レースウェイ(配線ダクト)とは?
照明器具の支持と配線収納を兼ねたダクト状の金属部材

【超解説】とても簡単に言うと何か?

蛍光灯やLEDの支持と配線収納を兼ねた、天井に取り付ける細長い金属レールです。

1. 基本概要

そもそも何か

レースウェイは、断面がコの字やロの字(下が少し開いている)形状の、
薄い鋼板を折り曲げて作られた「金属製ダクト(支持ダクト)」の一種です。
配線工事と支持(固定工事)を同時に解決する、極めて画期的な
電気・照明設備用の複合建材です(ネグロス電工の製品が有名)。

なぜ必要なのか

体育館や駐車場のような「天井が無くてコンクリートむき出し」の巨大空間で、
何十個もの照明を空中に規則正しく並べるには、照明を固定するための
頑丈な「橋(レール)」と、そこへ電気を運ぶ「配管ルート」が必須です。
別々に作ると鉄骨とパイプだらけになるため、レースウェイ1本で解決します。

2. 構造や原理(隠す&ぶら下げる)

電線の収納力

レースウェイの内側は空洞になっており、多数のVVFケーブル等の「電線」
をまとめて走らせる(転がす)ことができます。
下を向いている「隙間」や、上からパチンと嵌める「蓋」によって密閉され、
ホコリや直射日光から電線を保護する「電線管」の役割を果たします。

下面のスリット(ネジ止め部)

最も特徴的なのが、レースウェイの下側(底面)にある細い「スリット(隙間)」
です。この隙間の中に特殊な四角いナット(ダクターナット等)を
滑り込ませることで、照明器具やコンセントボックスを、「好きな位置」に
いくらでも自由にネジ留め(スライド固定)できる汎用性を持っています。

3. 素材・形状・規格

ダクトレール(ライティングレール)との違い

アパレル店舗などで使われる黒や白の「ダクトレール」は、レール自体に
「100Vの電気が直接流れて(接点が剥き出し)」おり、カチッとはめるだけで
光りますが、一般の方が勝手に触れるため安全・容量に限界があります。
対して「レースウェイ」はただの鉄の箱であり、電気は中のケーブルを通ります。

種類(深型・浅型)

通すケーブルの本数や、吊り下げる照明器具の重量(スパンの長さ)に
合わせ、「浅型(深さ45mm等)」と、より長距離をたわまずに飛ばせる
「深型(深さ60〜70mm等)」が使い分けられます。

4. 主に使用されている場所

使用される施設

スーパーマーケット、ホームセンター、地下駐車場、工場の作業エリア、
倉庫など、「天井材(石膏ボードやジプトーン)を張らず、
あえて天井の骨組みを露出させる(スケルトン天井)」空間において、
ほぼ100%の確率でレースウェイが採用されます。

具体的な設置位置

コンクリートの天井スラブ等から「全ねじ(吊りボルト)」という鉄の棒で
空中に垂らされ、地上から約3m前後の「照明としてちょうどよい高さ」
の空中に、まるで蜘蛛の巣のように縦横無尽に吊り下げて組み立てられます。

5. メリット・デメリット

メリット(長所)

施工の美しさと、圧倒的な「後付け変更のしやすさ(拡張性)」です。
店舗の陳列棚の配置が変わった場合、レースウェイの下のナットを
緩めてツーッとスライドさせるだけで照明の位置を動かせます。また、
真下に巨大な広告POP用コンセントなどを後出しでポンポン追加できます。

デメリット(短所・弱点)

見た目が非常に無骨(工業的・インダストリアル)であるため、
落ち着いたオフィスや高級ホテルのような場所には絶対に合いません。
また、重い鉄の長尺材であるため、高所作業車などを使って職人が
頭上でつなぎ合わせる工事はかなりの重労働となり事故のリスクを伴います。

6. コスト・価格の目安

導入や更新にかかる費用

鉄の板を曲げただけの材料であるため、強度と長さに対して価格は非常に安価です。
(ただし、吊り下げるための「全ねじ」等の付属部品が大量に必要です)

おおよその相場(材料費・ネグロス電工製の場合)

  • D1レースウェイ 浅型(4m定尺/鉄・亜鉛めっき): 約 1,500円〜2,500円/本
  • D2レースウェイ 深型(4m定尺/高剛性): 約 2,500円〜4,000円/本
  • レースウェイ本体以外の吊り金具・接続金具一式: 数百円が数百個単位

