リレー制御用ターミナル(T/U)とは?
多重伝送信号を受け取り、端末の照明を制御するリレーユニット
【超解説】とても簡単に言うと何か?
伝送ユニット(親機)からの信号を受信し、対応する照明のリレーを動かす現場の子機です。
1. 基本概要
そもそも何か
リレー制御用ターミナル(T/U:Terminal Unit)は、照明の「フル2線式リモコンシステム」で
用いられる受信・中継装置です。親機である伝送ユニットからの
多重信号を受け取り、配下にあるリモコンリレーへ駆動電気を送ります。
T/U 1台につき、通常は4台(4回路)のリモコンリレーを制御できます。
なぜ必要なのか
ワンショット式ではスイッチからリレーへ直接電線が繋がっていましたが、
フル2線式ではすべての命令が「デジタル信号」として2本の共通線に流れてきます。
そのままではアナログ機器である「リモコンリレー」は動きません。そこで、
デジタル信号を受信して「今、リレーを動かせ」という物理的な電力のパルスに
変換して実行する翻訳機として、このT/Uが必須になります。
2. 構造や原理
内部の構造
内部にはアドレス設定機能を持つマイコン基板が入っており、外観は
分電盤の協約寸法(JIS規格)に合わせた樹脂製のBOX形状です。
表面には、どのアドレスを担当するかを設定するダイヤルやスイッチが付いています。
端子は、「信号線用(2線)」と「リレー接続用(通常4系統分)」があります。
動作原理
T/U自身に事前にアドレス(例:アドレス00)を設定しておきます。
伝送ユニットから「アドレス00の1番、オンになれ」というパルス信号が流れてくると、
このT/Uが反応します。そして、同時に引かれているリモコントランスからの
AC24V電源を使って、接続された1番のリモコンリレーへワンショット電力を流し、
接点を物理的にカチッとオンにします。
3. 素材・形状・規格
外観形状と素材
難燃性の樹脂ケースに覆われたモジュールで、分電盤のDINレールに
カチッとはめ込める形状(協約型寸法)が主流です。
リレーのすぐ真横や直下に並べて設置されることが多く、端部からリレーに向けて
専用の接続ケーブル(5芯のカラーケーブルなど)をピン挿しして連結します。
種類や関連規格
制御できるリレーの数によって種類があります。
最も一般的なのは「4回路用」ですが、スペースの厳しい盤用に「一体型」などもあります。
また、パナソニック製(フル2線式)や東芝ライテック製(MESL)など
メーカー間で通信プロトコルが異なるため、他社製品とは接続できません。
4. 主に使用されている場所
使用される施設
伝送ユニットを使用するオフィスビル、商業施設、学校、病院など、
フル2線式リモコンが採用されているすべての施設の分電盤内で使用されます。
具体的な設置位置
照明用のブレーカーやリモコンリレーが収納されている分電盤(電灯盤)の中に
設置されます。リレーのすぐ近くに配置されるため、一般的に盤のカバーを開けると
リレーとT/Uが行儀よく交互または上下に並んでいる姿が見られます。
5. メリット・デメリット
メリット(長所)
現場での配線作業が極めて簡略化されます。リレー4台へそれぞれ信号線を引かなくても、
このT/Uまで共通線2本を引いてくればよく、T/Uとリレー間はワンタッチの
カプラ付き専用ケーブルで繋ぐだけなので、省施工・誤配線防止に絶大な効果があります。
デメリット(短所・弱点)
このT/Uが一つ故障すると、それに繋がっている4台のリモコンリレー分(4回路分)の
照明が一切操作できなくなります。
また、アドレス設定用のロータリースイッチは手動で回すため、施工者が
設定アドレスを間違えると全く関係ない場所が点灯・消灯してしまいます。
6. コスト・価格の目安
導入や更新にかかる費用
機器単価はそこまで高くありませんが、照明回路の数に比例して
たくさん必要になる部材であり、チリツモで総額が大きくなります。
おおよその相場(機器本体費用の目安)
- リレー制御用T/U本体(4回路用): 約1万〜1.5万円程度/個
- T/U〜リレー間接続ケーブル: 約1,000円以内/本
※材料費のみ。盤への組み込み費用などは別途必要です。
7. 更新周期と注意点・絶対にやってはいけない悪い使用方法
更新周期(推奨交換時期)
電子基板が入っているため、寿命の目安は約10〜15年です。
リモコンスイッチを押した時に「ピッ」と信号音はするのに、リレーが全く
動かなくなった場合は、リレー自体の故障か、このT/Uの故障が疑われます。
絶対にやってはいけない悪い使用方法
1つのシステム内で同じアドレス番号を複数のT/Uに設定してしまうと、信号が
衝突してエラーになるか、同時に関係ない照明が作動します。
また、システム通電中にマイナスドライバーでアドレスダイヤルを回して
設定変更する行為は、誤動作や基板損傷の原因になります。(設定時は電源OFFが基本)
悪い使用方法をするとどうなるか(末路)
意図しない場所の照明が連動して消えたり、制御盤からエラーが発報されて
システム全体がセーフモードのように動作停止に追い込まれたりします。
8. 関連機器・材料の紹介
リレー制御用ターミナルは以下の機器と接続されて機能します。
-
伝送ユニット:フル2線式システムの親機。
ここから来るデジタル信号をT/Uが受信します。▶ 詳細記事はこちら -
リモコンリレー:T/Uによって直接コントロールされる実行部隊です。
T/Uの隣に数台並んで配置されます。▶ 詳細記事はこちら -
リモコントランス:親機からの信号だけでなく、
リレーを動かすための実働電力(AC24V)をT/Uへ供給します。▶ 詳細記事はこちら
9. 多角的なQ&A(20連発)
ビルの中で普段見かけることはありますか?
