B種接地(B種接地工事)とは?
変圧器の混触による低圧側への高電圧侵入を防ぐ接地
【超解説】とても簡単に言うと何か?
変圧器の故障時に高圧が低圧側に混入するのを防ぎ、素早く大地へ逃がすためのアース工事です。
1. 基本概要
変圧器の混触(こんしょく)防止
B種接地工事(びーしゅせっちこうじ)とは、キュービクルや電柱の上にある
高圧と低圧を変換するトランス(変圧器)に施される接地工事です。
トランスの内部では、6600Vのコイルと100Vのコイルが隣り合っています。
もし絶縁が破れてこの2つが接触(混触)すると、100V回路に6600Vが流れ込み、
繋がっている電化製品が一瞬で火を吹き、利用者が重篤な感電事故になります。
これを防ぐために、低圧側の根本を直接大地へ繋いでおくのがB種接地です。
2. 構造や原理
高電圧だけを逃がすバイパス構造
B種接地は、トランスの低圧側(二次側)や中性点という場所に接続されます。
普段の100Vや200Vの電気は、電圧が低すぎてこのアース線を通って
地面へ逃げていくことはありません(正常時は電気が流れない)。
しかし、6600Vという高い電圧が侵入してきた瞬間にだけ、
その強大な圧力で電気がアース線を通り、地面へ「安全に捨てられる」構造です。
これにより、低圧側の電圧が150Vを超えないように制限します。
3. 素材・形状・規格
計算で決まる「変動する」抵抗値
A種は「10Ω以下」、D種は「100Ω以下」と決まっていますが、
B種接地に「〇〇Ω以下」という固定された一律の決まりはありません。
接続されている電力会社の高圧側の電気の強さ(1線地絡電流)と、
事故が起きた際に遮断器がどれくらい早く切れるかというスピードによって、
現場ごとに複雑な計算式(150÷Iなど)を用いて目標数値を算出します。
概ね数十Ω前後になることが多いですが、現場ごとに答えが異なります。
4. 主に使用されている場所
キュービクル内の各種変圧器
施設内にあるキュービクルを開けると、電灯用や動力用の
大きなトランスが入っています。そのトランスの端子から、
必ず緑色の太い線がキュービクルの床の母線に向かって延びており、
その先にB種接地極が埋まっています。受電設備には絶対に必要な設備です。
電柱の上のバケツ(トランス)
街中の電柱の上に乗っている灰色のバケツのようなトランスからも、
電柱に沿って地面へとB種接地の線が下りています。これがあるおかげで、
各家庭へ安全な100Vの電気だけが送り届けられています。
5. メリット・デメリット
メリット(二次災害の完全な防止)
高圧と低圧という「異なる世界」を繋ぐ中継地点において、
万が一の防波堤として機能し、施設内の全コンセントや家電を
高電圧の脅威から守り抜くことができる唯一無二の安全網です。
デメリット(計算・設計の難しさ)
他の接地種別と異なり、設計時に電力会社へ「1線地絡電流」の
大きさを確認して計算を行う手間がかかります。また、
計算上の目標値が5Ωなど極端に厳しくなってしまった場合は、
工事費用がA種接地以上に跳ね上がるリスクを含んでいます。
6. コスト・価格の目安
おおよその相場(盤製作・接地工事)
- 単独での打ち込み工事: 3万〜10万円前後
- 基準が厳しく難工事になった場合: 15万〜数十万円以上
合計目安: 5万〜20万円程度(算出されたΩ数で変動)
※B種接地は建物全体の新築時に、基礎工事の下に巨大な接地極を
「総合接地」として埋め込んでしまう構成を取ることも多く、
その場合は建物全体の電気工事費に数百万単位で含まれます。
7. 更新周期と注意点・絶対にやってはいけない悪い使用方法
更新周期(定期測定による監視)
接地(アース線)自体に明確な交換年数はありませんが、
年次点検で定期的に抵抗値を測定し、計算上の基準値を
オーバーしてしまった場合は直ちに極の追加打ち込みなどの改修が必要です。
絶対にやってはいけない悪い使用方法
トランスの二次側(低圧側)の絶縁を測る際、B種接地の線を
外さずに測ると、測定電気までもが地面へ逃げてしまい、
「絶縁不良」と間違った結果が出るため、測定時は必ず一時的に切り離します。
悪い使用方法をするとどうなるか(末路)
測定が終わった後にB種接地の線を繋ぎ忘れて(外し忘れ)帰ってしまうと、
防波堤がない状態で施設を運用することになり、次に雷などで混触事故が起きた際、
施設内のパソコンやサーバーが一斉に出火して数億円規模の損害を引き起こします。
8. 関連機器・材料の紹介
B種接地とは目的が異なる他の接地方式をご紹介します。
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A種接地:
600Vを超える高圧用機器の金属外箱に施す、10Ω以下の非常に厳しい接地工事です。
▶ 詳細記事はこちら -
C種接地:
300Vを超える低圧機器(主に動力400V機器等)の外箱に施す接地工事です。
▶ 詳細記事はこちら -
D種接地:
300V以下の一般的な家庭用100Vや200Vに施す、100Ω以下の接地工事です。
▶ 詳細記事はこちら
9. 多角的なQ&A(20連発)
家の洗濯機のアースとは違うのですか?
