UGS(地中線用ガス開閉器)とは?
地中引き込みの高圧ケーブルの地絡事故を遮断する地中線用開閉器

【超解説】とても簡単に言うと何か?

地中引込線の施設に設置され、地中からの波及事故を遮断するガス絶縁式の開閉器です。

1. 基本概要

UGS(Underground Gas Switch)は、「地中線用ガス開閉器」
と呼ばれます。都市部のビルなど、電柱から空中を通さず、道路の下(地中)
から6600Vの高圧電気を引き込む施設において、電力会社の配電線と
自分たちの施設の境界(責任分界点)に設置されます。

役割はPAS(気中開閉器)と全く同じです。施設内で発生した短絡(ショート)
や地絡(漏電)などの大事故が、電力会社側の送電網に逆流して周辺一帯を
停電させる「波及事故」を未然に防ぐために、一番最初で電気を遮断します。

2. 構造や原理

UGSの内部は、高い絶縁・消弧能力を持つ「SF6(六フッ化硫黄)ガス」
が密閉充填されたタンクになっています。万が一施設内で電気事故が発生すると、
別置きの「SOG制御装置」が異常を検知し、UGSにトリップ(遮断)信号を送ります。
信号を受けたUGSは、ガス中で素早く接点を開き、その瞬間に
発生する雷のようなアーク(火花)をSF6ガスや真空バルブによって一瞬で吹き消し、
安全に電気を遮断します。

3. 素材・形状・規格

外観と素材

UGS本体は完全密閉された金属製のタンク形状をしています。
地中や屋外の過酷な環境に設置されるため、本体や収納する周辺キャビネットの素材には、
サビに強いステンレス(SUS304等)がよく用いられます。
表面には防錆・耐候性塗装が施されています。

主な規格と種類

  • 規格: JIS C 4607(高圧交流負荷開閉器)などに準拠しています。
  • 方向性UGS(ZPD内蔵型): ケーブルが長い地中配線で、
    外部からのもらい事故(他所の地絡電流が逆流してくる現象)による不要動作を防ぐため、
    電圧位相を検知するZPDを内蔵した「方向性」タイプが採用されるのが一般的です。

4. 主に使用されている場所

UGSは「電柱から空中配線で引き込めない場所」に特化して設置されます。

  • ビル・商業施設: 無電柱化(地中化)が進んでおり、
    美観のために電柱が撤去されている都市部のエリア。
  • 敷地境界のキャビネット内: 道路下の配電線から引込管を通って敷地に入って
    きた直後の位置に、専用の鋼製キャビネット(分界点盤)を地上に設け、
    その中にUGSを収納します。

5. メリット・デメリット

メリット

  • 波及事故の確実な防止: 施設内の事故を外部(電力会社の送電網)へ絶対に出しません。
  • 景観の向上と省スペース: 電柱のような巨大な構造物が不要で、
    コンパクトなキャビネットに収められるため美観を損ねません。
  • 高い安全性: 密閉されたガスや真空による消弧で、狭いキャビネット内でも火災の危険性が
    極めて低くなっています。

デメリット

  • 導入・更新費用が高い: 空中用のPASと比べて機器本体が高額であることに加え、
    基礎工事やキャビネット設置費用がかさみます。
  • 浸水リスク: 地上スレスレや地下に設置されるため、
    豪雨時の冠水により水没ショートするリスクが常に伴います。
  • SF6ガスの回収義務: 内部のSF6は強力な温室効果ガス(CO2の約2万倍)
    であるため、廃棄時に専門業者による適切な回収と破壊処理が法的に義務付けられています。

6. コスト・価格の目安

概算コスト(材料+工事費込み)

約 1,000,000円 〜 1,800,000円 / 1台

  • UGS本体、地中キャビネット、SOG制御装置の材料費が含まれます。
  • 基礎コンクリート工事や、道路からのハンドホール配管工事の規模に大きく依存します。
  • 既存設備からの更新工事の場合は、深夜の全停電作業となるため夜間割増の労務費が
    加算されます。

7. 更新周期と注意点・絶対にやってはいけない悪い使用方法

更新周期(推奨交換時期)

UGS本体およびSOG制御装置の推奨更新時期(寿命)は 約10年〜15年 です。
特に屋外キャビネット内は結露や湿気が多いため、環境によっては10年を待たずに
サビや絶縁不良が進行することがあります。

設計・施工の注意点

  • 設置場所の選定(浸水対策): ゲリラ豪雨での冠水リスクが低い場所を選ぶか、
    キャビネット基礎を周囲より高く設定(水切り付きH枠など)する必要があります。
  • 確実な接地工事: 感電防止と正常動作のため、筐体およ
    びSOG装置の確実な接地工事(D種やA種など)が必須です。

