天井吊下げ型エアコンとは?
天井裏がなくても設置OK!ぶら下がって冷暖房する頼れるエアコン
【超解説】とても簡単に言うと何か?
天井からぶら下げて設置する
業務用エアコンのことです。
天井裏のスペースが足りなくて
天井カセット型が入らない建物や
天井が高い倉庫・工場などで
よく使われています。
本体が露出するため
メンテナンスがしやすいのが特徴です。
1. 基本概要
そもそも何か
天井吊下げ型エアコンは、天井面にボルトで吊り下げて設置する業務用エアコンです。
天井カセット型のように天井内に埋め込まないため、天井裏のスペースが不要です。
本体が天井面から露出した状態で設置され、前面または下面から冷暖房の風を吹き出します。
なぜ必要なのか
天井裏に十分なスペースがない建物(鉄骨造の倉庫・工場・古い商業施設など)では天井カセット型が設置できません。
また天井高が4m以上ある空間では、天井面から直接風を届ける吊下げ型が効率的です。
壁掛け型では能力が不足し、床置き型ではスペースを占有する場合に最適な選択肢です。
2. 構造や原理
本体構造
薄型のボックス形状で、
厚さは200〜350mm程度です。
内部に熱交換器(コイル)、
送風ファン(シロッコファン)、
ドレンパン、フィルターを内蔵。
吹出口は1方向または2方向で、
前面吹出しタイプと
下面吹出しタイプがあります。
吊下げ構造
天井のスラブ(構造体)から
全ネジボルト(吊りボルト)4本で
本体を吊り下げます。
防振ゴムを挟んで振動を吸収し、
水平レベルを調整します。
重量は30〜60kg程度で、
スラブの耐荷重確認が必要です。
3. 素材・形状・規格
本体寸法:幅800〜1,400mm×奥行600〜800mm×高さ200〜350mm。
冷房能力:2.2kW〜14.0kW(6〜40畳相当)。
吹出方向:1方向吹出し、2方向吹出し。
使用冷媒:R32またはR410A。
電源:単相200V(〜5.6kW)、三相200V(大容量機)。
風量:600〜2,000m³/h程度。
フィルター:樹脂製メッシュフィルター(水洗い可)。
4. 主に使用されている場所
天井裏スペースがない店舗・事務所、
倉庫・工場の作業スペース、
天井高が高い商業施設、
飲食店の厨房近接エリア、
学校の教室・体育館、
寺社仏閣・歴史的建造物のリノベーション。
5. メリット・デメリット
メリット(長所)
天井裏不要で設置可能:天井スラブに直接吊るため、天井裏スペースがない建物でも設置できます。
メンテナンスが容易:本体が露出しているため、フィルター清掃や点検作業が簡単です。
広範囲への送風:天井面から吹き出すため、壁掛け型より広範囲に風を届けられます。
デメリット(短所・弱点)
本体が目立つ:天井面に露出するため、意匠性を重視する空間には不向きです。
騒音が気になる場合がある:本体が室内に露出しているため、運転音が直接聞こえやすいです。
ドレン配管の処理:結露水の排水配管を天井面に沿わせて引く必要があり、見た目に影響します。
6. コスト・価格の目安
おおよその相場
- 本体(2.2〜3.6kW): 15万〜25万円程度
- 本体(4.0〜8.0kW): 25万〜45万円程度
- 本体(10.0〜14.0kW): 45万〜70万円程度
- 取付工事費: 5万〜15万円程度
7. 更新周期と注意点・絶対にやってはいけない悪い使用方法
更新周期(推奨交換時期)
業務用エアコンの法定耐用年数は13〜15年です。
実使用では10〜15年で効率低下が顕著になり更新を検討します。
コンプレッサーの異音や冷暖房能力の低下が更新のサインです。
絶対にやってはいけない悪い使用方法
工事途中で1〜2本のボルトだけで
仮止めした状態で運転すると
振動で残りのボルトが緩み
本体が落下する重大事故に
つながります。
必ず4点全てを本締めし
防振ゴムを挟んでから
通電してください。
悪い使用方法をするとどうなるか(末路)
ボルトの締め付け不良で本体が落下すると、30〜60kgの重量物が人の頭上に落ちる重大事故です。
過去にも天井設備の落下で死亡事故が報告されています。
施工不良は施工者の法的責任(業務上過失致死傷)を問われる可能性があります。
8. 関連機器・材料の紹介
天井吊下げ型エアコンと関連する機器です。
- 天井カセット型エアコン:
天井に埋め込むタイプの業務用エアコン。
▶ 詳細記事はこちら - ルームエアコン:
家庭用壁掛けエアコン。
▶ 詳細記事はこちら - 冷媒配管:
室内機と室外機を結ぶ銅管。
▶ 詳細記事はこちら
9. 多角的なQ&A(20連発)
天井カセット型との違いは?
