VVF・CV・CVTケーブルの違いとは?
建物の通信・電力網。電気を安全に運ぶケーブルの仕組みと使い分け

【超解説】とても簡単に言うと何か?

VVFは「家の中の壁の裏を通る、平べったいネズミ色のケーブル」です。CV・CVTは「屋外や地中、キュービクルから分電盤まで大電流を運ぶ、黒くて丸い太いケーブル」です。通す場所と電気の量によって使い分けられています。

1. 基本概要

建物を走る電気の動脈と毛細血管

照明を点灯させたり、コンセントからスマートフォンを充電できたりするのは、配電盤から壁や天井の裏を通って電気が送られてきているからです。
この電気を運ぶ「電線」を束ねて、ゴムやビニルで保護したものを「ケーブル」と呼びます。

なぜ種類が分かれているのか

電気は大量に流れると熱を持ち、保護カバー(絶縁体)を溶かしてしまう危険性があります。
また、屋外では太陽の紫外線でボロボロになり、土の中では水や微生物の攻撃を受けます。そのため、一般家庭の細い配線に使う「安価で施工しやすい屋内専用のVVF」と、ビルの幹線や屋外で使う「熱と環境に強い高耐久のCV・CVT」が明確に区別されています。

2. 構造や原理

絶縁と保護の2重構造(シースとインシュレーション)

ケーブルは基本的に「導体(銅線)」「絶縁体(中の被覆)」「シース(外側のカバー)」という構造を持っています。
中の「絶縁体」は銅線から電気が漏れないようにする役割があり、外の「シース」は擦れや外部の環境から中の電線を守る役割を持っています。この2枚の服を着ているからこそ、ケーブルは金属パイプに入れなくてもそのまま壁の裏などに配線できるのです。

VVFとCVの材料の違い

「VV」は「ビニル絶縁・ビニルシース(Vinyl・Vinyl)」の略で、中も外も安価な塩化ビニルで作られています。熱には弱く、許容温度は60℃です。
「CV」は「架橋ポリエチレン絶縁・ビニルシース(Crosslinked Polyethylene・Vinyl)」の略で、中の絶縁体に熱に非常に強い架橋ポリエチレンを使用しているため、許容温度が90℃と高く、より多くの電気を流すことができます。

3. 素材・形状・規格

VVFケーブル(平形)

灰色(またはカラー)の平べったい形をしたケーブルです(FはFlatの略)。芯線が2本(2C)や3本(3C)並んでおり、壁の中や柱にステップル(コの字型の釘)で打ち付けて固定しやすい平坦な形状をしています。1.6mmや2.0mmといった導体の太さのものが一般的です。

CVケーブル(多芯丸形)

黒色の丸いケーブルです。外側の真っ黒なシースの中に、2本〜4本の架橋ポリエチレンで保護された芯線が入っています。隙間に介在物(紙のような詰め物)を入れて真ん丸な形状を保っていますが、太くなると非常に硬くて曲げにくくなるという特徴があります。

CVTケーブル(より合わせ構造)

「より合わせ(Triplex)」の略で、1本芯のCVケーブルを3本、三つ編みのようにねじり合わせた独特な形状をしています。
太い多芯のCVケーブルは硬すぎて曲げにくいですが、CVTは単体の線を3本ねじっただけなので、太いサイズでも柔軟に曲げることができ、現在の幹線工事(太いケーブルの配管通し)ではCVに代わってCVTが主流となっています。

4. 主に使用されている場所

VVFケーブルの活躍場所

戸建て住宅やマンションの「室内の天井裏、壁裏、床下」のほぼ全てです。分電盤(ブレーカー)から各部屋のコンセントや照明器具までの配線は、99%このVVFケーブルが使用されています。

CV・CVTケーブルの活躍場所

受変電設備(キュービクル)から各フロアの分電盤へと電気を送る「幹線(メインルート)」や、工場での大型モーターなどの「動力配線」に使用されます。
また、屋外の電柱からの引き込み線や、土の中に埋めて建物の照明に電気を送る「地中埋設配線」にも、その高い耐久性を活かして使用されています。

5. メリット・デメリット

VVFのメリットとデメリット

メリットはなんと言っても安価で、平たくてカッターで被覆を剥ぎやすいなど「施工性が抜群に良い」ことです。
デメリットは、耐熱温度が60℃と非常に低いため大電流を流せないことと、紫外線に弱いため屋外に露出して配線すると数年で被覆がひび割れてバチッと漏電する(短絡する)危険があることです。

CV(多芯形)のメリットとデメリット

メリットは耐熱温度が90℃と高く、同じ太さの導体でもVVFより大電流(約1.3倍)を流せる点です。
一方でデメリットは、太くなるととにかく硬く、配管(配線用のパイプ)に無理やり通す際や、曲がり角での作業に多大な腕力が必要になる点です。

