水処理装置とは?
空調の配管を守る「見えない水のお医者さん」
【超解説】とても簡単に言うと何か?
エアコンの冷却水や暖房の温水に特殊な薬品を入れたり、水をろ過したりして、
配管や機器が錆びたり水垢(スケール)で詰まるのを防ぐ装置です。
1. 基本概要
そもそも何か
水処理装置は、空調・給湯設備の冷却水系統や冷温水系統の水質を管理するための装置群です。
薬品注入装置、軟水器、ろ過装置、ブローダウン装置などを総称して「水処理装置」と呼びます。
水質管理を怠ると配管の腐食、スケール付着、藻やレジオネラ菌の
繁殖など深刻な問題が発生します。
なぜ必要なのか
冷却塔(クーリングタワー)の水は蒸発により濃縮が進み、スケール成分やゴミが蓄積します。
密閉系の冷温水も酸素の混入による腐食やスケール付着が問題になります。
水処理装置はこれらの問題を未然に防ぐために不可欠です。
2. 構造や原理
薬品注入装置
防錆剤・スケール防止剤・殺菌剤をポンプで循環水に定量注入します。
電磁式ダイヤフラムポンプが一般的で、タイマーまたは導電率計と連動して自動注入します。
軟水器
イオン交換樹脂で水中のカルシウムやマグネシウムを除去(軟水化)し、
スケールの発生を防止します。ボイラーや加湿器の補給水に使われます。
自動ブローダウン装置
冷却水の導電率(濃縮度)を監視し、設定値を超えたら自動的に排水(ブロー)して
新鮮な水を補給します。冷却水の濃縮倍数管理に不可欠です。
3. 素材・形状・規格
薬品タンクはポリエチレン製が主流。注入ポンプの材質は薬品の種類に合わせて選定します。
軟水器の筐体はFRP製が一般的。冷却塔の水質管理はJRA GL-02(日本冷凍空調工業会
ガイドライン)に基準があります。レジオネラ菌対策は厚生労働省のガイドラインに
準拠する必要があります。
4. 主に使用されている場所
冷却塔を持つビル・ホテルの冷却水系統、密閉系冷温水配管系統、ボイラーの給水系統、
加湿器の給水系統、蓄熱槽の水質管理、吸収式冷温水機の冷却水系統など。
5. メリット・デメリット
メリット
① 設備保護:配管・機器の腐食とスケールを防止し設備の寿命を延ばします。
② 省エネ:スケール付着による伝熱性能低下を防ぎ空調効率を維持します。
③ 衛生管理:レジオネラ菌の繁殖を抑制します。
デメリット
① ランニングコスト:薬品費が継続的にかかります。
② 管理の手間:水質検査と薬品補充が必要。
③ 環境負荷:排水に含まれる薬品の環境への影響を考慮する必要があります。
6. コスト・価格の目安
おおよその相場
- 薬品注入装置一式:
30万〜80万円程度 - 軟水器(小型):
10万〜30万円程度 - 自動ブローダウン装置:
20万〜50万円程度 - 水質管理業務委託:
年間 30万〜100万円程度
7. 更新周期と注意点・絶対にやってはいけない悪い使用方法
更新周期
薬品注入ポンプは7〜10年、軟水器のイオン交換樹脂は5〜7年で交換が目安です。
導電率計のセンサーは1〜2年で校正・交換します。
絶対にやってはいけない悪い使用方法
水処理を怠った冷却塔では
レジオネラ菌が爆発的に繁殖し、
エアロゾルを通じて周辺の人に
レジオネラ肺炎を引き起こす
リスクがあります。
過去に死亡事故も発生しています。
8. 関連機器・材料の紹介
- 吸収式冷温水機:冷却水の水質管理が不可欠な設備。
▶ 詳細記事はこちら - プレート式熱交換器:水質が性能に直結する機器。
▶ 詳細記事はこちら
9. 多角的なQ&A(20連発)
ビルの屋上にある冷却塔の白い煙は何?
あれは煙ではなく水蒸気(湯気)です。冷却水を蒸発させて冷やす仕組みで
冬場に特に白く見えます。有害なものではありません。
レジオネラ菌って怖い?
レジオネラ菌に汚染された水の飛沫(エアロゾル)を吸い込むと
重症肺炎を起こすことがあります。冷却塔の適切な水処理で繁殖を防ぐことが重要です。
水道水には影響する?
空調用の水処理は飲料水とは完全に別系統です。空調の水が飲料水に
混ざることはありません。
環境に悪い?
最近の薬品は環境負荷の低い製品が主流です。排水基準を満たすよう
薬品の種類と濃度が管理されています。
家庭でも水処理は必要?
一般家庭のエアコンは冷媒(フロンガス)で冷やすため水処理は不要です。
大規模ビルで冷却水を使う場合に必要になります。
薬品注入装置の設置場所は?
冷却水系統のヘッダー近くや補給水配管の近くに設置します。薬品タンクの補充作業ができる
スペースを確保してください。
軟水器の設置注意点は?
再生用の塩(食塩)の保管・補充スペースが必要です。排水管への接続も忘れずに
計画してください。
配管のフラッシングは必要?
新設時は配管内のゴミ・溶接スケールを除去するために必ずフラッシングを
行います。水処理装置を通す前に系統の清浄度を確保してください。
電気工事は何が必要?
注入ポンプの電源(AC100V)、導電率計・pH計のセンサー配線、
ブローダウン用電磁弁の配線が必要です。
薬品の取り扱い注意は?
防錆剤や殺菌剤は皮膚や目に触れると危険です。保護手袋・保護メガネを着用し
SDS(安全データシート)を確認してから取り扱ってください。
水処理の仕様はどう決める?
水質分析結果を基に水処理専門メーカーに相談して最適な薬品と注入量を決定します。
地域の水質(硬度・pH等)で必要な処理が異なります。
レジオネラ対策は法的義務?
冷却塔の維持管理については建築物衛生法(ビル管法)で規定されています。
厚生労働省のレジオネラ症防止指針に沿った管理が求められます。
水処理業者の選び方は?
実績・水質分析体制・レジオネラ対策の知見・緊急対応体制を基準に選定します。
年間契約で定期巡回点検を含めるのが一般的です。
濃縮倍数の管理とは?
冷却水の導電率を補給水の導電率で割った値が濃縮倍数です。3〜5倍が適正範囲で、
自動ブローで管理します。
試運転時の確認は?
①薬品注入量の確認、②導電率計の校正、③ブローダウンの作動確認、
④初期水質分析の実施を行ってください。
水質検査の頻度は?
冷却水は月1回の水質検査、レジオネラ菌検査は年2〜4回が推奨されています。
密閉系冷温水は年2回程度です。
薬品の補充タイミングは?
タンクの液面を月1回確認し、残量が1/3以下になったら補充します。冷却塔の運転期間中は
消費量が増えるため注意してください。
冷却塔の清掃頻度は?
年1回(冷房シーズン前)の清掃が最低限必要です。充填材や水槽の藻・スライムを
高圧洗浄で除去します。
配管の腐食をどう発見する?
水の色が赤茶色になったりストレーナーに錆が溜まったりしたら
配管内部の腐食が疑われます。水質分析で鉄イオン濃度を確認してください。
冬期は停止してよい?
冷却塔を停止する冬期は冷却水系統の水を抜くか、凍結防止と水質維持のための
措置を取ってください。放置すると凍結破裂や藻の繁殖の原因になります。