換気計算の基礎知識とは?
「何回空気を入れ替える?」 ─ 法律で決まっている換気量の計算方法
【超解説】とても簡単に言うと何か?
部屋の空気を1時間に
何回入れ替えるか(換気回数)を
計算する方法です。
建築基準法で部屋の用途ごとに
必要な換気量が決められており
換気扇の大きさや台数を
決めるために使います。
1. 基本概要
そもそも何か
換気計算は、建物の各室に必要な換気量(m³/h)を算出し、換気設備の仕様を決定するための計算です。
建築基準法・建築物衛生法(ビル管法)・消防法で定められた基準を満たす必要があります。
なぜ必要なのか
換気が不十分な室内ではCO2濃度が上昇し、頭痛・集中力低下・健康被害が生じます。
シックハウス対策として、ホルムアルデヒド等のVOCを排出するための換気も法令で義務付けられています。
適切な換気計算なしには確認申請が通らず、建物を建てることができません。
2. 構造や原理
換気回数方式
部屋の容積(m³)×必要換気回数(回/h)
で必要換気量を求めます。
例えば容積100m³の部屋で
換気回数6回/hなら
必要換気量は600m³/hです。
用途ごとに換気回数の
目安が定められています。
1人あたり必要換気量方式
在室人数×1人あたり必要換気量で算出します。
ビル管法では1人あたり25m³/h以上(CO2濃度1,000ppm以下)が基準です。
建築基準法では1人あたり20m³/h以上が居室の基準です。
シックハウス対策換気
内装材から放散されるホルムアルデヒドを排出するための換気です。
建築基準法第28条の2により、居室の換気回数0.5回/h以上の機械換気が義務付けられています。
24時間換気とも呼ばれます。
3. 素材・形状・規格
建築基準法:居室の換気回数0.5回/h以上(シックハウス対策)。
ビル管法:CO2濃度1,000ppm以下(1人あたり25m³/h以上相当)。
消防法:無窓階・地下の排煙換気。
厨房換気:フード捕集風速0.3m/s以上。
駐車場換気:CO濃度50ppm以下(換気回数10〜15回/h)。
トイレ換気:換気回数10〜15回/h。
浴室換気:換気回数5〜10回/h。
4. 主に使用されている場所
住宅の24時間換気設計、
オフィスビルの外気量計算、
飲食店の厨房排気設計、
地下駐車場のCO排気設計、
病院の陰圧/陽圧室設計、
工場の有害物質排気設計。
5. メリット・デメリット
メリット(長所)
法令適合の確保:正確な換気計算で建築基準法・ビル管法の基準を確実に満たします。
健康被害の防止:適切な換気量を確保しCO2・VOCの蓄積を防ぎます。
省エネ設計の基盤:過剰な換気を避け、必要最小限の換気量で省エネ設計ができます。
デメリット(短所・弱点)
計算が複雑:用途・人数・内装材・燃焼器具の有無など多くの条件を考慮する必要があります。
設計と実態のずれ:在室人数や発生源の変化で、竣工後に換気量が不足することがあります。
空調負荷への影響:換気量を増やすと外気処理の空調負荷が増加します。
6. コスト・価格の目安
おおよその相場
- 換気扇(住宅用、24時間換気対応): 5,000〜30,000円程度
- 全熱交換器(住宅用): 5万〜15万円程度
- ダクト式換気システム(住宅全体): 30万〜80万円程度
- 業務用換気設備(設計〜施工): 50万〜500万円程度
7. 更新周期と注意点・絶対にやってはいけない悪い使用方法
更新周期(推奨交換時期)
換気扇本体は10〜15年で更新。
フィルターは3〜6ヶ月で清掃/交換。
24時間換気は停止不可(法令義務)。
絶対にやってはいけない悪い使用方法
24時間換気はシックハウス対策として
建築基準法で義務付けられています。
止めるとホルムアルデヒド等の
有害物質が室内に蓄積し
頭痛・めまい・アレルギーの
原因になります。
絶対に停止しないでください。
悪い使用方法をするとどうなるか(末路)
24時間換気の停止でVOC濃度が基準値を超え、シックハウス症候群(目の痛み・頭痛・吐き気)が発症します。
結露やカビの発生も促進され、建物の劣化と健康被害の両方を引き起こします。
8. 関連機器・材料の紹介
- 換気扇:
換気計算で決まった風量を実現する機器。
▶ 詳細記事はこちら - 全熱交換器:
換気時の熱ロスを低減する機器。
▶ 詳細記事はこちら - CO2センサー:
換気量が適切かを監視するセンサー。
▶ 詳細記事はこちら
9. 多角的なQ&A(20連発)
24時間換気って何?
