OAフロア(フリーアクセスフロア)とは?
床上に空間を設け、配線や空調をフリーに行えるOAフロア
【超解説】とても簡単に言うと何か?
オフィスの床を数センチ持ち上げて「二重底」にし、
床下の空間にパソコンの電源コードやLANケーブルを自由に這わせるシステムです。
床の上に配線が露出しないため、足を引っ掛ける危険がなく
レイアウト変更時も自在に配線できます。
1. 基本概要
そもそも何か
OAフロア(フリーアクセスフロアとも呼ばれる)はコンクリートの床(スラブ)の上に
支持脚やブロックを並べ、その上にパネルを敷き詰めて構築する二重床システムです。
現代のオフィスビルにおける標準的な床仕様で配線の自由度を飛躍的に高めます。
なぜ必要なのか
現代のオフィスでは1人あたり電源・LAN・電話等の配線が多数必要です。
床上に配線を這わせると転倒事故や断線のリスクが高く、レイアウト変更のたびに
大規模な配線工事が発生するため床下配線を可能にするOAフロアが不可欠です。
2. 構造や原理
基本的な構成
OAフロアは「支持脚(またはブロック)」
「パネル(床板)」「仕上げ材(タイルカーペット等)」の3層構造で成り立っています。
支持脚でスラブ面から一定の高さを確保しできた空間に配線を自由に通せます。
配線の仕組み
パネルには配線取り出し用の切り欠きや開口があり、そこからフロアコンセントを
設置して電源やLANポートを取り出します。パネルの一部を外すだけで
配線の増設・移動が容易に行えます。
3. 素材・形状・規格
種類による分類
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樹脂製パネル(置き敷きタイプ):
プラスチック製ブロック(高さ40〜50mm)を
床に直接敷き詰める方式。
軽量で安価、施工が早く後付けに最適。
配線容量が少なく重量物には不向き。 -
コンクリート製パネル(支持脚タイプ):
金属支持脚(高さ調整可)の上に
軽量コンクリートパネルを乗せる方式。
不燃材で歩行感が安定し音鳴りが少ない。
新築オフィスビルの標準仕様です。 -
金属製パネル(支持脚タイプ):
スチールやアルミ合金のパネルを使用。
高さ100〜500mm以上の高床も可能で
データセンターやサーバールームに採用。
床下空調の通路としても機能します。
関連規格
JIS A 6512(フリーアクセスフロア)に耐荷重の等級や試験方法が定められています。
一般オフィス向けは3,000N/m²〜5,000N/m²、データセンター向けは10,000N/m²以上の
耐荷重が要求されます。
4. 主に使用されている場所
使用される施設
- オフィスビル
- データセンター・サーバールーム
- コールセンター
- 病院(ナースステーション等)
- 学校(コンピューター教室)
具体的な設置位置
事務室フロア全面に敷設されるのが一般的です。トイレ・給湯室・階段室など水回りや
共用部には通常設置しません。サーバー室では床下空調のため
高さ300mm以上の高床タイプが選ばれます。
5. メリット・デメリット
メリット(長所)
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美観の向上:
複雑な配線をすべて床下に隠蔽でき
すっきりしたオフィス空間を実現します。 -
安全性の確保:
ケーブルによる転倒事故やキャスターでの
ケーブル断線トラブルを防止します。 -
柔軟なレイアウト:
パネルを外すだけでフロアコンセントや
LANポートの増設・移設が容易にできます。
デメリット(短所・弱点)
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天井高が低くなる:
床を持ち上げる分だけ室内の天井高が
下がり圧迫感が出る場合があります。 -
床鳴りのリスク:
スラブの不陸があると歩行時に
パネルがガタつき金属音が発生します。 -
コストの上乗せ:
通常のスラブ仕上げに比べ
材料費と施工費が大幅に増えます。
6. コスト・価格の目安
導入や更新にかかる費用
パネルの材質と床下高さによりコストが大きく異なります。
おおよその相場(材料+施工費・1m²)
- 樹脂製置き敷き(高50mm): 約4,000〜6,000円/m²
- コンクリート製+支持脚(高50〜100mm): 約7,000〜10,000円/m²
- 金属製+支持脚(データセンター等): 約12,000〜25,000円/m²
- タイルカーペット(別途): 約3,000〜5,000円/m²
7. 更新周期と注意点・絶対にやってはいけない悪い使用方法
更新周期(推奨交換時期)
OAフロアパネル自体の耐用年数は20〜30年が目安です。ただし樹脂製は劣化が早く15〜20年程度。
支持脚のゴム部品は10年程度でへたりが出るため交換を推奨します。
タイルカーペットは10年前後で張替えです。
絶対にやってはいけない悪い使用方法
スラブ面に防塵塗装を施さないこと。
コンクリートの粉塵が床下で舞い上がり
パソコンのファンに吸い込まれて
