VE管・HIVE管(硬質塩化ビニル管)とは?
耐候性に優れた、屋外や露出配線用の硬質塩化ビニル電線管

【超解説】とても簡単に言うと何か?

屋外の露出配管で最も多く使われる、安価で軽い硬質塩化ビニル製の電線管です。

1. 基本概要

そもそも何か

VE管(硬質塩化ビニル電線管)は、水道管(塩ビパイプ)と同じ塩化ビニル
樹脂で作られた、電線を通すための保護管です。水道用と混同しないよう、
電気用はグレーやアイボリー色などが基本であり、金属管に比べて
圧倒的に軽く、サビないため屋外配線に向いています。

なぜ必要なのか

電線(ケーブル)をそのまま屋外の壁に両面テープ等で貼ると、
太陽の紫外線で数年でボロボロになり、カラスにつつかれ、雨水が入り込んで
家が漏電・火災を起こします。VE管という「シェルター」の中に
電線を通すことで、安全に何十年も家中に電気を運ぶことができます。

2. 構造や原理(PF管との違い)

ストレートな「硬質管」の本領

同じプラスチックでも、指で曲げられる蛇腹の「PF管」に対し、
VE管はそのままではビクともしない「硬質」です。
そのため、壁にまっすぐ沿わせた時に「波打たずにビシッと一直線」に
施工でき、外観が非常に美しく仕上がるのが最大の特長です。

防水接続(接着剤工法)

管と管を繋ぐ「カップリング」や、曲がり角の「ノーマルベンド(エルボ)」
といった部品を組み合わせ、接続部には『塩ビ用専用接着剤(セメント)』
を塗って叩き込みます。これにより完全に接着部がプラスチックとして同化・
一体化し、雨水が絶対に中に入らない完全防水ルートが完成します。

3. 素材・形状・規格

HIVE管(耐衝撃性)との違い

**VE管**: 通常の硬質塩化ビニル管。ハンマーで強く叩くと割れます。
**HIVE管**: 「ハイ・ブイ・イー」と読みます。樹脂に特殊なゴム成分等を
混ぜ込んだ『耐衝撃性』が高い管で、叩いても粘りがあって割れません。
車のマフラーが当たる駐車場や、ボールが飛び交う学校で重宝されます(濃紺色が多い)。

サイズ換算(16〜82)

VE管のサイズは「内径(中の空洞の広さ)」の近似値で呼ばれます。
VE14、16、22、28、36、42…と大きくなっていきます。
一般家庭の外壁を這うエアコンやコンセントの線なら「VE16」か「VE22」
が最もよく使われます。長さは1本「4m」の直管として販売されています。

4. 主に使用されている場所

使用される施設

あらゆる建物の「屋外」の壁面や、湿気・腐食ガスの多い工場(金属管が
錆びてしまう薬品工場やプール等)、コンクリートの壁の中(打ち込み)
など、金属が使えない場所で活躍します。

具体的な設置位置

外に設置した「エコキュート」や「太陽光発電のパワコン」に向けて、
家の外壁をぐるっと這わせているグレーや茶色の真っ直ぐなパイプは、
ほぼ100%このVE管です(サドルという金具で1.5m間隔で壁に打ち付けられています)。

5. メリット・デメリット

メリット(長所)

金属のような「サビ(腐食)」と無縁であり、絶縁体(電気を通さない)
であるため、管自体をアース(接地)する工事の手間が省けます。
また、重い金属管のようなネジ切り作業が不要で、ノコギリや専用カッターで
スパッと切れるため施工スピードが圧倒的に早いです。

デメリット(短所・弱点)

「熱と衝撃」に弱いです。直射日光を10年以上浴び続けると、プラスチックが白く粉を吹いて
劣化(チョーキング現象)し、パリパリに割れてしまいます。
また、真夏に炎天下に放置するとグニャグニャに曲がって使い物になりません。

6. コスト・価格の目安

導入や更新にかかる費用

配管材料の中ではトップクラスに安価であり、DIYでホームセンターで
買っても非常に安く手に入ります。(注:配線を通す工事は電気工事士必須)

おおよその相場(1本・4mあたりの材料費目安)

  • VE16管(一般用グレー): 約 250円〜400円/本
  • VE22管: 約 400円〜600円/本
  • HIVE16管(耐衝撃性・濃色): 約 350円〜500円/本

