」に波を打つように太く盛り付け、
壁に押し当てて密着させます。
5. メリット・デメリット
メリット(長所)
木、鉄、アルミ、コンクリート、硬質プラスチックなど、あらゆる素材を強力に接着できます。
耐水性・耐候性(紫外線への強さ)が抜群で、
さらに上からペンキ(塗料)を塗ることができるため、外装の補修に最適です。
デメリット(短所・弱点)
空気中の水分で固まるため、完全に中まで固まるのに
丸1日〜数日かかります。その間は両面テープ等で「仮固定」しておく必要があります。
また、シリコンゴムやフッ素樹脂など、一部のツルツルした素材にはくっつきません。
6. コスト・価格の目安
導入にかかる費用
多機能であるため、一般的な木工用ボンド等に比べるとやや高価です。
おおよその相場
- 家庭用チューブ(20ml〜135ml): 500〜1,500円
- プロ用カートリッジ(333ml): 800〜1,500円
- コーキングガン(押し出し器具): 500〜2,000円
7. 更新周期と注意点・絶対にやってはいけない悪い使用方法
更新周期
屋外の直射日光下でも10年以上の耐久性がありますが、徐々に硬くなり、ゴムの弾力が失われて
ヒビ割れてきたら寿命です。
絶対にやってはいけない悪い使用方法
広い面積(1m四方など)の板の裏に、接着剤を
「隙間なくベッタリと全面に」塗り広げて壁に貼ること。
お風呂場の浴槽のフチ(水に浸かる場所)に使うこと。
悪い使用方法をするとどうなるか
空気の「湿気」で固まるため、全面にベッタリ塗って
空気を遮断してしまうと、中心部まで湿気が届かず何ヶ月経ってもドロドロのまま固まりません。
必ず空気が通るように「線状」や「点状」に塗ります。
また、お風呂場などの常に水に浸かる場所には、
防カビ剤が入った「純粋なシリコーンシーラント」を使うのが正解です。
8. 関連機器・材料の紹介
- シーリング材・コーキング材:
変成シリコーンは「接着剤」としてだけでなく、外壁の隙間を埋める「防水シーリング」としても大活躍します。
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9. 多角的なQ&A(20連発)
シリコンと変成シリコンの違いは?
普通のシリコンは塗料が乗りません。変成シリコンは上から塗装可能で、外壁の目地など塗装仕上げが必要な場所に最適です。
お風呂のコーキングにも使える?
使えますが、防カビ性能は専用のシリコンシーラントの方が優れています。浴室には防カビ剤入りシリコンが推奨です。
自分でコーキングの打ち直しはできる?
可能です。古いコーキングをカッターで撤去し、マスキングテープで養生してから打設し、ヘラで均します。
硬化時間はどのくらい?
表面硬化は1〜2時間、完全硬化は3〜7日かかります。硬化中は触らないでください。
1本でどのくらいの長さ打てる?
カートリッジ1本(330ml)で、目地幅10mm×深さ10mmの場合、約3mが目安です。
1成分形と2成分形の使い分けは?
1成分形はカートリッジガンで手軽に施工。2成分形は大面積の目地工事でポンプ施工し、均質な品質が得られます。
プライマーの重要性は?
変成シリコンは被着体によって接着力が異なります。専用プライマーを塗布することで接着力が2〜3倍向上します。
3面接着を避ける理由は?
目地の底面にも接着すると、躯体の動きに追従できず切れてしまいます。底面にボンドブレーカーを貼って2面接着にしてください。
耐候性はどのくらい?
紫外線・雨に強く、一般的に10〜15年の耐久性があります。ただし塗装で保護すれば更に長持ちします。
硬化不良の原因は?
極端な低温(5℃以下)、目地が深すぎる、被着体の水分が多いなどが原因です。施工条件を確認してください。
外壁目地の施工管理は?
目地幅・深さ・プライマー塗布・充填量・仕上げ状態を検査し、試験施工で接着性を確認してください。
シーリング材の選定基準は?
JIS A 5758の耐久性区分(8020/9030)と被着体との適合性で選定します。設計図書の指定を確認してください。
品質記録は?
ロット番号・施工日・気温/湿度・プライマー品番・施工箇所・施工者を記録してください。
改修工事での注意は?
既存シーリングの撤去後、目地底のボンドブレーカーの再設置とプライマー塗布を必ず行ってください。
保証期間は?
一般的に5〜10年の保証が付きます。保証条件(施工仕様の遵守)を施工業者と確認してください。
シーリングの劣化診断は?
表面のひび割れ、硬化(弾力喪失)、剥離、目地からの変色流出が劣化のサインです。
打替えの時期は?
一般的に10〜15年が打替えの目安です。大規模修繕工事の際にまとめて実施するのが経済的です。
応急補修にも使える?
ひび割れからの漏水に対する応急止水に使えます。本格的な補修までの一時的な対策として有効です。
保管は?
直射日光を避け、5〜30℃の冷暗所で保管してください。開封後は早めに使い切ってください。
異なるシーリング材の重ね打ちは?
相性が悪い組合せ(シリコンの上に変成シリコンなど)があります。メーカーの適合表を確認してください。