CVT(より合わせ形)のメリットとデメリット

CVTはCVの「硬くて曲がらない」という欠点を克服しており、狭い分電盤の中でも取り回しがしやすく、放熱性も良いためCVよりもさらに少し多くの電流を許容できます。
現在、太いケーブル(おおよそ22sq以上)では、電気工事士の負担軽減のためにCVではなくCVTを指定するのが業界の標準になりつつあります。

6. コスト・価格の目安

材料費の比較

一般的に、同じ導体断面積(太さ)で比較した場合、「VVF < CV < CVT」の順で価格が高くなります。
架橋ポリエチレンという特殊な耐熱素材を使用している分、CV系はVVFに比べて材料コストが掛かっています。

おおよその相場(1mあたりの材料費目安)

  • VVF 2.0mm-3C: 150円〜200円/m(住宅で最もよく使われるサイズ)
  • CV 5.5sq-3C: 300円〜400円/m(小型の動力機器などで使用)
  • CVT 38sq: 1,500円〜2,000円/m(ビルや工場の分電盤の幹線用)

合計目安: 工事費込みの場合は、通線する難易度(配管の有無や高所作業)により大きく変動します。
※銅の価格によってケーブルの価格は毎月のように激しく変動する「建値(たてね)」システムが採用されています。

7. 更新周期と注意点・絶対にやってはいけない悪い使用方法

更新周期(推奨交換時期)

屋内配線用(VVF)も屋外配線用(CV/CVT)も、標準的な寿命は「約20年〜30年」とされています。ただし、屋内配線で容量内で正しく使用されていれば、実際には30年以上問題なく使い続けられているケースがほとんどです。

絶対にやってはいけない悪い使用方法

【NG事例】VVFケーブルを屋外で配管に入れずに裸のままぶら下げる(紫外線曝露)

屋外の防犯カメラや屋外コンセントの増設DIYで一番多いミスです。VVFの塩化ビニルシースは太陽の紫外線に耐えられません。

悪い使用方法をするとどうなるか(末路)

屋外で日光に晒されたVVFケーブルは、数年で灰色のカバーが茶褐色に変色し、パリパリに割れて中の芯線が剥き出しになります。そのまま雨水がかかると漏電(地絡)を引き起こし、家の漏電ブレーカーが落ちて家中が停電するか、最悪の場合は漏電火災の原因となります。

8. 関連機器・材料の紹介

ケーブルの敷設や保護に欠かせない関連機器です。

9. 多角的なQ&A(20連発)

一般人(施主・建物の利用者)目線

家の壁の中にある電線は何十年もそのままで発火したりしませんか?

分電盤のブレーカーが正常に機能し、規定以上の過電流(熱)が流れない限り、VVFケーブルが壁の中で自然発火することはまずありません。安全に守られています。

庭の照明をDIYで付けたのですが、グレーのケーブルをそのまま土に埋めても大丈夫ですか?

VVFケーブルを直接地中に埋設することは法律(内線規程)で禁止されています。土の圧力で潰れたり、石で傷ついて漏電の危険があるため、必ず「PF管」などの保護用パイプに通して埋めるか、CVケーブル等の屋外や埋設に適したケーブルを使用してください。

太い方が電気がよく流れるなら、家のコンセントの線も極太にすればいいのでは?

太くすると安全ですが、壁の中を通すのも曲げるのも困難になり、コンセントの裏の小さな端子穴に入らなくなります。そのため家庭用は扱いやすい1.6mmか2.0mmの太さに最適化されています。

ケーブルの表面に「2023」と打ってあるのですが、これは製造年ですか?

はい、ケーブルの表面には必ず「メーカー名」「種類(VVF等)」「太さ(2.0mm)」「製造年」が印字されています。これを見ることで、何年前に配線されたものかある程度推測できます。

よく家電の裏にあるような「電源コード」と「壁の中のケーブル」は何が違いますか?

壁の中のVVF等は「単線(太さ1.6mmなどの1本の硬い銅の棒)」で、曲げたり動かしたりするのには向きません。家電のコードは「より線(髪の毛のように細い銅線を何十本も束ねたもの)」で、柔軟で何度も曲げる用途(掃除機のコードなど)に特化しています。

職人(電気工事士など)目線

VVFケーブルで「エコケーブル(EM-EEF)」を指定されました。注意点は?

塩化ビニルの代わりにポリエチレンを使ったエコケーブルは、火災時にダイオキシン等の有毒ガスを出さない代わりに、シース(外皮)が非常に硬く、ストリッパー(皮むき工具)で剥く際に芯線に傷をつけやすいので力加減に注意が必要です。

VVFケーブルの2.0mmと2.0sqの違いを教えてください。

2.0mmは「単線」の直径を表しており、断面積に計算し直すと約3.14sqです。一方、2.0sqは「より線」などの導体の断面積の合計を表しており、それぞれ許容電流が異なる全くの別物です。

CVTケーブルをドラムから引き出すときのコツは?