建築基準法で義務付けられた、常時運転する換気システムです。
シックハウス対策として室内の有害物質を排出するために設置されています。
換気回数0.5回って少なくない?
2時間で部屋の空気が1回入れ替わる計算です。
シックハウス対策としては十分で、エアコンの効率も考慮した数値です。
換気しすぎると電気代が上がる?
はい。外気を取り入れるほど冷暖房のエネルギーが増加します。
全熱交換器を使えば換気時の熱ロスを70〜80%回収できます。
マンションの換気はどうなっている?
多くのマンションは第3種換気(自然給気+機械排気)を採用しています。
各居室の給気口を塞がないことが適切な換気の前提条件です。
窓を開ければ換気設備は不要?
法的には有効開口面積(床面積の1/20以上)の窓があれば自然換気として認められます。
ただし24時間換気は窓の有無に関わらず義務なので、換気設備は必須です。
換気計算はどこに記載する?
確認申請の設備図面に換気計算書を添付します。
各室の必要換気量、換気機器の風量、ダクト系統図を明記してください。
ダクトの圧力損失計算は?
ダクトの長さ、曲がり(エルボ)、分岐、機器の圧力損失を合計して系統全体の圧損を算出します。
ファンの静圧(Pa)がこの圧損以上であることを確認してください。
風量測定の方法は?
吹出口や排気口にフード付き風量計を当てて測定します。
ダクト内の風速を測定して断面積を掛ける方法もあります。
給気と排気のバランスは?
室内を正圧にする場合は給気量>排気量、負圧にする場合は給気量<排気量にします。
一般居室は微正圧(+5Pa程度)が推奨です。
消防法の排煙計算は別?
はい。排煙計算は換気計算とは別に消防法に基づいて行います。
排煙風量は床面積1m²あたり1m³/min以上が基本です。
確認申請での注意点は?
24時間換気の換気回数0.5回/h以上を満たす計算書が必須です。
内装材の等級(F☆☆☆☆等)と換気計算の整合性も審査されます。
厨房の換気量は?
レンジフードのフード面積×捕集風速(0.3m/s以上)で算出します。
ガスコンロの場合は燃焼空気量の確保も必要です。
地下駐車場の換気は?
CO濃度50ppm以下を維持するため、換気回数10〜15回/hが必要です。
CO濃度連動の換気制御で省エネ化も検討してください。
省エネと換気の両立は?
全熱交換器で排気の熱を回収しつつ必要換気量を確保する方法が最も効果的です。
CO2濃度連動のDCV制御で在室人数に応じた換気量制御も有効です。
コロナ後の換気基準は?
厚生労働省は1人あたり30m³/h以上の換気を推奨しています。
ビル管法の基準(25m³/h)より多く、既存建物では換気設備の増強が必要な場合があります。
ビル管法の定期測定は?
特定建築物は2ヶ月に1回CO2濃度を測定し、1,000ppm以下であることを確認する義務があります。
換気量が不足していたら?
①フィルターの詰まり確認 ②ファンベルトの緩み確認 ③ダンパーの開度確認の順に点検してください。
それでも不足する場合は換気設備の増強が必要です。
CO2モニタリングの活用は?
各室にCO2センサーを設置し、リアルタイムで換気状態を監視してください。
1,000ppmを超える場合は換気量を増やすか、在室人数を制限します。
換気フィルターの管理は?
月1回の目視点検、3〜6ヶ月ごとの清掃/交換が推奨です。
フィルターが詰まると換気量が低下し、ファンの消費電力も増加します。
省エネと感染症対策の両立は?
CO2濃度800ppm以下を目標とし、全熱交換器で熱回収しながら換気量を確保します。
在室人数に応じたDCV制御で不在時の換気量を絞ることも有効です。