道路法(道路占用許可)とは?
建設現場の足場・クレーンが道路にはみ出すときの許可ルール
1. 超解説
【超解説】とても簡単に言うと何か?
「道路を管理し、正しく使うためのルール」を定めた法律です。建設現場では足場・仮囲い・クレーンのブームなどが道路にはみ出す場合、道路法の「道路占用許可」と道路交通法の「道路使用許可」の両方が必要になります。工事車両の通行制限にも関わる重要法令です。
道路法は1952年(昭和27年)に制定され、国土交通省が所管しています。建設業では、現場周辺の道路の占用・使用・通行制限に日常的に関わります。
2. 道路の種類と管理者
| 道路の種類 | 管理者 | 例 |
|---|---|---|
| 高速自動車国道 | 国土交通大臣(NEXCO等に管理委託) | 東名高速道路、名神高速道路 |
| 一般国道(指定区間) | 国土交通大臣 | 国道1号、4号等の主要区間 |
| 一般国道(指定区間外) | 都道府県知事 | 国道の県管理区間 |
| 都道府県道 | 都道府県知事 | 主要地方道、一般県道 |
| 市町村道 | 市町村長 | 生活道路、区画道路 |
3. 道路占用許可(道路法第32条)
道路に工作物や施設を設置して継続的に使用する場合は、道路管理者の「道路占用許可」が必要です。
建設工事で道路占用が必要な例
- 足場・朝顔(落下物防護棚):道路上空にはみ出す足場の設置
- 仮囲い:道路との境界に設置する仮囲いが道路にはみ出す場合
- 工事用仮設物:現場事務所、資材置場の一部が道路にかかる場合
- 地下埋設物:給水管、排水管、ガス管、電線管の道路横断・埋設
- 架空線:仮設電力線の道路上空横断
占用許可の条件
- 歩道の確保:歩行者の通行に支障がないこと(有効幅員1.5m以上確保が一般的)
- 車道の確保:車両の通行に支障がないこと
- 占用期間:必要最小限の期間
- 占用料:道路管理者が定める占用料の納付(面積・期間に応じて算定)
- 安全対策:バリケード、保安灯、交通誘導員の配置
4. 道路使用許可(道路交通法第77条)
道路占用許可が「道路管理者」(国・自治体)に対する許可であるのに対し、道路使用許可は「警察署長」に対する許可です。
| 許可 | 根拠法 | 申請先 | 対象 |
|---|---|---|---|
| 道路占用許可 | 道路法 | 道路管理者 | 道路に工作物を設置して継続使用 |
| 道路使用許可 | 道路交通法 | 所轄警察署長 | 道路上での作業・工事による交通への影響 |
建設工事では両方の許可が必要な場合がほとんどです。一方の窓口に申請すると、もう一方に書類が回送される「一括申請制度」を利用できます。
道路使用許可が必要な例
- 道路上でのクレーン作業(ブームの旋回範囲が道路上空)
- 道路の片側を規制しての工事(ガス管・水道管の埋設工事等)
- 大型車両の資材搬入出による一時的な道路占有
- 道路上での測量作業
5. 特殊車両の通行許可
車両の総重量、軸重、幅、高さ、長さが基準を超える「特殊車両」は、道路管理者の通行許可が必要です。
| 項目 | 一般的制限値 |
|---|---|
| 総重量 | 25t以下(高速道路は車種により異なる) |
| 軸重 | 10t以下 |
| 幅 | 2.5m以下 |
| 高さ | 3.8m以下(指定道路は4.1m) |
| 長さ | 12m以下 |
建設現場では、大型クレーン、トレーラー、橋梁の桁運搬車などが特殊車両に該当します。2022年からオンラインでの「特殊車両通行確認制度」が導入され、即時に通行可否が確認できるようになりました。
6. 違反時のリスク・罰則
| 違反内容 | 罰則 |
|---|---|
| 無許可の道路占用 | 1年以下の懲役または50万円以下の罰金 |
| 占用許可条件の違反 | 道路管理者による是正命令→原状回復命令 |
| 道路使用許可なしの工事 | 3ヶ月以下の懲役または5万円以下の罰金(道路交通法) |
| 特殊車両の無許可通行 | 100万円以下の罰金(法人両罰) |
| 道路の損傷 | 原状回復義務+損害賠償 |
7. 実務上のポイント
- 申請時期:道路占用許可は工事開始の2~4週間前に申請。道路使用許可は10日~2週間前
- 交通誘導員:片側交互通行規制等の場合、交通誘導警備員(2号警備)の配置が必要
- 夜間工事:交通量の多い道路では夜間施工を求められることが多い
- 道路管理者との協議:大規模工事では事前に道路管理者と工事計画を協議
- 道路台帳の確認:埋設物の有無を事前に確認し、試掘を行う
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9. 多角的なQ&A
一般の方向け
自宅前の道路工事で通行止めになっています。補償はありますか?