故障や火災の原因になります。
耐荷重を超える重量物を
OAフロア上に直接置くこと。
パネルの破損やたわみが生じ
周辺の床全体がゆがみます。
悪い使用方法をするとどうなるか(末路)
防塵塗装を省略した結果、床下のコンクリート粉が隙間から常に舞い上がり、空気品質が悪化し
パソコンや複合機が頻繁に故障します。耐荷重を超えた金庫の設置では
パネルが割れて金庫が下に落ち込み、床下の配線を断線させる事故が発生します。
8. 関連機器・材料の紹介
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フロアコンセント:
OAフロアのパネル開口部に設置する
電源・LAN・電話の取り出し口。
デスクの位置に合わせて自在に配置できます。
▶ 詳細記事はこちら -
軽量鉄骨下地(LGS):
壁の骨組みを構成するLGSと連携して
壁内配線と床下配線を接続します。
コンセントやスイッチの配線ルートに関連。
▶ 詳細記事はこちら -
ケーブルラック:
天井裏や床下で多数のケーブルを
整理して配線するための金属製支持材。
OAフロアの床下に設置されることもあります。
▶ 詳細記事はこちら
9. 多角的なQ&A(20連発)
デスクの下から新しく電源を取りたいです。
タイルカーペットを剥がすとOAフロアのパネルが出てきます。
配線引き出し用の切り欠きやフタから床下のタップを引き出せます。
床にコーヒーを大量にこぼしてしまいました。
液体が床下に流れ込むと電源タップにかかって漏電の危険があります。すぐに管理者に連絡し
パネルを開けて床下を拭いてください。
歩くと床がフワフワして隣の人の足音が響きます。
古いビルや安価な樹脂製OAフロアで起こりやすい現象です。
コンクリート製に更新すると改善されますが防振ゴムの追加で緩和できる場合もあります。
床から異臭がします。原因は何ですか?
床下にこぼれた飲食物の腐敗やカビの発生が考えられます。管理者に連絡してパネルを開けて
清掃と原因の確認を依頼してください。
自分でOAフロアのパネルを開けてもいいですか?
許可なく開けるのは避けてください。床下には電源ケーブルが通っており
誤って引っ張ると断線や感電の危険があります。管理者に依頼しましょう。
壁際のパネル処理はどうしますか?
壁際ではサイズが合わないためボーダーパネルを壁の形に合わせて加工します。
樹脂製はカッターで切断、金属・コンクリ製は電動丸ノコでカットします。
床の水平出し(レベル出し)はどう行いますか?
レーザーレベルで部屋全体の最も高いスラブ面を基準にFLを出します。
支持脚のボルトを回してミリ単位で高さを調整します。
配線工事はどのタイミングで行いますか?
支持脚を立て終わった段階(パネルを乗せる前)が最適です。
電気屋と通信屋がこのタイミングでコロガシ配線を一気に終わらせます。
防塵塗装の施工ポイントは?
スラブ面をよく清掃した後ローラーで防塵塗料を2回塗りします。
特にクラック(ひび割れ)部分は入念に塗り込んで粉塵を封じます。
床鳴り対策はどうしますか?
支持脚の底やパネルの受け部に防振ゴムを挟みます。さらに高さ調整用ロック材で
精緻な水平出しを行うことが重要です。
重い金庫や大型複合機をOAフロア上に置けますか?
耐荷重(3,000〜5,000N/m²)を確認してください。重量物の位置は支持脚を密に立てるか
OAフロアを敷かずコンクリートに直接台座を作る補強設計が必要です。
段差解消のスロープ設計はどうしますか?
後付けOAフロアの入口に数センチの段差ができます。車椅子や台車用に勾配1/12程度の
スロープパネルまたは框を設置します。ドアの開閉干渉も必ず確認してください。
OAフロアの選定基準は何ですか?
配線容量(床下高さ)、耐荷重等級、歩行感(音鳴り)、後付けか新築か、
予算の5点で判断します。新築なら支持脚タイプが推奨です。
床下空調との併用設計のポイントは?
床下を空調チャンバーとして使う場合、気密性の高いパネルと気流制御用の
グリルパネルの配置が重要です。配線との干渉にも注意が必要です。
テナント退去時にOAフロアはどう扱いますか?
OAフロアは通常ビルの共用設備として残置されます。テナントが敷いた
タイルカーペットの撤去・新規張替えが原状回復の主な範囲です。
床下の定期清掃は必要ですか?
はい。5年に1回程度はパネルを開けて床下のホコリや
不要ケーブルを撤去する清掃を推奨します。粉塵の蓄積は火災リスクを高めます。
床鳴りの苦情が増えました。対処法は?
支持脚のゴムパッドの劣化やパネルの摩耗が原因です。該当箇所のゴムパッド交換と
水平の再調整で改善できます。
古いOAフロアを新しいタイプに更新できますか?
はい。既存のパネルと支持脚を撤去し新しい製品に入れ替えることが可能です。
通常は週末工事で1フロアずつ段階的に更新するのが一般的です。
タイルカーペットのめくれや剥がれの対策は?
タイルカーペットは粘着式でOAフロアパネルの上に貼られています。
経年で粘着が弱まるとめくれるため専用のタックシートを再施工してください。