合計目安: 付属品(サドル・接着剤・ボックス)込みでも、
材料費だけなら1メートルあたり数百円という驚異的な安さです。

7. 更新周期と注意点・絶対にやってはいけない悪い使用方法

更新周期(推奨交換時期)

屋外の過酷な環境では約15年〜20年が寿命です。
表面を触って指が真っ白になったり、手で押しただけで「パキッ」と
割れて中の線がコンニチハしている状態であれば、防水性がすでにゼロであり
いつショートしてもおかしくないため、引き直し(交換)が必要です。

絶対にやってはいけない悪い使用方法

【NG事例】ライターやトーチバーナーの直火で無理やり管をあぶって曲げる

VE管は「熱を加えるとグニャリと曲がる」という性質があり、職人はこれを
生かして自由な角度に曲げます。しかし、一般の方がガスバーナーの青い炎で
直接炙ると、プラスチックが焦げて有毒ガス(塩化水素)をばら撒き、
内部が黒焦げになって電線を傷つける最悪の施工不良(炭化)を起こします。

悪い使用方法をするとどうなるか(末路)

直火で炙って焦げたVE管の中に電線(VVF等)を通すと、焦げた炭が
電線の被膜を溶かしたり、管の内側の凸凹に引っかかって線が断線します。
塩ビが焦げる際の塩素ガスで施工者自身が喉や目を強烈に傷めるため、
必ず「ガストーチ(バーナー)ではなく熱風(ヒートガン等)」を使います。

8. 関連機器・材料の紹介

VE管とセットで使われる、同じく「プラスチック」の仲間たちです。

9. 多角的なQ&A(20連発)

一般人(施設利用者・通行人)目線

家の外のグレーのパイプが白く粉を吹いていますが大丈夫ですか?

塩ビ管が紫外線で劣化したサイン(チョーキング現象)です。
すぐに漏電するわけではありませんが、物が当たると簡単に割れるほど
脆くなっているため、次の家の外壁塗装の際などに一緒に交換させるのが理想です。

外壁が黒いので、グレーのVE管だと目立ちます。色付きはありますか?

現在は建物の外観に馴染むよう「ブラック、ブラウン、アイボリー」
など、様々なカラーVE管(スマート管などとも呼ばれる)が販売されています。
電気工事を依頼する前に「壁の色に合わせた管を使って」と指定してください。

ホームセンターの水道コーナーの塩ビ管(VP管)を電気配線に使っていい?

原則NGです。「電気用のVE管」は万が一電線がショートしても
自己消火性(燃え広がらない)を持つように安全規格(JIS基準)が定められて
います。安いからと水道管に電線を通すと、火災時にパイプが激しく燃え上がります。

パイプを自分で切るのに、ノコギリは何を使えば良いですか?

普通の木材用ノコギリだと刃が引っかかり、パイプが粉々に割れる事があります。
塩ビ管専用の目の細かいノコギリか、握るだけでスパッと真っ直ぐ切れる
「エンビカッター」という専用工具(約5000円)を使うのが安全確実です。

パイプ(VE管)の中に水が溜まっているのを発見しました。

「結露」か「上の隙間からの雨水侵入」です。
中に水がチャプチャプしたまま電線が浸かると絶縁不良(漏電)の
原因となるため、パイプの「一番下の部分(底)」に水抜きの小穴を開けます。

職人(施工者・電気工事士など)目線

冬季のVE管の「曲げ」が絶望的に難しいです(折れる)。

冬の塩ビはガラスのようにカチカチで、少しの曲げでパキッと割れます。
ヒートガン(工業用ドライヤー)で全周を「これでもか」というほどじっくり温め、
グニャッとコシが抜けた瞬間に一気に手で曲げて水ぞうきんで冷やし固めます。

接着剤(塩ビ管用セメント)の刷毛塗りのコツは?

「受け側(継手)」と「挿す側(管)」の『両方』に素早く、かつ薄く
均一に塗り、差し込んだら「そのまま15秒間」絶対に動かさず手で押さえつけます。
塩ビが溶けて膨張するため、手を離すとニュルッと管が押し戻されてすっぽ抜けるからです。

22のノーマル(曲がり部品)がない時、手曲げで「S字(オフセット)」を作るには?

ヒートガンで広い範囲を温め、壁の段差に合わせてSの字に曲げます。
この時、管の中に「曲げ用スプリング(塩ビ管の内径に合わせたバネ)」を
入れてから曲げないと、
曲がった角が座屈(ペシャンコに潰れる)して電線が通らなくなります。

VEの支持(サドル固定)の間隔は、法規で何メートルですか?