分電盤の鉄扉の中に隠れているため、一般の方が見かけることはまずありません。
普通の電気のスイッチの裏側に入っているのですか?
いいえ、壁のスイッチの裏ではなく、廊下や電気室にある大きなブレーカー盤
(分電盤)の中にまとまって入っています。
スイッチをいじったら壊れてしまいますか?
一般の方が触れるものではないので心配いりませんが、小さなダイヤルが付いており
これを回すと照明の連動がおかしくなるので、盤が開いていても絶対に触らないでください。
どうしてスイッチではなくこんな機械を経由するのですか?
大規模ビルでは「数百個の照明をパソコンで一括管理」するため、
言葉(データ)を電気の力に翻訳してあげる中継役が必要だからです。
カチカチと音が鳴るのはこの機器ですか?
音の正体は、このT/Uの隣にある「リモコンリレー」という機器が動設する
物理的な作動音です。T/U自体は無音で信号を処理しています。
T/Uへの通信線(信号線)には極性がありますか?
フル2線式の信号線には無極性の技術が使われているため、
プラス・マイナスを逆に繋いでも正常に通信でき、誤配線トラブルが激減します。
T/Uに繋ぐリモコントランスからのAC24V電源にも極性は不要ですか?
トランスからのAC24V(交流)にも極性はありません。
指定の電源端子に2本を確実にねじ込み接続するだけです。
アドレス設定のダイヤルはどうやって回せばいいですか?
精密ドライバー(マイナス)等を使い、図面で指定された16進数または
10進数のアドレス番号に合わせて矢印を回します。カチッと止まる位置で止めます。
T/Uからリレーまでのケーブルは自作が必要ですか?
コネクタ付きの専用ケーブル(オプション品)が用意されているため、
カプラーを挿すだけで簡単に接続できるようになっています。
1台のT/Uにリレーを1個しか繋がなくても機能しますか?
4回路用のT/Uでも、1回路だけ繋いで使用することは可能です。
残りの端子は空きのままで問題ありません。
分電盤の発注時に気をつけるべき事は?
盤メーカーへ「フル2線式リモコン搭載」であることを指示し、リレーの台数に
見合ったT/Uの設置スペース(協約寸法)と配線ダクトを確保させます。
T/Uの数量はどのように積算すればよいですか?
必要回路数(リモコンリレーの数)を4で割り、端数を切り上げた数が
必要な4回路用T/Uの最低個数となります。(10回路なら3台)
メーカーはどこを選べばいいですか?
伝送ユニット(親機)や壁スイッチと同じメーカーで統一しないと通信できません。
フル2線式であれば基本的にパナソニック一択となります。
アドレス管理表の作成は必須ですか?
絶対に必須です。どの分電盤の、どのT/Uが、何番のアドレスを割り当てられているか
一覧表を作っておかないと、試運転調整や将来の保守が不可能です。
盤設置後の現場確認でチェックすべきポイントは?
T/Uのアドレスダイヤルが、管理表の通りに正しくセットされているか。
工場出荷時の「00」のままで放置されていないかを確認します。
特定の部分だけ4回路分まとめて操作不能になりました。
その4回路を束ねているT/Uが故障したか、T/Uへの通信線・電源線が
外れている可能性が高いです。該当の盤を開けて確認します。
T/Uの交換に専門的なプログラミング作業は必要ですか?
同一の後継品への交換であれば、アドレスダイヤルを旧品と同じ番号に合わせて
カプラーを差替えるだけで済みます。パソコンでの再設定は通常不要です。
T/Uだけを他社製品の中古品に交換しても使えますか?
信号の通信規格(プロトコル)が違うため全く反応しません。
必ずシステムを構築している同一メーカーの正規品を使用してください。
盤の中にT/Uを追加するスペースがありません。
もし盤外に増設盤を設ける場合でも、そこまで通信線と電源線を延長すれば
機能します。無理に詰め込んで熱がこもらないよう注意してください。
点検等でT/Uの通信線を外すとどうなりますか?
通信が途絶えた瞬間から、そのT/U配下の照明は壁スイッチから操作できなくなります。
点灯中だった場合はそのまま点灯を維持する(自己保持)機構が一般的です。