合計目安: 平面を網目状に組む場合、数万円〜の金物材料費となります。

7. 更新周期と注意点・絶対にやってはいけない悪い使用方法

更新周期(推奨交換時期)

屋内のサビない環境であれば「建物の寿命」と同じ数十年レベルで持ちます。
屋外(屋根のある軒下等)でサビが発生し、照明を支える強度が
無くなった時(鉄が腐ってボロボロになった時)が、落下事故を防ぐための
重大な交換サインとなります(サビ対策のステンレス製も存在します)。

絶対にやってはいけない悪い使用方法

【NG事例】吊りボルトの間隔を「広すぎ(手を抜いて少なくする)」で施工する

レースウェイを空中で支える吊りボルト(天井からの糸)の間隔は、
法規上・仕様上「1.5m以内」等と厳密に強度が計算されています。職人が
面倒だからと3m間隔等でしかボルトを打たなかった場合、照明器具の
重みでレール自体が中央からU字にたわみ(座屈)、最終的に崩落します。

悪い使用方法をするとどうなるか(末路)

長いレースウェイが何十個もの照明を道連れにして、真下にある
展示車両や顧客の頭上目掛けて「ギロチン」のように落下する大惨事となります。
(過去の地震等では、この吊りボルトの手抜きによるレースウェイの
崩落・死亡事故が実際に起きており、施工チェックの最重要項目です)

8. 関連機器・材料の紹介

空宙に浮かぶレースウェイシステムを成り立たせる無数のチーム(部品)です。

9. 多角的なQ&A(20連発)

一般人(施設利用者・通行人)目線

おしゃれなカフェにある「黒いレール」もレースウェイですか?

あれは多くの場合「ダクトレール(ライティングレール)」という別物です。
レール自体に電気が流れており、スポットライトをワンタッチで取り付けるための規格で、
レースウェイのような「頑丈な鉄の箱(中で配線する)」とは用途が異なります。

レースウェイという名前に「レース(競走)」の意味がありますが?

語源は諸説ありますが、車が走るコース(Raceway)のように、
「電線(配線)が障害物なく真っ直ぐスーッと高速で走れる道」という
意味合いから、海外でもこの配管材システムがレースウェイと呼ばれています。

ホームセンターの上のレールには、照明以外にも看板がぶら下がっています。

はい、「〇〇コーナー」といった重い案内看板や、防犯ミラー、
監視カメラからコンセントボックスまで、ありとあらゆる軽いモノを
後からナット一つで自由に空中固定できるのがレースウェイの最強のメリットです。

地震のとき、ぶら下がって揺れている金属のレールは落ちてきませんか?

法規通りに設計され「振れ止め(斜めに張る鉄の棒など)」がされていれば
落ちませんが、古い工場等で揺れ対策がされていない場合、天井の金具が
引きちぎられて落下する事例があるため、大地震の際は下から速やかに離れてください。

自宅のガレージ(DIY)の天井に、レースウェイをつけたいです。

取り付け自体(金具の固定)はDIYでも可能で、
非常にプロっぽいガレージに仕上がりますが、
その中に100Vの電線を通したりコンセントを繋ぐ作業は「電気工事士」の
資格を持った人でないと法的に施工できません。

職人(施工者・電気工事士など)目線

レースウェイの切り口(切断面)のバリ取りは必要ですか?

絶対必要です。高速カッター等で切った後の鉄の端面はカミソリのように鋭く、
そのまま中に配線を通すと、地震などで揺れた際にケーブルの被覆が
切り裂かれてショート(地絡)します。ヤスリ掛けか専用のエンドキャップで保護します。

レースウェイ同士を繋ぐ「ジョイント金具」のネジ止めの注意点は?

継手(ジョイント)部分は構造上最も弱いため、絶対に「継手の真下」に
重い照明器具をぶら下げてはいけません。また、継手の近くには必ず
天井からの「吊りボルト」を真上に落として、弱点を直接支え上げるのが鉄則です。

「ダプター」や「ダクタークリップ」とは何ですか?

ネグロス電工等の商品名で、レースウェイの底のスリットに
すべり込ませて引っ掛けるだけで、上部の平らな部分に分電盤やスイッチを
ネジ止めできるようにする「魔法の四角いスプリング付きナット金具」のことです。

何本も重ねて長距離を組む時、まっすぐ「通り(直線)」を出すコツは?