電技解釈において「VE管(合成樹脂管)の支持点間は1.5m以下」と
厳密に定められています。金属管(2m以下)より柔らかく、夏の熱で
波打ってダランとするため、こまめにサドル(片サドル・両サドル)で壁に打ち付けます。

管に接着剤を大量に付けすぎて、中にはみ出しました。

非常に悪い施工です。
はみ出した溶剤だまりに電線を長期間通しておくと、接着溶剤の化学成分で
電線の被覆(VVF等のビニル)が溶かされて絶縁が破れ、数年後に大漏電を起こします。

施工管理者目線

外構の「地中埋設」にVE管を使って良いですか?(FEPではなく)

短い距離の庭先配線などでは安価なVE管を埋設することもありますが、
車両の重量等でコンクリートの下でも「パキッ」と割れるリスクがあるため、
地中は基本的に波打って重圧を逃がす「FEP管(エフレックス等)」
を指示するのが正解です。

夏場に真っ直ぐ綺麗に施工したVE管が、冬に「縮んで継手から抜けた」とクレーム。

塩ビ(プラスチック)特有の「温度による激しい伸縮」の罠です。
夏に伸び切った状態で寸法をピタピタに切ると、冬場に数センチ縮んで破断します。
長い直線の配管では、途中に「伸縮カップリング」という逃げの継手を必ず挟みます。

意匠設計士から、屋外の露出配管を「角型(四角い)」にしてくれと要望が。

VE管ではなく「角型モール(プラモールなど)」を使用するか、
パナソニックの「スマートダクト」等の建物のデザインと一体化する
四角い化粧カバーを提案します。通常の丸いVE管は意匠的には少し野暮ったいです。

HIVE管(耐衝撃)を図面指示したのに、現場が普通のVE管で施工しています。

材料費をケチったか、発注ミスです。
HIVE(濃紺色)は、特に台車が当たる工場の駐車場や搬入口の腰より低い
位置で「管が割れて中の電線がむき出しになる感電事故」
を防ぐ命の指定なのでやり直しです。

VE22の中に、VVFケーブル2.0mm-3芯は何本入れられますか?

内線規程により、「管の内断面積の32%(線の太さが異なる場合は最大48%)」
等の法的な余裕マージン率が決まっています。無理やりギューギューに詰め込むと、
熱が逃げず(放熱阻害)に電線が燃えるため厳しく管理します。

設備管理者(オーナー・保守担当・維持管理)目線

マンション外壁のVEパイプに、カラスがつついたような穴が開いています。

そこから雨水がモロに入り、階下の照明器具等に水がジョバジョバと伝わって
漏電ブレーカーが落ちます。早急に防水テープ(エフコテープ等)で
ぐるぐる巻きにして塞ぐか、管の一部をスリーブで繋ぎ直す保守作業が必要です。

VE管に後から「もう1本」線を追加して通したい(通線)のですが。

すでに接着剤でガチガチに密閉された配管の場合、後から線を通すのは
プロでも「通線ワイヤー(スネークロック等)」という特殊なスチール鋼線を
突っ込まないとほぼ不可能です。摩擦で全然進まないためシリコンスプレーを吹き付けます。

パイプを止めている壁の「鉄の金具(片サドル)」が錆びて壁が茶色く汚れました。

安い「鉄(亜鉛メッキ等)」のサドルがサビて、もらいサビとして外壁を
汚している状態です。ステンレス製のサドルに取り替えるか、
樹脂製の「プラスチックサドル」に変更すれば、サビ汁による汚れは長期間発生しません。

古いVE管の表面に、ペンキで外壁と同じ色を塗ってもいいですか?

景観を良くするための「塗装」は問題ありませんが、
使用する塗料に「シンナー系の強い溶剤」が含まれていると、
塩ビ管のプラスチック組織が溶けてグズグズに崩崩壊するため、水性塗料などを使用します。

台風の後、VE管ごとかさぶたのように「壁から剥がれ落ちて」ぶら下がっています。

壁の中空ボード等に打った「ネジ(ビス)」の強度が弱く、
風の揺れでスポンと抜けた状態です。ブラブラのまま放置すると電線が断線して
火を吹くため、
早急に適切な「アンカープラグ」を壁に打ち込んで強固に固定し直してください。