リモコンブレーカとは?
遠隔操作でオンオフできる機能を持った配線用遮断器
【超解説】とても簡単に言うと何か?
照明の遠隔ON/OFF機能と過電流保護のブレーカー機能を1台に統合した省スペース機器です。
1. 基本概要
そもそも何か
リモコンブレーカとは、配線用遮断器(MCCB)の過電流保護機能と、リモコンリレーの
遠隔開閉機能を1つの筐体に統合した複合機器です。分電盤内に設置され、
壁面のリモコンスイッチからのAC24V操作信号で照明回路のON/OFFを行いつつ、
過負荷や短絡が発生した際には自動的に回路を遮断して配線を保護します。
なぜ必要なのか
従来のリモコンリレー方式では、1つの照明回路に対して「リモコンリレー」と「ブレーカー」を
それぞれ1個ずつ設置する必要があり、分電盤内のスペースを大きく占有していました。
リモコンブレーカはこの2つを1台に統合することで、分電盤のサイズを大幅に縮小し、
配線の簡素化とコスト削減を同時に実現します。
2. 構造や原理
内部構造
内部には大きく2つの機構が組み込まれています。1つ目は電磁コイルと永久磁石による
ラッチング(自己保持)機構で、リモコンリレーと同じ原理で
ON/OFFの遠隔切替を行います。2つ目はバイメタル素子と電磁引外し装置による
過電流保護機構で、MCCBと同じ原理で過負荷・短絡から配線を保護します。
作動原理
通常運転時は、リモコンスイッチからAC24Vのパルス信号を受けると電磁コイルが駆動して
接点をON/OFFに切り替えます(リレー機能)。一方、
照明回路に過負荷や短絡が発生すると、バイメタルの熱膨張または
電磁引外し装置がトリップ機構を作動させ、回路を強制遮断します(ブレーカー機能)。
トリップ後はハンドルを手動でリセットする必要があります。
3. 素材・形状・規格
外観形状と素材
外観は一般的なMCCBに似た樹脂製のコンパクトなブロック型です。
通常のブレーカーより若干厚みがあり、正面にはON/OFFのハンドルと
動作確認用の状態表示窓があります。背面はDINレールへの取り付け構造で、
上面に電源端子と信号線端子が配置されています。
種類や関連規格
主な分類は以下の通りです。
- 極数による分類:1P(単極・100V回路用)、2P(2極・200V回路用)
- 定格電流による分類:15A、20A、30Aが一般的で、照明回路では20Aが最も多く使用されます。
-
LED対応タイプ:LED照明の大きな突入電流に対応した接点を持つ機種で、
近年の新築・改修では必須です。
JIS C 8201に準拠した製品が一般的で、パナソニック製のコンパクトブレーカ
(Rシリーズ等)が代表的な製品です。
4. 主に使用されている場所
使用される施設
オフィスビル、商業施設、病院、学校、ホテルなど、新築またはリニューアルされた
中〜大規模建築物で広く採用されています。近年はリモコンリレー+ブレーカーの
個別設置方式よりも、リモコンブレーカ一体型の採用が主流になっています。
具体的な設置位置
照明用分電盤内のDINレール上に設置されます。従来の方式ではブレーカーとリレーが
別々に並んでいた場所に、リモコンブレーカが1列に並ぶため、
分電盤全体がコンパクトになります。リモコントランスが隣接して
設置されるのは従来と同じです。
5. メリット・デメリット
メリット(長所)
最大のメリットは分電盤の省スペース化です。ブレーカーとリレーの2部品が
1部品に統合されるため、分電盤のサイズを最大で半分近くに縮小できます。
また、リレーとブレーカー間の内部配線が不要になるため、施工時間の短縮と
結線ミスの低減にもつながります。過電流で自動トリップする保護機能が
一体化されているのも大きな利点です。
デメリット(短所・弱点)
リモコンリレー単体と比較すると1個あたりの単価がやや高めです。
また、ブレーカー機能かリレー機能のどちらか一方が故障した場合でも
ユニット全体を交換する必要があり、部分修理ができません。加えて、手動ブレーカーとしての
ハンドル操作と、リモコン操作のどちらでOFFにしたか外見からは判別しにくい場合があります。
6. コスト・価格の目安
導入や更新にかかる費用
リモコンブレーカ1台でブレーカーとリレーの機能を兼ねるため、部品点数が減り
トータルコストでは有利です。ただし個々の単価はリレー単体より高くなります。
おおよその相場(機器+工事・更新の場合)
- ブレーカ本体(1個):4,000〜10,000円程度(極数・容量による)
- 交換工事費(1個あたり):5,000〜12,000円程度
1個あたり合計目安:9,000〜22,000円程度
7. 更新周期と注意点・絶対にやってはいけない悪い使用方法
更新周期(推奨交換時期)
推奨交換周期は10〜15年です。ブレーカー機能の熱動引外し素子
(バイメタル)とリレー機能の接点が共に経年劣化するため、両機能の寿命を見据えて
交換時期を判断してください。ブレーカーの動作試験でトリップしない
場合は即座に交換が必要です。
絶対にやってはいけない悪い使用方法
リモコンブレーカがトリップした際に、原因を調査せずにハンドルを
何度もリセット(ON復帰)させる行為は非常に危険です。過負荷や短絡の原因が
取り除かれていない状態で復帰させると、再トリップを繰り返し、
接点や引外し装置が損傷します。
悪い使用方法をするとどうなるか(末路)
内部のバイメタル素子が繰り返しの過熱で疲労破壊し、過電流が流れても
トリップしなくなります。保護機能を失った状態で短絡事故が発生すると、
配線の焼損や分電盤内での火災に直結します。また接点が溶着して照明が
消せなくなるケースもあります。
8. 関連機器・材料の紹介
リモコンブレーカは以下の機器と組み合わせて照明制御システムを構成します。
-
リモコンリレー:リモコンブレーカの「前身」にあたる機器で、リレー機能のみを持ちます。
既設建物ではまだ多く使われています。▶ 詳細記事はこちら -
リモコントランス:操作電源(AC24V)を供給する小型変圧器です。リモコンブレーカでも
トランスは必ず必要です。▶ 詳細記事はこちら -
MCCB(配線用遮断器):リモコン機能なしの通常のブレーカーです。
リモコン操作が不要な回路ではこちらが使われます。▶ 詳細記事はこちら
9. 多角的なQ&A(20連発)
リモコンブレーカと普通のブレーカーの違いは何ですか?