全く違います。洗濯機のアースは製品と人間を守るためのD種接地です。
B種は、街の電気を配るトランスという大きな設備を守るものです。
B種接地がないとどうなりますか?
もし電柱の上で雷などで事故が起きた場合、家の中の100Vのコンセントに
何千ボルトもの電気が流れてきて、繋いでいる家電が破裂・焼損します。
普段生活していてB種接地を見ることはありますか?
普通なら見ることはありませんが、電柱から地面へ黄緑色の塩ビ管が
下りてきているのを見かけたら、その中をB種接地の線が通っています。
なぜB種と呼ぶのですか?
電気設備技術基準という法律の中で、接地の種類をA種、B種、C種、D種の
4つに分類して名前をつけているためです。
ビルの中にもあるのですか?
はい、大きなビルやマンションの裏にある「キュービクル」という箱の中に
必ずB種接地極へと繋がる配線が入っています。
B種接地の太さはどうやって決めますか?
トランスの容量(kVA)などが大きく影響します。法律の計算式に基づき、
大電流に耐えられる安全な太さ(数sq〜100sq超も)を選定します。
B接切離し端子台とは何ですか?
年次点検のメガ測定の際に、B種接地の線を簡単に切り離せるように
ボルト1本で外れるよう工夫された専用の端子台(テスト端子)のことです。
計算に必要な1線地絡電流はどうやって知りますか?
現場を管轄している電力会社(東京電力や関西電力など)に問い合わせ、
その電線の系統の1線地絡電流値を教えてもらう必要があります。
A種接地と共用しても良いですか?
一定以上の極めて低い抵抗値(2Ω以下など)が出る総合接極の場合は
等電位化のため共用が許されますが、基本は単独で打ちます。
漏れ電流計でB種接地の線を挟むのはなぜですか?
施設全体でどれくらい漏電しているかの総量を測るためです。
B種接地線には、施設中のわずかな漏れ電気が全て集まってくるからです。
竣工直前にB種接地抵抗値の目標がオーバーしました。対処法は?
計算された基準値(例:20Ω)を超えていると受電できません。
急遽深くボーリングしてアース棒を追加するか、低減材を投入する追加工事が必要です。
高圧から低圧に落ちるトランスがない現場にもB種は必要ですか?
B種接地は高圧と低圧の「混触」を防ぐためのものなので、
高圧モーター等を直接回すだけの低圧を作らない現場であれば不要です。
総合接地方式を採用するメリットは何ですか?
落雷時などに各接地極間に電位差(電圧の違い)が生じて機器が壊れるのを防ぐほか、
ビル建築基礎と絡めることで圧倒的に低く安定した抵抗値を出せる点です。
計算上「100Ω」と出ました。これで本当に安全ですか?
はい、電力会社側の遮断スピードが速い系統のため、
100Ωであっても150V以上に上がる前にすぐ遮断されるため理論上は安全です。
B種接地の配線は色などに決まりがありますか?
接地線であることを明確にするため、通常は緑色の絶縁被覆を持つ電線(IVやKIV)
を使用するのが業界の統一された絶対的なルールです。
「B種接地の線に5A(アンペア)も流れています」と言われました。
施設内のどこかで重篤な漏電が発生している危険な状態です。
大至急、電気保安担当者に原因回路の特定と遮断を依頼してください。
B種接地線が途中で切れているのを発見しました。
防波堤が壊れている状態であり、この瞬間に事故が起きると全テナントが
被害を受けます。発見次第、即日電気工事士を呼んで修理させてください。
年次点検で「B種を外し忘れて停電復旧してしまった」と
報告がありました。問題ありますか?
大問題です。B種がない状態で送電したわずかな時間に、もし雷が落ちて混触が
起きていたら全焼していました。点検業者の重大な作業ミスです。
毎年必ず「抵抗値」の報告を受けますが、数値はどう見ればいいですか?
前年の数値と比較し、急激に抵抗値が上がっていないかを確認します。
急上昇している場合、地中の接地バンが腐食している可能性があります。
トランスを増設した場合、B種接地も新しく工事が必要ですか?
既存のB種接地母線に余裕があり、抵抗値の基準を満たしていれば、
新しいトランスから既存の極へアース線を繋ぎ込むだけで済むことが多いです。