ダクトとは?
建物に新鮮な空気を届ける「空気の配管」
【超解説】とても簡単に言うと何か?
建物の天井裏を通っている四角い(または丸い)金属の筒です。エアコンの風や換気の空気を
各部屋に届ける「空気の配管」です。
1. 基本概要
そもそも何か
ダクト(duct)は、空調・換気・排煙用の空気を搬送するための管路です。
天井裏や壁の中、機械室と各部屋をつないで、冷暖房された空気や
新鮮な外気を建物全体に届けます。水道管が水を運ぶように、ダクトは空気を運ぶインフラです。
なぜ必要なのか
ビルやマンションでは各部屋に個別のエアコンや換気扇を設置するより、中央の空調機から
ダクトで空気を分配するほうが効率的で快適な環境を実現できます。
また建築基準法で義務付けられた排煙設備にもダクトは不可欠です。
2. 構造や原理
角ダクト(矩形ダクト)
亜鉛鉄板(GI鋼板)を折り曲げて作る四角い断面のダクトです。最も一般的で、天井裏に
効率よく収まります。板厚0.5mm〜1.2mmでダクトの大きさに応じて選びます。
丸ダクト(スパイラルダクト)
亜鉛鉄板を螺旋状に巻いて作る円形断面のダクトです。角ダクトより圧力損失が小さく
空気抵抗が少ないのが特徴。工場で製作されるため品質が安定し、現場での施工が速いです。
フレキシブルダクト
アルミ箔やビニールで作られた蛇腹状の伸縮自在なダクトです。本管から吹出口までの最後の
短い区間の接続に使われます。長距離には圧損が大きいため不向き。
3. 素材・形状・規格
亜鉛鉄板(SGCC):最も一般的。防錆性に優れ安価。
ステンレス鋼板:厨房排気や
腐食性ガスの搬送に使用。
ガルバリウム鋼板:耐食性が高く屋外露出ダクトに使用。
グラスウールダクト:ダクト自体が保温材を兼ねたもの。規格はJIS A 4009「ダクト」、
国土交通省の公共建築工事標準仕様書に詳細な施工基準があります。
4. 主に使用されている場所
オフィスビル・商業施設・病院・マンション・工場・地下駐車場など
あらゆる建築物の空調・換気系統。排煙設備、厨房の排気、トイレの排気、全熱交換器の
給排気系統にも使用されます。
5. メリット・デメリット
メリット
① 中央制御:1台の空調機で複数の部屋を管理できます。
② 均一な空調:ダクト分配により
各部屋に均等な空調が可能。
③ 美観:天井裏に隠すため室内に機器が見えません。
デメリット
① スペース:天井裏に大きな空間が必要です。
② コスト:材料費と施工費が
個別空調より高くなります。
③ メンテナンス:内部清掃が困難で汚れが蓄積しやすい。
6. コスト・価格の目安
おおよその相場
- 角ダクト(亜鉛鉄板):
㎡あたり 3,000円〜6,000円程度
(製作+施工) - スパイラルダクト(φ150mm):
mあたり 2,000円〜4,000円程度 - 保温工事:
㎡あたり 2,000円〜5,000円程度 - ダクト清掃:
mあたり 3,000円〜8,000円程度
7. 更新周期と注意点・絶対にやってはいけない悪い使用方法
更新周期
亜鉛鉄板ダクトの寿命は30〜50年程度。ただし厨房排気ダクトは油脂の蓄積があるため10〜15年で
清掃または交換を検討します。
絶対にやってはいけない悪い使用方法
油脂がダクト内部に蓄積し、
火災が発生するとダクトを伝って
建物全体に延焼します。
実際に飲食店でのダクト火災は
毎年報告されています。
定期清掃は義務と考えてください。
8. 関連機器・材料の紹介
- 全熱交換器:ダクトで給排気を行う換気装置。
▶ 詳細記事はこちら - 換気扇:ダクト接続型の換気装置。
▶ 詳細記事はこちら - 配管保温材:ダクトの結露防止にも使用。
▶ 詳細記事はこちら
9. 多角的なQ&A(20連発)
天井裏のダクトからカビ臭いにおいがします
ダクト内部にカビが繁殖している可能性があります。フィルターの清掃と合わせて
専門業者によるダクト内部の清掃を依頼してください。特に加湿器を使用している場合は
結露でカビが発生しやすいです。
ダクトの騒音が気になります
風速が速すぎるか、ダクトの振動が原因です。風量を下げるか、吊りバンドの
増設で改善できることがあります。ダクトと壁の貫通部に隙間があると
風切り音が発生します。
ダクト清掃は何年ごと?