天井カセット型は天井に埋め込むので見た目がスッキリしますが、天井裏スペースが必要です。
吊下げ型は天井裏不要ですが、本体が露出して見えます。
音はうるさくない?
本体が室内に露出しているため、天井カセット型より運転音が聞こえやすい傾向です。
低騒音モードを搭載した機種もありますので、静音性が必要な場合は選定時に確認してください。
落ちてこない?
4本の吊りボルトと専用金具で構造体に固定されており、適切に施工されていれば落下しません。
耐震対策として振れ止めワイヤーも設置するのが標準です。
水滴が落ちてくることがある?
ドレンパンの詰まりや、ドレン配管の勾配不良で結露水が排水できないと水滴が落ちます。
定期的なドレンパンの清掃と配管の詰まりチェックが必要です。
見た目をカバーで隠せる?
化粧パネル(オプション)で本体を覆うことができるメーカーもあります。
ただし天井カセット型ほどスッキリにはならないため、意匠重視なら天井カセット型を検討してください。
吊りボルトの太さと長さは?
M10(3/8インチ)が標準です。長さは天井高さとスラブ面の距離で決まります。
吊り長さが1mを超える場合は振れ止めの追加が必要です。
ドレン配管の勾配は?
1/100以上の勾配を確保してください。
配管が長くなる場合はドレンアップキット(ドレンポンプ)を使用して揚程を稼ぎます。
耐震対策は?
建築設備耐震設計・施工指針に基づき、斜め振れ止め(ブレース)を設置します。
重要度係数に応じた設計が必要で、病院等は特に厳しい基準が適用されます。
RC造とS造で施工方法は違う?
RC造はスラブにアンカーボルトを打設、S造はデッキプレートにインサートまたは梁にクランプで固定します。
デッキプレートへの後施工アンカーは引抜耐力を要確認です。
1人で施工できる?
本体重量30〜60kgのため、2人以上での作業が必須です。
高所作業車やチェーンブロックで仮吊りしてからボルト固定する手順が安全です。
天井カセット型と吊下げ型の選定基準は?
天井裏300mm以上→カセット型、300mm未満→吊下げ型が基本です。
意匠性重視ならカセット型、コスト・メンテナンス性重視なら吊下げ型を選定します。
電気容量の計画は?
単相200Vの場合は専用回路が必要です。
ブレーカー容量はメーカー仕様書のMCA(最大回路アンペア)に基づいて選定してください。
消防法との関係は?
スプリンクラー設備がある建物では、吊下げ型エアコンの吹出気流がスプリンクラーヘッドに影響しないよう離隔距離を確認してください。
補助金の対象になる?
省エネ性能が高い機種(APF値が基準以上)は省エネ補助金の対象になる場合があります。
SIIの補助金公募要領で最新の対象製品リストを確認してください。
納期の注意点は?
業務用エアコンの納期は通常2〜4週間ですが、繁忙期(5〜7月)は6〜8週間に延びることがあります。
工程に合わせて早めの発注を推奨します。
フィルター清掃の頻度は?
月1回の清掃が推奨です。
吊下げ型はフィルターへのアクセスが容易なため、脚立を使って簡単に取り外せます。
ドレン詰まりの対処は?
ドレンパンの汚泥除去と、ドレン配管の通管(窒素ブローまたは専用ワイヤー)で解消します。
シーズン前に予防清掃を実施してください。
異音の原因は?
ファンのベアリング劣化、吊りボルトの緩みによる共振、冷媒不足によるコンプレッサー異音が主な原因です。
早期の原因特定と対処が必要です。
冷房効率が落ちた場合は?
①フィルターの目詰まり ②熱交換器の汚れ ③冷媒不足 の順に確認してください。
熱交換器の薬品洗浄で効率が20〜30%回復するケースもあります。
リモコンが効かない場合は?
①リモコンの電池切れ ②受光部の汚れ ③基板の故障 の順で確認してください。
有線リモコンの場合は信号線の断線やコネクタの接触不良も考えられます。