より合わさっている構造上、引っ張るとねじれが蓄積し(キンク)しやすいです。コロ(ローラー)を適正に配置し、無理な力で引かずにねじれを逃がしながら延線してください。

冬場に太いCVケーブルを扱うのが辛すぎます。何か対策は?

CVのシースは冷えるとガチガチに硬化します。配管への通線が困難な場合は、事前の打ち合わせでCVではなく柔軟な「CVTケーブル」への材料変更を施工管理者に提案するのがベストな対策です。

VVRケーブルという丸いケーブルは何に使うのですか?

VVF(平形)と同じビニル素材ですが、丸形に成型されたものです。壁の中の狭い隙間を通すのは平形が有利ですが、配管の中を通したり、丸いコンセントプラグの根元で気密を取る必要がある場所にはVVR(丸形)が使用されます。

施工管理者目線

CVTのほうが施工費が下がるというのは本当ですか?

本当です。特にある程度以上の太さ(22sq〜100sq等)になると、CVは硬すぎて職人を数名追加しないと延線できませんが、CVTなら柔軟性があり少人数で通線可能なため、材料費の数十円/mのアップを大幅に上回る人件費の削減効果があります。

幹線を引く際、CVケーブルとCVTケーブルで配管サイズは変わりますか?

変わる可能性があります。CVTは3本をよりあわせているため、外径が真ん丸なCVケーブルよりも、一番出っ張っている部分の計算上の仕上がり外径がわずかに太くなります。内線規程に基づく電線管の占積率計算には注意してください。

屋上に太陽光パネルを設置します。CVケーブルで良いですか?

屋上のような直射日光(紫外線)が直撃し続ける過酷な環境では、通常のCVケーブルでもシースが徐々に劣化します。屋外専用の耐候性シースを持った「黒色カバーの太陽光用ケーブル」や、配管での完全保護を検討してください。

コンクリートに直接VVFケーブルを埋め込んでも良いですか?

法的には一部条件付きで可能ですが、現代の施工管理では絶対にNGです。コンクリートのアルカリ等で劣化・断線した時に一切の交換・修理が不可能になります。必ずCD管やPF管などの配管を先行で埋め込み、その中にケーブルを通してください。

ケーブルのサイズ(太さ)はどうやって決定しているのですか?

「流れるアンペア数による発熱(許容電流)」の計算と、「分電盤から末端までの距離による電圧の低下(電圧降下)」の2つのハードルを両方ともクリアする太さを、内線規程等の計算式に従って決定しています。

設備管理者(オーナー・保守担当)目線

古いビルのキュービクルからのケーブルが、CVではなく昔のCVケーブルです。

昭和時代などに敷設されたものは、被覆に水が入り込んで絶縁破壊を起こす「水トリー現象」による漏電事故が多発するタイプ(内部半導電層テープタイプ等)の可能性があります。高圧ケーブル(6600V)などは、定期的な絶縁診断と計画的な更新が必須です。

天井裏で、ネズミに少しVVFの被覆をかじられた形跡がありました。危険ですか?

非常に危険です。灰色の一番外側のカバー(シース)だけでなく、中の芯線の色付き皮膜(インシュレーション)まで達している場合、白線と黒線が接触して短絡(ショート)し火災になる恐れがあります。すぐにメガ(絶縁抵抗計)で測定し、テーピング補修または張り替えが必要です。

エアコン専用のコンセントを増設したいのですが、ケーブルの太さはどれが正解ですか?

通常の100Vエアコンや小さな200Vエアコンであれば、VVFの「2.0mm」を使用して配線するのが基本です(15Aを超えることが多いため1.6mmは推奨されません)。なお、エアコン工事には第二種電気工事士の資格が法律で義務付けられています。

LANケーブルもこのVVFケーブルやCVケーブルと一緒に束ねて配管してよいですか?

原則としてダメです。弱電線(LANや電話など微弱な信号の線)と、強電線(100V等の電力を送るケーブル)を同じ配管に入れたりぴったり密着させて束ねたりすると、ノイズ(電磁誘導障害)によって通信速度が激減したり通信エラーが発生します。配管を分けるか距離を離してください。

屋内用のVVFケーブルを、後からグレーの油性塗料で壁と同じ色に塗っても大丈夫ですか?

塗料に含まれる溶剤(シンナーなど)が塩化ビニルを脆く劣化させる成分を含んでいる場合、数年後に表面がひび割れる原因になります。水性塗料は比較的マシですが、原則としてケーブルに直接塗料を塗るのは推奨されません。隠したい場合はモール(プラスチックの化粧カバー)を被せてください。