絶対にやってはいけない悪い使用方法

【NG事例】耐用年数超過の放置と、ガス圧低下警報の無視

「まだ動くから」と15年以上使い続けたり、
SF6ガスが微量漏れして操作箱に「ガス圧低下(ロックアウト)」
の赤いランプが点灯しているのに、
予算の関係で修理や一式交換を先延ばしにする行為です。

悪い使用方法をするとどうなるか(末路)

ガスが抜けた(消弧能力がない)状態で施設内にショート・漏電事故が起こると、
UGSはアーク火花を消しきれずに内部で重大な損傷を起こします。
破裂・焼損によりキャビネットが吹き飛んで通行人に危害を加える恐れがあるうえ、
大元の配電線がショートして地域一体を巻き込む「波及事故」を引き起こし、
多額の損害賠償を請求されるという取り返しのつかない事態に陥ります。

8. 関連機器・材料の紹介

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9. 多角的なQ&A(20連発)

一般人(施設利用者・通行人)目線

UGSとは何の略ですか?

Underground Gas Switch の略で、直訳すると「地中用ガススイッチ」となります。

PASとUGS、どちらを設置すべきですか?

建物の場所によります。電柱から引き込めるならPAS、
電線地中化エリアや美観優先のビルならUGSになります。

UGSが故障するとどうなりますか?

電気が建物に入ってこなくなり、施設全体が停電します。
古いものは予期せぬ停電を引き起こすため早期交換が必要です。

なぜガスが入っているのですか?

高圧の電気スイッチを切ると、雷のような火花(アーク)が出ます。
その火花を一瞬で消し去る特殊なガス(SF6ガス)を使用しています。

定期点検は必要ですか?

法律により、電気主任技術者による定期的な点検が義務付けられています。

設備管理者(オーナー・保守担当・維持管理)目線

更新推奨時期はどれくらいですか?

設置後、約10年〜15年が目安とされています。海岸沿いや多湿な地下室などでは、
劣化が早まることがあります。

制御電源の確保はどうしますか?

一般的にはVT(計器用変圧器)を内蔵したUGSを選定し、
高圧側から直接100Vを作り出してSOGを動かします。

方向性と無方向性、どちらを選ぶべき?

ケーブルが長い地中配線の場合は、もらい事故を防ぐためにZPDを搭載し
た「方向性UGS」を選定するのが基本です。

UGSからガスが抜けたらどうなりますか?

ガス圧低下警報(ロックアウト)が作動し、操作できなくなります。
その状態で事故が起きると破裂の恐れがあるため大変危険です。

廃棄時のSF6ガス処理はどうすれば?

温室効果が極めて高いため大気放出は禁止されています。
専門業者によるガスの回収・破壊処理委託証明書が必要です。

施工管理者目線

キャビネットを置く基礎の注意点は?

ゲリラ豪雨での冠水を避けるため、周囲より一段高い基礎(水切りのあるH枠など)
を打つのが鉄則です。

電力会社との調整で揉めるポイントは?

責任分界点の位置決めと、電力会社の接続ケーブルが届く範囲かどうかの確認です。
事前の現地協議が必須です。

重量はどれくらいありますか?

UGS本体だけで50kg〜80kg程度あります。キャビネット内でクレーン等が
使えないため人力の手配が必要です。

停電作業時間の目安は?

更新の場合、既存の撤去、新規の据付、端末処理、SOG試験を含めて、
最低でも4時間〜6時間は必要となります。

耐塩害仕様は必要ですか?

海岸から2km以内の沿岸部では、塩害対策用の塗装やステンレス製キャビネットを採用して
ください。

職人(施工者・電気工事士など)目線

キャビネット内は作業しやすいですか?

非常に狭いです。特に6600VのCVT端末処理を行う際は、
スペースが確保できず苦労するため、取り回しに注意が必要です。

UGSの吊り上げ時の注意点は?

ブッシング(碍子部分)に当てて割らないように注意します。指定された吊り穴を使用し、
慎重にキャビネットへ落とし込みます。

制御ケーブルの配線で間違いやすい箇所は?

ZCTの極性(Kt・Lt)や、ZPDの相順を間違えると、事故時に正常に作動しません。
マニュアルの通りに結線してください。

アース接続での注意点は?

操作箱(SOG)とUGS本体の接地は確実に分けて取るか、
仕様書に沿った一点接地を確実に行わないとノイズで誤作動します。

端末処理後の絶縁抵抗測定(メガ)は?

UGSとケーブルを接続した後、必ず高圧メガで測定し、数値が適正か、
ゴミや湿気の混入がないかを最終確認します。