普通のブレーカーは手動のON/OFFしかできませんが、リモコンブレーカは壁のスイッチから
離れた場所でも操作できます。電気の使いすぎから守る機能は同じです。
ブレーカーが落ちた場合自分で戻してもいいですか?
リモコンブレーカがトリップした場合は過電流など何らかの異常が原因です。
自分で無理にリセットせず、管理会社に連絡してください。
リモコンブレーカは家庭でも使えますか?
技術的には使用可能ですが、コストが家庭用スイッチより高く、
リモコントランス等も必要なため
一般住宅では採用されません。業務用の建物で使われる機器です。
照明がつかなくなりましたがリモコンブレーカが原因の場合もありますか?
はい。リモコンブレーカがトリップしている可能性があります。分電盤のハンドルが
中間位置(トリップ位置)になっていないか管理者に確認してもらってください。
分電盤から「カチッ」と音がするのは正常ですか?
リモコンブレーカの接点が切り替わる正常な動作音です。スイッチを操作したタイミングで
鳴るなら問題ありません。
勝手に鳴る場合は異常の可能性があるため管理者に報告してください。
リモコンリレー方式の分電盤をリモコンブレーカ方式に更新する手順は?
既設のリモコンリレーとブレーカーを取り外し、リモコンブレーカに
置き換えます。信号線の接続はほぼ同じ仕様のため流用可能ですが、
端子配列はメーカーにより異なる為結線図を必ず確認してください。
LED照明への更新時にリモコンブレーカも交換すべきですか?
強く推奨します。LED照明は点灯時の突入電流が蛍光灯より大きいため、
古いリモコンブレーカでは接点が耐えられずに溶着する事例が多数報告されています。
リモコンブレーカのトリップ試験はどう行いますか?
テストボタン(T-ボタン)が装備されている機種ではそれを押してトリップを確認します。
ない機種ではトリップテスターを使用して過電流動作を検証します。
信号線の接続時に極性は関係ありますか?
ワンショット式の場合、共通線(C線)と個別線(S線)の
極性を正しく接続する必要があります。逆接続すると動作しないか、
別の回路が誤動作する恐れがあります。
分電盤内でのリモコンブレーカの配列に決まりはありますか?
特に法的な決まりはありませんが、フロア平面図と照合しやすいようエリア順に配列し、
回路番号を明確にマーキングするのが施工上のベストプラクティスです。
新築計画でリモコンリレー方式とリモコンブレーカ方式のどちらを指定すべきですか?
新築であれば省スペース性と保守性の観点からリモコンブレーカ方式が推奨です。
リレー+ブレーカーの個別方式は現在ではコスト的にもメリットが薄い場合がほとんどです。
分電盤の盤面仕様書に記載すべき項目は?
リモコンブレーカの型番・極数・定格電流・LED対応の有無、リモコントランスの容量、
回路ごとのスイッチ対応表を必ず明記してください。
リモコンブレーカ方式の分電盤サイズはどの程度小さくなりますか?
リレー方式と比較して盤内の必要スペースは概ね30〜50%削減できます。
EPS(電気シャフト)内のスペースが限られる物件では大きなメリットです。
VVFケーブルの接続に圧着端子は必要ですか?
リモコンブレーカの端子構造によりますが、多くの製品はネジ端子式で棒端子(フェルール)
なしで直接締め付け可能です。メーカーの施工要領書を確認します。
竣工図書にリモコンブレーカの情報はどう残すべきですか?
各回路のブレーカー型番・定格・アドレス(フル2線式の場合)と
対応するスイッチの位置・アドレスの対応表を竣工図に添付してください。
将来の故障対応に不可欠な資料です。
リモコンブレーカの定期点検項目は何ですか?
年1回程度、外観確認(変色・焦げ跡)、全回路のリモコン動作確認、
トリップ試験(テストボタン動作確認)、端子の増し締めを実施してください。
一部のリモコンブレーカだけ交換することはできますか?
はい。故障した個体のみの交換が可能です。
同一型番の製品であれば入れ替えは比較的容易です。ただし停電が必要になります。
リモコンブレーカが頻繁にトリップする原因は?
接続されている照明器具の総容量が定格を超えている可能性、または照明器具の内部故障で
漏電や短絡が発生している可能性があります。電気業者に負荷測定を依頼してください。
リモコン操作時とトリップ時の見分け方はありますか?
多くの機種ではハンドルの位置で判別できます。リモコンOFFはハンドルがON位置のまま、
トリップは中間位置(TRIP表示)になります。機種の取扱説明書で確認してください。
分電盤の更新時期の目安はリモコンブレーカが基準ですか?
リモコンブレーカの推奨交換周期は10〜15年で、分電盤本体の
法定耐用年数と概ね一致します。複数のブレーカーが故障し始めたら分電盤ごとの一括更新を
検討するタイミングです。