天井から水糸(レーザー)をピシッと張り、数ミリの狂いもなく
全ボルトの高さと一直線を合わせます。ダクトが左右にウネウネと波打っていると、
下から見上げた時に一般の方が見ても「下手くそな工事」と一発でバレるため腕の見せ所です。

中にVVFケーブルではなく「CVケーブル」を通しても法的に問題ない?

問題ありません。レースウェイ自体が「金属線ぴ(または一種金属製ダクト)」
同等の保護性能を持つため、VVFやCVなどのケーブル(外装被覆があるもの)であれば
転がし配線が可能です。ただしIV線(単芯被覆のみ)は通せません。

施工管理者目線

「レースウェイ」と「金属線ぴ(メタルモール)」の明確な違いは?

法規上の幅に違いがあります。通常、幅5センチ未満が「金属線ぴ(壁のモール等)」、
幅5センチ以上で、かつ照明などをぶら下げる支持機能を持ったダクトシステムが
「第一種金属製ダクト(レースウェイ)」等の厳しい基準に区別・適用されます。

耐震補強の「振れ止め」金具は、何メートル間隔で指示すべき?

官公庁の仕様(国土交通省等)では、直線距離で「おおむね12m以下ごとに1箇所」
の防振(斜めV字の振れ止めサポート)を義務付けることが多いです。
入れ忘れると、消防や行政の完了検査で即座に指摘され足場組み直しの大赤字になります。

レースウェイの「アース(接地)」は必要ですか?

【必ずD種接地工事が必要】です。
金属の細長い鉄板の内部に100Vの電線が通るため、万が一電線が傷ついて漏電した場合、
何十メートルものレースウェイ全体が感電マシーンと化すため、
端で確実にアースに落とします。

設計図で「DP1」「DP2」という記号は何ですか?

ネグロス電工の型番の俗称です(業界標準化しています)。
DP1=ダクトの深さが浅い(45mm)タイプ。
DP2=ダクトの深さが深い(70mm等)高剛性タイプ、を指して設計指示されます。

塩害地域(海岸沿いの倉庫等)でのレースウェイ指定は?

通常の電気亜鉛メッキ(シルバー色)を使うと数年で真っ赤にサビて
崩落するため、必ず「ZAM仕様(高耐食溶融めっき鋼板)」または
「ステンレス製(SUS)」を割高でも指定し、施主に耐久性の重要性を説明・承諾させます。

設備管理者(オーナー・保守担当・維持管理)目線

工場で、フォークリフトの荷物が上のレースウェイに当たって曲がりました。

「鉄の箱」がひしゃげた場合、中を通っている電線がギロチンのように
押し潰されてショートしかかっている非常に危険な状態(火災寸前)です。
曲がった部分だけを新品に切り継ぎ・交換する緊急の電気工事を手配してください。

レースウェイの下から、鳥の巣(藁や枝)がはみ出ています。

スリットの隙間や端の開口部から小鳥(スズメ等)が侵入し、
温かい照明の真上(ダクトの中)に巣を作ってしまう定番のトラブルです。
フンの湿気で漏電したり、藁に火花が散って火事になるため巣ごと撤去し、
端にキャップをはめます。

ダクトから「ジジジ…」と虫が鳴くような異音が常に聞こえます。

金属製のレースウェイが、照明器具の安定器(インバータ)などから発せられる
微小な振動と共鳴(ビビリ音)しているか、またはジョイント部のネジの
緩みによる異音です。防振ゴムを噛ませるかネジを増し締めする事で解決します。

後から「防犯カメラ」をレースウェイに自分でネジ留めして良い?

ダクタークリップ等の金具を使えば、物理的にカメラを固定する事は
一般の方のDIYレベルで可能であり、施設管理者が行うことも多いです。
ただしコンセントなどの「100Vの電源処理」は危険なため結線は電気屋に依頼します。

ホコリが凄く被っていますが、水拭きやホースで洗っても良い?

絶対に水洗いはNGです。
レースウェイは下にスリットがあるため密閉されておらず、水を通せば
中の電線やジョイント部が水浸しになり漏電破裂・焼損します。
必ず「乾いたハタキ」か「掃除機」でホコリを吸い取る乾式清掃のみを行ってください。