通常の公共工事による一時的な通行止めに対する補償は原則ありません。ただし、長期間の通行止めで事業に支障が出る場合(店舗の売上減少等)は、損失補償の対象になることがあります。工事施工者に工事期間と代替ルートを確認してください。
自宅の前にある電柱は誰のものですか?移設できますか?
電柱は電力会社またはNTTの所有で、道路管理者の占用許可を受けて設置されています。移設は可能ですが、移設費用は原則として要望者の負担です(30~100万円程度)。ただし、道路拡幅工事等に伴う場合は道路管理者の費用で移設されます。
道路にはみ出した看板や植木は違法ですか?
道路占用許可なく道路上にはみ出す看板・植木・商品陳列は道路法違反です。また、歩行者や車両の通行の妨げになる場合は道路交通法にも違反します。道路管理者から撤去命令が出される場合があります。特に枝の越境は道路管理者が剪定を求めることができます。
私道と公道の見分け方は?
法務局で不動産登記簿を確認するのが確実です。地目が「公衆用道路」でも私有地の場合があります。市区町村の道路台帳で「認定道路」かどうかを確認する方法もあります。建築基準法の接道要件(2m以上の道路に接すること)を満たすかどうかにも関わるため、土地購入前の確認が重要です。
道路が陥没していました。どこに連絡すればいいですか?
道路の種類により連絡先が異なります。国道は国交省の国道事務所、都道府県道は都道府県の土木事務所、市町村道は市区町村の道路管理課です。緊急の場合は警察(110番)に連絡してください。高速道路はNEXCOの緊急ダイヤル(#9910)が利用できます。
業界関係者向け
道路占用許可と道路使用許可の一括申請の方法は?
道路管理者または警察署のどちらか一方に申請書を提出すると、受付窓口から他方に書類が回送される制度です。回送されるまでに1~2日かかるため、工期に余裕を持って申請してください。添付書類は両方の許可に必要な書類(位置図、平面図、断面図、交通規制図、安全対策図等)を一式揃えます。
夜間の道路工事で注意すべき安全対策は?
①工事予告看板の設置(工事開始の1週間前から)、②保安灯・デリニエーターの適切な配置、③交通誘導警備員の増員、④高輝度反射材付き作業服の着用、⑤照明器具の十分な確保(グレア防止含む)、⑥騒音対策(低騒音機械の使用、近隣への事前通知)が重要です。
特殊車両通行確認制度(新制度)のメリットは?
2022年から運用開始のETC2.0装着車向けの新制度です。従来の通行許可は審査に数週間~数ヶ月かかりましたが、新制度ではオンラインで即時に通行可否が確認できます。ただし、対象道路が限定されており、従来の許可制度と併用されています。
埋設物の事前確認を怠った場合のリスクは?
道路掘削時にガス管や水道管を損傷すると、①ガス漏洩による爆発リスク、②漏水による道路陥没、③周辺への供給停止、④修復費用の全額負担、⑤損害賠償が発生します。「道路台帳」と各占用者(ガス・水道・電気・通信)への照会、さらに試掘による目視確認が必須です。
道路の原状回復工事の基準は?
道路管理者が定める「道路占用工事復旧基準」に従います。一般的には、①仮復旧(アスファルト仮舗装)→②本復旧(舗装構成の完全復旧)の2段階で行います。復旧範囲は掘削範囲より広く取る(片側車線全幅等)を求められることが多く、事前に道路管理者と協議が必要です。