水道法とは?
安全な水を蛇口まで届けるための、給水設備の基本法

1. 超解説

【超解説】とても簡単に言うと何か?
「安全な水を蛇口まで届けるためのルール」を定めた法律です。水道事業者(市町村等)の運営基準だけでなく、ビル・マンションの給水設備(受水槽、給水管、直結給水)の技術基準や衛生管理も規定しています。建設業では給水装置工事の施工資格や、クロスコネクション(上水と雑用水の誤接続)の防止が特に重要です。

水道法は1957年(昭和32年)に制定され、厚生労働省(2024年4月から国土交通省・環境省に移管)が所管しています。水質基準、施設基準、衛生管理の3本柱で、蛇口から出る水の安全を守っています。

2. 法律の目的と体系

水道法の目的は「水道の布設及び管理を適正かつ合理的ならしめるとともに、水道の基盤を強化することにより、清浄にして豊富低廉な水の供給を図り、もって公衆衛生の向上と生活環境の改善とに寄与すること」です。

水道の種類

種類内容対象
上水道計画給水人口5,001人以上市町村が運営する一般的な水道
簡易水道計画給水人口101~5,000人小規模な集落の水道
専用水道自家用水源または受水槽有効容量100㎥超大規模マンション、工場等
簡易専用水道受水槽有効容量10㎥超~100㎥以下中規模ビル・マンション
小規模貯水槽水道受水槽有効容量10㎥以下小規模ビル(条例で規制)

参考:e-Gov法令検索 - 水道法

3. 給水装置の技術基準

給水装置とは、配水管から分岐して設けられた給水管と、これに直結する給水用具(蛇口、バルブ等)の総称です。

主な技術基準(給水装置の構造及び材質の基準に関する省令)

直結給水と受水槽給水

方式特徴メリット
直結直圧給水配水管の圧力で直接給水受水槽不要、水質劣化リスク低い
直結増圧給水増圧ポンプで加圧して中高層に給水受水槽不要、省スペース
受水槽給水受水槽に一旦貯水して給水断水時の貯水機能、安定供給

4. 簡易専用水道の管理義務

受水槽の有効容量が10㎥を超える建物は「簡易専用水道」として以下の管理義務を負います。

管理を怠り水質事故が発生した場合、建物の設置者(オーナー・管理組合等)が責任を問われます。

5. 給水装置工事と資格

資格・制度内容
給水装置工事主任技術者給水装置工事の施工管理に必要な国家資格
指定給水装置工事事業者水道事業者(市町村等)の指定を受けた工事事業者
管工事施工管理技士一般建設業・特定建設業の管工事の技術者要件

給水装置工事は、水道事業者の指定を受けた事業者でなければ施工できません。無届けの工事は水道法違反です。

6. 違反時のリスク・罰則

違反内容罰則
水道施設の基準不適合改善命令→従わない場合は給水停止
簡易専用水道の管理基準違反改善指示→従わない場合は給水停止
給水装置工事の無届け施工給水の拒否・制限
水道水の汚染(水質基準超過)刑法の水道汚染罪(6ヶ月以上7年以下の懲役)の可能性
クロスコネクション改善命令+損害賠償(健康被害があった場合)

7. 近年の動向

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9. 多角的なQ&A

一般の方向け

マンションの水道水がまずいのは受水槽のせいですか?

可能性はあります。受水槽内の残留塩素が低下すると水質が変化します。年1回の清掃と定期検査が義務付けられていますので、管理組合に清掃記録を確認してください。近年は受水槽を廃止して直結増圧給水に切り替えるマンションも増えています。

水道の蛇口を自分で交換しても大丈夫ですか?

蛇口(給水栓)の交換は給水装置の末端の工事であり、配水管の分岐から水道メーターまでの工事と異なり、指定工事事業者でなくても可能な場合が多いです。ただし、自治体によって見解が異なるため、心配な場合は水道局に確認してください。

井戸水を使っている場合も水道法は適用されますか?

個人の家庭用井戸は水道法の直接の対象外ですが、飲用に使う場合は定期的な水質検査が推奨されています。多くの自治体が条例で井戸水の水質検査を指導しています。100人を超える居住者に供給する場合は「専用水道」として水道法が適用されます。

クロスコネクションとは何ですか?なぜ危険なのですか?

上水道の配管と、雑用水(中水)やボイラー水、排水管などを直接または間接的に接続してしまうことです。逆流が起きると飲み水に有害物質が混入し、集団食中毒や健康被害を引き起こす極めて危険な状態です。過去に死亡事故も発生しており、発覚した場合は即座に改修が命じられます。

断水時に備えてどのくらいの水を備蓄すべきですか?

一般的な目安は1人1日3リットル×3日分(最低9リットル)です。受水槽のあるマンションは槽内の貯水量で数時間~半日程度は給水が続きますが、直結給水のマンションは停電すると即座に断水します。

業界関係者向け

直結増圧給水の適用範囲は全国統一ですか?

いいえ。直結増圧給水の適用条件(対応階数、口径、水圧等)は水道事業者ごとに異なります。東京都水道局は概ね15階程度まで対応可能ですが、地方の水道事業者では3~5階までという場合もあります。設計段階で管轄の水道事業者に確認が必須です。

受水槽の清掃を怠った場合の実務上のリスクは?

法定の年1回清掃を怠ると、①水質事故(レジオネラ菌の繁殖等)のリスク、②法定検査で不適合となり行政指導、③事故発生時に管理者の法的責任(民事・刑事)が問われる可能性があります。清掃費用は10㎥程度の受水槽で3~5万円程度であり、リスクに比べて安価です。

水道管の耐震化工事で使用する管材の推奨品は?

耐震性に優れた管材として、①ダクタイル鋳鉄管(GX形)は耐震継手により地盤変位に追随、②ステンレス鋼管は耐食性と可撓性に優れる、③ポリエチレン管(配水用PE管)は柔軟性が高く地震に強い管材です。いずれも日本水道協会(JWWA)の規格品を使用します。

逆流防止装置の種類と選定基準は?

①逆止弁(チャッキバルブ)は配管途中に設置、②バキュームブレーカーは大気圧による逆サイフォン防止、③減圧式逆流防止器は最も確実な方式で化学プラント等に使用。選定は「吐水口空間が確保できるか」が最初の判断基準で、確保できない場合にバキュームブレーカーや逆止弁を使用します。

水道法の所管移管で実務に影響はありますか?

2024年4月の所管移管(厚労省→国交省・環境省)による水質基準や技術基準の変更はありません。ただし、今後は国交省の下水道行政との一体的な水インフラ管理が進むことが予想されます。届出先や相談窓口が変わる可能性があるため、最新情報は国交省のウェブサイトで確認してください。