空調吹出口(アネモ)とは?
天井から快適な空気を届ける「空調の最終出口」
【超解説】とても簡単に言うと何か?
天井に付いている丸い形や四角い形の空調の吹出口です。エアコンで作った冷たい風や
暖かい風を、この口から部屋に均一に送り出します。
1. 基本概要
そもそも何か
空調吹出口は、空調機からダクトを通じて送られた調和空気を室内に放出する末端装置です。
アネモスタット(アネモ)は同心円状のコーンで気流を放射状に拡散させるタイプで、
オフィスビルで最も一般的です。
なぜ必要なのか
ダクトから直接空気を吹き出すと特定の場所にだけ風が当たり、不快な気流(ドラフト)が
発生します。吹出口は空気を適切に拡散させ、室内全体を均一な温度に保ちます。
2. 構造や原理
アネモスタット型(アネモ)
同心円状の複数のコーン(円錐形の板)で空気を放射状に拡散させます。
天井面に沿って360°に広がる「天井効果(コアンダ効果)」でドラフトを感じにくくします。
円形と角形があります。
ライン型吹出口
細長いスリット状の吹出口で、窓際のペリメーターゾーンに設置。
ガラス面に沿って空気を吹き出し、外壁からの熱負荷を処理します。
パンカルーバー型
ノズル状の吹出口で方向を自在に調整可能。大空間(体育館・工場)の
遠距離送風に使用されます。
3. 素材・形状・規格
本体:アルミ製またはスチール製。焼付塗装仕上げ(白色が標準)。
サイズ:φ250・φ300・φ350・φ400mmなどが標準。角形は250×250〜600×600mm。
ネック径:ダクト接続口はφ150〜φ300mm程度。HASS 006(空気調和・衛生工学会規格)で
性能基準が定められています。
4. 主に使用されている場所
オフィスビルの事務室天井、会議室・応接室、ホテルの客室・ロビー、病院の病室・待合室、
商業施設の売り場天井、学校の教室など。
5. メリット・デメリット
メリット
① 均一な気流:放射状に拡散しドラフトを感じにくい。
② 意匠性:天井面と一体化し
すっきりとした外観。
③ 風量調整:内部のダンパーで風量を調整可能。
デメリット
① 汚れ:吹出口周辺の天井に黒ずみ(スマッジング)が発生。
② 結露:冷房時に吹出口が
結露することがあります。
③ 騒音:風量が多すぎると風切り音が発生。
6. コスト・価格の目安
おおよその相場
- アネモスタット(φ300):
3,000円〜8,000円程度 - アネモスタット(φ400):
5,000円〜15,000円程度 - ライン型吹出口(1m):
5,000円〜20,000円程度 - 取付工事費:
3,000円〜8,000円/個程度
7. 更新周期と注意点・絶対にやってはいけない悪い使用方法
更新周期
アルミ製の本体は20〜30年以上使用可能。塗装の劣化や変色で意匠上の問題がなければ
建物と同寿命です。
絶対にやってはいけない悪い使用方法
「風が直接当たって寒い」と
吹出口を塞ぐと、ダクト内の
圧力バランスが崩れ、
他の場所の風量が変わります。
風向きの調整が必要な場合は
設備管理者に相談してください。
8. 関連機器・材料の紹介
- システム天井:吹出口を組み込む天井システム。
▶ 詳細記事はこちら - ダクト:空気を搬送する風道。
▶ 詳細記事はこちら
9. 多角的なQ&A(20連発)
風が直接当たって寒い?
アネモスタット型は天井面に沿って空気が拡散するため通常は直接当たりにくい設計です。
席の真下に吹出口がある場合は設備担当者に相談してください。
天井の黒ずみは何?
吹出口から出る空気の流れに乗ったホコリが天井面に付着するスマッジング現象です。
フィルターの清掃で軽減できます。
吹出口から水滴が落ちる?
冷房運転時に吹出口が結露して水滴が落ちることがあります。湿度が高い日に起きやすく、
設定温度を上げるか除湿運転で改善します。
吹出口の向きを変えられる?
アネモスタット型は基本的に方向調整ができませんが、パンカルーバー型は
方向を変えられます。
音がうるさい?
NC値(騒音基準)35〜40以下がオフィスの基準です。吹出口の風速が3m/s以上だと
風切り音が気になることがあります。
取付方法は?
天井のグリッド開口にネック部分を差し込み、Tバーにビスで固定します。
ダクトとはフレキダクトで接続し、アルミテープで気密処理します。
ダンパーの調整は?
内蔵の風量調整ダンパーで各吹出口の風量を均一にします。試運転時に風速計で測定して
調整してください。
結露防止対策は?
吹出口のネック部分に断熱材を巻いて結露を防ぎます。天井裏のダクトも断熱が必要です。
フレキダクトの接続長さは?
フレキダクトは1.5m以内が推奨。長すぎると圧力損失が増え風量が低下します。
天井開口の精度は?
吹出口のフェース(面)が天井面とフラットになるよう開口位置と寸法を正確に
合わせてください。
吹出口の配置計画は?
照明器具との干渉を避け、均等な間隔で配置します。通常は6〜8㎡に1箇所が目安。
天井伏図で照明・消防と調整します。
ペリメーター処理は?
窓際にはライン型吹出口を配置しガラス面からの熱負荷を処理します。
インテリアゾーンとは別系統で計画してください。
風量計算は?
各吹出口の必要風量は部屋の冷暖房負荷から算出します。吹出口の有効開口面積と
吹出風速から風量を設定。
騒音対策は?
吹出口のネック風速を3m/s以下に設定するとNC-35以下を達成しやすくなります。
チャンバーボックスの設置も有効。
吸込口との位置関係は?
吹出口と吸込口は離して配置しショートサーキット(空気の短絡)を防ぎます。
清掃方法は?
コーン部分を取り外して中性洗剤で洗浄します。年1〜2回の清掃で
スマッジングを予防できます。
風量が変わった場合は?
フィルターの目詰まりかダンパーの位置変化が原因です。ダクト系統の点検を行い
風量バランスを再調整してください。
塗装の補修は?
変色や傷がある場合は取り外して再塗装できます。天井の色に合わせて
焼付塗装してもらってください。
異音がする場合は?
コーンの固定が緩んでいるか、ダクト内に異物がある可能性。吹出口を取り外して
ダクト内を確認してください。
レイアウト変更時は?
システム天井のグリッド変更に合わせて吹出口の位置を移動できます。
ダクトの延長工事が必要です。