住宅では5〜10年ごと、オフィスビルでは3〜5年ごとが目安です。
厨房の排気ダクトは1年に1回の清掃が推奨されています。
マンションの24時間換気のダクトは何?
壁の中や天井裏を通っている直径75〜100mmの細いダクトです。
各居室の給排気口とつながっており、常時新鮮な空気を取り入れます。
ダクトの結露は何が原因?
保温(断熱材の巻き付け)が不十分な場合に発生します。冷房時にダクト内の冷たい空気と
天井裏の暖かい空気の温度差でダクト表面に水滴がつきます。
保温材の追加施工で改善できます。
角ダクトの板厚はどう選ぶ?
ダクトの長辺寸法で決まります。450mm以下→0.5mm、451〜1200mm→0.6mm、
1201〜1500mm→0.8mm、1501mm以上→1.0mmが標準です。
公共建築工事標準仕様書に準拠します。
ダクトの吊り間隔は?
横走りダクトは3,000mm以内、立てダクトは4,000mm以内が標準的な吊り間隔です。
保温後の荷重も考慮して吊りボルトの径を選定してください。
ダクトの接続方法は?
角ダクトはアングルフランジ工法(共板フランジ工法)が主流です。
スパイラルダクトは差込み接続またはフランジ接続です。気密性確保のためシール材を
塗布してください。
防火ダンパー(FD)の設置箇所は?
防火区画を貫通する箇所に必ず設置します。温度ヒューズ(72℃溶断)が
標準で、排煙ダクトには280℃対応のFDを使用します。
曲がり部分の施工で注意は?
急な曲がりは圧力損失が大きくなるため、エルボの内側にガイドベーンを設置するか、
曲がり半径をダクト幅の1.5倍以上確保してください。
ダクト施工図で確認すべき点は?
①他設備(配管・電気)との干渉チェック、②天井高さの確保、③防火ダンパーの位置、
④点検口の確保、⑤吹出口の位置と気流方向を確認してください。
気密試験は必要?
高気密を求められる場合はダクトの気密試験を行います。特に陽圧のSA(給気)ダクトは
漏れがあると天井裏に結露の原因となる空気が漏れるため注意してください。
排煙ダクトの特殊要件は?
排煙ダクトは1.5mm厚以上の鋼板製とし、不燃材で被覆します。温度280℃に1時間耐える
耐火性能が必要です。
工程管理で注意することは?
ダクトは天井内の最初に施工する設備です。配管や電気ケーブルラックと
調整して先行施工の工程を組んでください。
VE(バリューエンジニアリング)は?
角ダクトからスパイラルダクトへの変更、共板フランジ工法の採用、
保温材のグレード見直しなどがVEの候補になります。
ダクト内部の清掃方法は?
専用のダクト清掃ロボットや高圧洗浄で内部を清掃します。点検口からアクセスするため、
点検口が適切に設置されていることが前提です。
保温材の劣化はどう確認する?
天井裏を定期巡回して保温材の剥がれ、へこみ、結露の跡がないか確認します。
劣化した保温材は断熱効果が低下して結露の原因になります。
防火ダンパーの点検頻度は?
消防法に基づき年2回の防火ダンパー作動点検が必要です。温度ヒューズの確認と
羽根の開閉動作を確認してください。
ダクトの腐食はどう判断する?
外面の錆は目視で確認できますが、内面の腐食は点検口から内視鏡で確認します。
特に厨房排気ダクトは油脂による腐食が進みやすいです。
風量が低下した場合の対処は?
①フィルターの目詰まり、②ダンパーの誤閉止、③ダクト内部の汚れ蓄積、
④ファンベルトの緩みの4点を順に確認してください。